異常気象が「新しい平常」に=世界気象機関
マット・マグラス環境担当編集委員

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猛暑や大洪水などの異常気象は、もはや新しい平常になっている――。世界気象機関(WMO)が、そんな指摘をしている。
WMOは2021年版の気候報告書で、世界の状況が「私たちの目の前で変わっている」と強調している。
20年間の平均気温は、2002年から今年までをみると、工業発達以前(1850~1900年)と比べて初めて摂氏1度以上上昇する見通しだ。
海面の上昇も今年、過去最高を更新したとの研究が出ている。
WMOはこうした最新の数字を、国連の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が英グラスゴーで31日に開幕したのに合わせて公表した。

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WMO報告書は、気温の変化、異常気象、海面上昇、海洋の状況といった気候指標の概況を示している。
研究によると、今年を含む過去7年間は、記録が残る中で最も暖かい期間となる可能性が高い。大気中の温室効果ガスの濃度が過去最大になったことが背景にあるとされる。

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それに伴う気温の上昇は、地球を「未知の領域」へと押しやり、地球にいっそう大きな影響を及ぼしていると、報告書は指摘している。
WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、「異常気象はもはや新しい平常だ」と話した。「その一部は人間が引き起こした気候変動の足跡だと示す科学的証拠が増えている」。
ターラス氏は、世界各地で今年見られた異常気象の一部を、以下のように紹介した。
- グリーンランド氷床の最高地点で史上初めて、雪ではなく雨が降った
- カナダとアメリカの一部を襲った熱波で、カナダ・ブリティッシュコロンビア州の村の気温が摂氏50度近くにまで上がった
- アメリカ南西部を直撃した熱波で、カリフォルニア州デスヴァレーの気温が54.4度に達した
- 中国の一部地域で、数カ月分の量の雨が数時間のうちに降った
- ヨーロッパの一部で深刻な洪水が発生し、数十人が死亡、多大な経済損失が生じた
- 南アメリカの亜熱帯地域は2年連続で干ばつに見舞われ、河川流域の水流が減り農業、交通、エネルギー生産に大きな影響が出た
WMOの研究はさらに、地球規模の海面上昇への懸念も高まっているとしている。

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海面上昇は1990年代に初めて、人工衛星を利用した正確なシステムによって観測された。1993~2002年には年2.1ミリのレベルで上昇した。
ところが2013~2021年には上昇レベルが年4.4ミリに倍増した。氷河や氷床がどんどん解けているのが主な原因となった。
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英ブリストル氷河学センターのジョナサン・ボマー教授は、「海面は過去2000年間で最も早く上昇している」と話した。
「このままのペースで行けば、2100年には上昇幅が2メートルを超え、世界中で約6億3000万人が移住せざるを得ない可能性がある。その影響は想像が及ばないものだ」

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気温でみると、2021年は史上6番目か7番目に暖かい年となる見込みだ。
これは、自然に起こる気象現象で、地球の温度を下げる傾向があるラニーニャ現象が、今年の比較的早い時期にみられたことが影響している。
ただ今回の報告書は、地球の気温が20年間の平均としては初めて、1度以上上昇する見通しだとしている。
英気象庁の主任科学者で、今回の報告書の作成にも加わったスティーヴン・ベルチャー教授は、「20年平均が工業化以前と比べて1度以上上昇したという事実を前に、パリで6年前に合意された気温上昇制限を守ろうとする各国のCOP26代表団は、気を引き締めるはずだ」と話した。
今回の分析について、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、地球が私たちの目の前で変化していると述べた。
「海底から山頂に至るまで、氷河の溶解から過酷な異常気象まで、地球上の各地のエコシステムやコミュニティーが大打撃を受けている」
「COP26は人間と地球にとって、転換点にならなくてはならない」










