英王子を性被害で提訴の米女性、2009年にエプスティーン被告と秘密の和解

画像提供, Virginia Roberts
米富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)による性的虐待事件の原告の1人、ヴァージニア・ジュフリー(旧姓ロバーツ)さんが、2009年にエプスティーン被告と交わした秘密の和解の内容が公開された。エプスティーン被告と関連があり、「被告となり得る人物」を今後一切訴追しないことが定められていた。
ジュフリーさんは、2019年に性的人身取引で起訴された後、ニューヨークの拘置所で勾留中に急死したエプスティーン被告を訴えていた1人。17歳だった2001年に、エプスティーン被告と親交のあった英王室のアンドリュー王子とニューヨークやロンドンなどで会い、性的暴行を受けたとして、2021年8月にアメリカでアンドリュー王子を民事提訴している。
アンドリュー王子は一貫してこの疑惑を否定している。
ニューヨークの裁判所は3日、この民事訴訟の資料になるとして、審理に先立って2009年の和解内容を公開。エプスティーン被告が和解金として50万ドル(約5800万円)をジュフリーさんに支払っていたことも明らかになった。
アンドリュー王子の弁護人は、ジュフリーさんはこの和解によってもはや王子を提訴できないはずだと主張。一方、ジュフリーさんの弁護団は、和解内容はアンドリュー王子とは無関係だと述べている。
裁判では、和解の内容について、両者が激しく論戦を繰り広げると予想されている。
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ジュフリーさんは訴状の中で、エプスティーン被告の親友だったギレイン・マックスウェル受刑者(未成年者の性的人身売買罪などで有罪)が当時ロンドンに所有していた邸宅と、エプスティーン被告のニューヨークの邸宅、そして米ヴァージン諸島リトル・セント・ジェイムズにある邸宅で、アンドリュー王子がジュフリーさんに性的暴行を加えたと主張している。
2009年11月17日付の和解の中でジュフリーさんの弁護人は、ジュフリーさんは10代の頃に性的虐待の世界に引き込まれたと指摘。「彼女は(エプスティーン)被告の性的欲求をかなえるために断続的に搾取されていただけでなく、王族や政治家、学者、実業家など、被告の公私にわたる成人男性の友人らに対しても、性的搾取に応じるよう要求されていた」と説明している。
ジュフリーさんはこの時、50万ドルの和解金で訴追を取りやめたほか、エプスティーン被告と「被告人となり得る人物や団体」を「解放し、無罪とし、納得し、永久に罪を問わない」ことに合意した。
和解文には、「被告人となり得る人物」に対し、「世界の始まり」以降の損害を含め、アメリカでいかなる訴訟も起こさないことと書かれている。
この表現が実際に何を意味するのかが今後、激しく議論されるものと予想されている。

画像提供, US Attorney's Office SDNY
アンドリュー王子の弁護団を率いるアンドリューB・ブレットラー弁護士はこの和解について、「エプスティーン被告は、ジュフリーさんが将来の訴訟で標的にするであろう人物全てをカバーするために、広範囲の免責を交渉した」と述べ、「ジュフリーさんによるアンドリュー王子への根拠のない訴訟は、この時点で却下されるべきだ」と述べた。
別の関係筋は、ジュフリーさんが和解文の中で「王族」と言及していることで、アンドリュー王子がこの合意の対象になると説明した。
一方、ジュフリーさんの弁護団は、この和解とアンドリュー王子に対する訴訟は無関係だと主張。また、アンドリュー王子の名前がないことから、合意内容の対象にも含まれていないと述べている。
エプスティーン被告の被害者の弁護人を務めるリサ・ブルーム氏はBBCニュースの取材で、この和解は今まで目にした中で「最も奇妙なもの」で、「理解できないほどあいまい」な内容だと感じたと述べた。
ブルーム氏は、「契約では、誰が訴訟を免れ、誰が免れていないのか、はっきりと特定する必要がある」とした上で、和解文に名前がない以上、和解文を根拠にアンドリュー王子への提訴を退ける裁判官はいないはずだとの見解を示した。








