故意にコロナ感染、チェコ歌手が死亡 「回復証明」取得しようと
ベン・トバイアス、BBCニュース

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チェコで16日、新型コロナウイルスに故意に感染した女性歌手が死亡した。夫と息子の感染が判明した後も対策を取らずに生活を続け、自らをウイルスにさらしていたという。息子がBBCに語った。
死亡したのはハナ・ホルカさん(57)。チェコで最も歴史のあるフォークグループの1つ、「Asonance」のメンバーだった。
ホルカさんはウイルス検査で陽性と確認されたあと、回復しつつあるとソーシャルメディアに投稿。しかし、その2日後に死亡した。ワクチンは未接種だった。
ホルカさんの息子ヤン・レクさんは、自分と父親が新型ウイルスに感染した際、母親は特定の会場へのアクセスが認められる「回復証明」を手に入れようと、故意に感染したと話した。
人口約1070万人のチェコでは19日、1日の新規感染者としては過去最多となる2万8469人の感染が確認された。
感染からの「回復証明」得ようと
レクさんと父親はワクチン接種を完了していたが、昨年のクリスマスに感染したという。母親のホルカさんは2人と物理的距離を取らず、自ら進んでウイルスにさらされていたと、レクさんは述べた。
「僕たちが陽性と判定されたのだから、母は一週間隔離すべきだった。それなのに母はずっと僕たちと一緒に過ごしていた」
チェコで映画館やバー、カフェといった多くの社交・文化施設に入るには、ワクチン接種済みであることか、直近の感染歴を証明する必要がある。
ホルカさんは感染して、移動制限を減らしたいと考えていたと、レクさんは説明した。
亡くなる2日前、ホルカさんはソーシャルメディアに回復しつつあると書き込んでいた。
「これから劇場やサウナ、コンサートに行けるようになる」
レクさんによると、ホルカさんは16日朝、気分が良かったため、散歩に行こうと洋服に着替えた。ところが背中が痛み出し、寝室で横になったという。
「10分くらいで、すべてが終わった」と、レクさんは話した。「母は窒息死した」。
「反ワクチン派ではない」
ホルカさんはワクチン未接種だったものの、ワクチンに関する奇妙な陰謀論は信じていなかったと、レクさんは強調した。
「母の哲学では、ワクチン接種よりも新型ウイルスに感染することを良しとしていた。マイクロチップが埋め込まれるだとか、そういうことは関係ない」
母親とこの問題について話し合おうとしても感情的になるだけで、意味がなかったとレクさんは付け加えた。代わりにこの出来事を伝えることで、ワクチンを接種するようほかの人たちを説得できることを願っていると話した。
「実生活から得られる生きた手本があれば、グラフや数字よりも説得力がある。数字では共感できないので」

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チェコの状況
チェコ政府は最近、企業の従業員や学校の児童・生徒にウイルス検査を義務付けるなど、感染増加に対抗する新たな措置を導入した。陽性と判定された無症状患者については、隔離期間を14日間から5日間に短縮した。
政府は19日、社会の一部の人を対象に接種を義務付ける計画を中止すると発表した。首都プラハなどの都市部では今月初め、この計画に反対する数千人がデモを行っていた。
同国では人口の約63%が接種を終えている。欧州連合(EU)全体の平均は69%となっている。











