英政府、ワクチン接種完了者の帰国後隔離を緩和へ

Woman at Heathrow Airport

画像提供, Reuters

イギリス政府は8日、新型コロナウイルスのワクチン接種を終えたイングランド市民について、感染リスクが比較的低い「黄色(アンバー)」に分類される国から帰国した場合の自主隔離を、19日以降は免除する方針を示した。一方で、帰国の前後に自費で新型ウイルス検査を受ける義務は継続するとした。

イングランドでは現在、黄色に加え、感染リスクが高いとされる「赤色」に分類される国からの帰国者について、ワクチン接種の有無にかかわらず10日間の隔離を義務付けている。

旅行業界はこの変更を「前向きな一歩」と歓迎する一方、黄色に分類される国を拡大するよう求めている。

イギリス政府は12日、最新データを検討の上、イングランドで19日に予定されているロックダウン大幅緩和を正式に決定する見通し。

イギリスでは人口の65%が2回のワクチン接種を完了し、85%が1回目の接種を終えている。

一方、8日には新たに3万2551人の感染が報告され、パンデミック開始以来の感染報告数が500万件を超えた。この日の死者は35人だった。

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イギリス政府の渡航に関する信号システムで、最も完全リスクの低い「緑色」に指定されている国・地域は30にも満たない。一方、ホテルでの自費隔離が義務付けられている赤色には50カ国以上が指定されている。

その他の地域は黄色で、スペイン本土やギリシャ、アメリカといった人気の渡航先が含まれている。日本も黄色に入っている。

信号システムの次回の見直しは15日の予定。

自費の検査は継続

今回の変更では、19日から黄色の対象国から帰国したワクチン接種完了者は隔離を免除される。また、ワクチン対象外の18歳未満も隔離は必要ない。

一方、帰国の3日前と帰国2日後の有料検査は継続する。ただし、帰国8日後の再検査は免除されるという。

グランド・シャップス運輸相は、「最後の接種を終えて14日以上経過した」状態を接種完了と位置づけると説明。また、ワクチンは国民保健サービス(NHS)が提供しているものに限ると述べた。

「ワクチン接種完了者は、渡航先の国が黄色か緑色かにかかわらず、帰国した際の手続きが同じになる」

さらに、「アメリカや欧州連合(EU)といった重要市場や観光地についても、晩夏にはワクチン接種完了者に対するアプローチを拡大するために動いている」と述べた。

検査については、「人々の安全を保ち」変異株の流入を防ぐために重要だと述べた一方、検査の価格が多くの家族にとって高すぎるという指摘は否定した。

イギリス政府のウェブサイトには400件近くの検査機関がリスト化されている。最低価格は2.49ポンド(約380円)だが、ほとんどの機関は50~100ポンド(約7500~1万5000円)で検査を提供している。

シャップス運輸相はまた、7月19日の制限緩和以降は、黄色の対象国への渡航勧告も解除される見通しだと話した。

一方で、イギリス政府の信号システムとは別に渡航勧告を提示している外務省は、全ての黄色対象国への渡航が19日から可能になるわけではないと強調している。

しかし最近の渡航勧告の更新では、フランス、ギリシャ、モロッコ、スイス、アメリカ、ジャマイカ、スペイン本土などの黄色対象国が、新たに渡航可能になった。

業界などの反応は?

航空業界団体エアラインズUKのティム・アルダーズレイド会長は、今回の変更は「業界が待ちわびている本当の意味での再開に向けた前向きな動き」だと述べた。

ロンドン・ヒースロー空港のジョン・ホランド=ケイ最高経営責任者(CEO)も歓迎の意を示したものの、「もっと多くの国について、特に重要なパートナーであるアメリカについて、7月末までにワクチン接種完了者の渡航を認めるべきだ」と述べた。

一方、超党派の「議会コロナウイルス対策グループ」のキャロライン・ルーカス副会長は、政府が「デルタ株を国内に招き入れたのと同じ過ちを繰り返す危険をおかしている」と指摘した。

変更をめぐっては、若者からも批判の声があがっている。英オックスフォード大学で博士課程にあるキャサリン・ウッドさんは、政府の発表は、すでにパンデミック中に「大きな犠牲」を強いられてきた若者をいら立たせるものだと話した。26歳のウッドさんは、8月末まで2回目のワクチンが受けられない。

「市民の大半が、特に若者が2回目のワクチン接種を終えるまで変更を待つべきだった。今起きていることに対して、市民としての権利を奪われてるように感じている」

BBCのキャロライン・デイヴィース運輸担当編集委員は、今回の変更はイギリスでワクチンを受けた人だけに限ったもので、海外に住む家族や友人との再会を望んでいる人や、外国人観光客に依存している企業などは、渡航後の隔離の影響を受けると指摘。

有料の検査も継続されるため、それで旅行をためらう人もいるだろうと解説している。

UK cases