英陸上選手、「抗議することは基本的人権」 五輪での抗議全面解禁求める

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東京オリンピックにイギリスの短距離走選手として出場するディナ・アッシャー=スミスさん(25)は23日、人権侵害や不正に抗議し意思表示することは「基本的人権」だと述べ、五輪出場選手による抗議の全面解禁を求めた。
東京オリンピック・パラリンピックで選手たちが抗議行為をすることについて、国際オリンピック委員会(IOC)は今年7月、禁止ルールを緩和した。選手たちは競技の前後に「意見を表明」できるようになった。選手たちが試合前に、人種差別への抗議として片膝をつくことは認められる。ただ、競技中や表彰式、選手村では、そうした行為は禁止されている。
これを受けて、表彰台でも差別に抗議するしぐさを認めるよう、一部の選手が連名でIOCに要望書を提出した。
女子100メートル走で金メダル候補とされているアッシャー=スミス選手は、IOCの禁止規定と違反への罰則は、実際には実施不可能だと述べた。
「人種差別に抗議した人を処罰するって、いったいどうやってそうするのか、いったいどうやってそんなことを強制するのか」とアッシャー=スミス選手は言い、「誰かが、人種差別は間違っていると言ったとして、それを理由にその人のメダルを取り上げるのか?」と疑問をあらわにした。
「抗議すること、意思表示することは、基本的人権だと私は思っている」
選手はさらに、IOCの罰則は「まったく実施不可能」だとして、「(以前の規則のままでは)選手が次々と大会中に抗議行動をする事態になって、IOCにとってとても恥ずかしい事態になっていたはず」のため、IOCはルールを緩和したのだろうと述べた。
五輪憲章第50条は、競技会場や選手村で政治的、宗教的、人種的な宣伝活動を禁じている。
しかし、2020年にアメリカで黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に殺害された事件を受けて世界的に人種差別や警察暴力に抗議する動きが広がったことを受け、IOCは競技前後の「意見表明」を認めた。

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このIOCの規則緩和について、多くの選手たちは緩和は不十分だと書簡をIOCに提出した。署名した中には、1968年メキシコ大会でアメリカ国内の人種差別に抗議するため表彰台でこぶしを突き上げた米陸上のトミー・スミス選手とジョン・カーロス選手もいる。
選手たちの書簡は、今の状況は世界のスポーツ界にとって「転換点」だとして、「(IOCによる規則改定は)表現の自由を基本的人権として尊重しようという姿勢も、国際スポーツにおける人種的・社会的平等を実現しようという姿勢も、反映していないと考える」と批判している。
アッシャー=スミス選手は、スミス選手とカーロス選手が表彰台で「ブラック・パワー・サルート」と呼ばれるポーズをした瞬間は、オリンピックの歴史でも特に象徴的な瞬間だったと話す。
「ああいう瞬間があるからオリンピックは記憶に残る。ああいう瞬間をオリンピックで見ると、誇らしい気持ちになる人は大勢いる」









