北朝鮮がまたミサイル発射実験、何を意味しているのか

A woman watchs the news at a station in Seoul, South Korea, 17 January 2022.

画像提供, EPA

北朝鮮が17日、日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射した。韓国の合同参謀本部や日本の海上保安庁などが発表した。北朝鮮のミサイル発射実験はこの2週間で4回目。

韓国軍によると、ミサイルは平壌近郊の飛行場から発射されたもよう。

岸信夫防衛相は、弾道ミサイルは日本の排他的経済水域(EEZ)外の海域に落下したとみられると明らかにした。

国連は北朝鮮の弾道ミサイルや核兵器の実験を禁止しており、厳しい制裁を科している。

しかし北朝鮮はたびたびこの禁止を破っている。最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は、防衛力をさらに高めると述べている。

北朝鮮は14日に、鉄道から短距離弾道ミサイルを発射。5日と11日にも極超音速ミサイルの発射実験を行ったと発表した。

極超音速ミサイルは通常、弾道ミサイルよりも低い高度で、音速の5倍以上の速さ(時速約6200キロ)で飛行する。弾道ミサイルよりも検知することが難しい。

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北朝鮮が1月に立て続けにミサイル実験を行うことは珍しい。通常は、国内の政治的に重要な日に合わせたり、米韓の合同軍事演習に対抗するタイミングなどが多いという。

カーネギー財団の専門家アンキット・パンダ氏は、北朝鮮がミサイル発射実験をするのは通常、ミサイル能力を進展させ、運用準備態勢を維持するためだと説明。17日の実験も、そのことを示しているとみられると指摘した。

一方で、「金総書記は国内にも目を向けている。経済的困窮が続く中で実験を行うことで、国防の優先順位が落ちていないことを示そうとした」と述べた。

北朝鮮は、新型コロナウイルスのパンデミックを受けて国境を封鎖しており、厳しい経済状態に置かれている。主要な貿易相手国である中国との通商も途絶えていたが、近々再開する可能性があるとの報道も出ている。

金総書記は年末の党会議で、北朝鮮が「大きな生死の境目」に直面していると述べ、極超音速ミサイル開発の推進と国民の生活水準の改善が目標だと話した。

アメリカは北朝鮮に核開発をやめるよう呼び掛けているが、米朝の交渉はジョー・バイデン政権になって以来、途絶えている。バイデン政権は先週、今年初めのミサイル実験を受けて北朝鮮に新たな制裁を科した。

韓国の梨花(イファ)女子大学のパク・ウォンゴン教授は、今回のミサイル発射実験はこの制裁に対する「強力な反応」である可能性があり、「アメリカに力で負けるつもりはない」という北朝鮮の表明だと述べた。

動画説明, 韓国上空から朝鮮半島情勢を考える BBC記者が韓国軍機に搭乗

中国との関係は?

中国では2月4日から北京で冬季オリンピック(五輪)が開催される予定。中国にとっては非常に権威あるイベントであるとともに、政治的にも繊細な時期だ。

北朝鮮研究者のチャド・オカーロール氏はツイッターで、「北京で五輪が始まろうとしている中、その玄関口で北朝鮮がミサイル実験をしているのを、中国は快く思っていないかもしれない」と指摘した。

「こうした状況が続くなら、(北朝鮮が)中国に対して何か怒っているのではないかという可能性を捨てきれなくなる」

一方でパンダ氏は、北朝鮮が核兵器や長距離ミサイルの実験といった「中国にとっての一線」を越えていないことから、「中国は一連の実験を喜んではいないだろうが、寛容な姿勢を保つ可能性が高い」と述べた。

北朝鮮の専門家レイフ=エリック・イーズリー氏は、北朝鮮が近々、中国との貿易を再開するかもしれないとの報道を考えると、「このタイミングでの実験は、中国が北朝鮮の挑発行為に十分共謀していると言える。中国は北朝鮮を経済的に支援し、軍事面でも協力している」と述べた。

「中国との戦略的関係を考えると、北朝鮮のトップは、今年前半の軍事演習やミサイル実験を、北京五輪の前に終わらせようとしている可能性がある」

「また、韓国の大統領選を前に静かにする気もないようだし、中国が国境を越えて支援物資を送っている状況で、瀕死(ひんし)の状態にあると思われたくもないようだ」

追加取材:テッサ・ウォン、BBCコリア語