EU裁判所、ポーランドに1日100万ユーロの制裁金 司法の独立めぐり

People take part in a protest against the judgment of Polish Constitutional Tribunal and in support of EU at Solny square in Wroclaw, Poland 10 October 2021

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画像説明, 世論調査では、ポーランド国民の大半が、政府は敗北を認めるか妥協すべきだと回答している

欧州司法裁判所(ECJ)は27日、ポーランドが司法改革をめぐってECJの命令に従っていないことについて、従うまで1日当たり100万ユーロ(約1億3000万円)の制裁金を支払うよう命じた。

ポーランドがかねて進めている司法改革は、欧州連合(EU)の理念に反していると批判を受けている。ECJは今年7月、同国の最高裁に当たる憲法裁判所に設けられた懲戒制度の停止を命じたが、ポーランド側はこれに応じていない。

憲法裁判所は先にも、EU法の中心原則を否定する判断を示した。問題とされたのは、EU法が加盟国の国内法より優先されるとする原則だった。

欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、この判断を「ヨーロッパの法秩序の一体性に真っ向から挑戦するものだ」と指摘。欧州議会でポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相と批判の応酬を繰り広げた。

高まる緊張に、ポーランドのEU離脱を懸念する声も上がっている。

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ECJは今回、ポーランドが懲戒制度を停止するか、同制度に関する判決が出るまで、1日100万ユーロの制裁金を科すと決定した。

ECJは、ポーランドが懲戒制度の停止を遅らせることを阻止するために制裁金を科したと説明。「EUの法的秩序に深刻で取り返しのつかない被害が及ばない」ようにするために必要な措置だと述べた。

一方、ポーランド政府のピョートル・ムラー報道官はこの決定は「脅迫」だと非難。セバスチャン・カレタ司法次官も、「ポーランドの憲法と憲法裁判所を完全に軽視・無視している」と批判した。

独立性、中立性に疑問

ポーランド憲法裁は2018年、判事を処罰するための懲戒制度を設けた。

政府は、汚職防止のために必要だと説明している。一方、懲戒制度が判事の判断について制裁を加える権限を持っていることから、独立した判事を罰するものだと批判が出ていた。

ECJは今年7月、この懲戒制度が十分に独立的・中立的ではないと判断し、停止するよう命じた。

モラウィエツキ首相は、EUがポーランドの「頭に銃を突き付けて」要求を飲ませようとしていると批判。EUには加盟国の司法の在り方に介入する権利はないと主張していた。

その上で、懲戒制度の廃止には同意すると述べたものの、期日は発表していなかった。

BBCのアダム・イーストン・ワルシャワ特派員によると、憲法裁は懲戒制度の新規案件の取り扱いをやめているものの、すでに予定が組まれている事案については審議を続けているという。

26日に発表された世論調査では、ポーランド国民の40.8%が、政府は敗北を認めてEUとの論争を終わらせるべきだと回答。政府に妥協を求めたのは32.5%だった。

経済的ペナルティーの是非

EUとポーランドの司法論争をめぐっては、欧州委員会による制裁の是非も争点となっている。

欧州委員会は、ポーランドに対する新型コロナウイルスからの回復基金570億ユーロの支払いを、問題解決まで棚上げするとしている。

これについてモラウィエツキ首相は欧州議会で、「経済的な罰則を持ち出すのは受け入れられない」と反発。EUによる越権行為だと批判した経緯がある。

モラウィエツキ氏率いる与党・法と正義(PiS)はこれとは別に、今年5月にECJが下した、ドイツとチェコ国境にあるトゥルフの褐炭鉱山と火力発電所の操業停止命令に従っておらず、9月から1日当たり50万ユーロの制裁金の支払いを命じられている。

ポーランドは、この火力発電所は地域の暖房と水道供給を担っているとして、この制裁金の支払いにも応じていない。