バイデン氏、警官増員に資金を充てるよう要求 犯罪防止戦略を発表

Joe Biden

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画像説明, バイデン大統領

アメリカのジョー・バイデン大統領は23日、全国的に急増する殺人事件に対処するため、警官の増員を含む犯罪防止計画を発表した。また、銃規制の甘さが事件急増につながっていると非難した。

バイデン大統領は犯罪多発地域の当局が、新型コロナウイルス救済資金を使って警官を増員できると述べた。

バイデン氏の犯罪対策戦略は、悪質な銃販売店や銃器の密売を減らすことを狙っている。

左派が警察への資金提供を削減するよう求める中、野党・共和党は、バイデン氏率いる民主党は犯罪対策に弱腰だとしている。

バイデン氏の戦略の内容

バイデン氏はホワイトハウスで5つの戦略を発表。警官をパンデミック以前の水準を上回る人数まで増員することなどを含む、公共の安全のための取り組みに対し、新型ウイルス感染症COVID-19救済法案から得られる資金3500億ドル(約38兆8600億円)を充てるよう、各都市や州に求めた。

「この戦略は、問題が犯罪へと発展する前に解決するのを支援するため、警官や看護師、カウンセラー、ソーシャルワーカー、地域の暴力を阻止する人を増員することを意味する」と述べた。

一部の民主党員は、警察への資金提供の削減を求めるBlack Lives Matterの活動家の要求を増幅させている。一方、大統領自身は多くの有権者に不評なこの呼びかけに抵抗している。

バイデン氏は「法執行機関や地域社会に背を向けている場合ではない」と述べた。

来年予定されている中間選挙では犯罪問題が大きな争点になることが予想される。

バイデン氏は武装した民兵についても言及し、連邦政府に対抗するために武器が必要だと考える人には「F-15戦闘機や核兵器も必要だろう」と述べた。

バイデン政権は銃規制を暴力的な犯罪撲滅の中心政策としているが、民主党が議会で提案したアメリカ人の銃器入手制限の審議は共和党に阻まれている。

今回の戦略には、地域社会の暴力介入プログラムや、10代の若者のための雇用機会や夏のアクティビティー、元受刑者の地域社会への復帰支援などへの投資も含まれる。

大統領は最近、複数の大都市の市長をホワイトハウスに招き、犯罪防止について議論を行った。

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なぜアメリカで暴力事件が増えているのか

米連邦捜査局(FBI)が3月に発表した2020年の予備統計によると、殺人事件の件数は前年比25%増と大幅に増加している。これまでのところ、この増加傾向は2021年に入っても続いている。

FBIは9月に正式な数字を発表する予定。予備統計通りになれば、これまでに報告された中で最大規模の増加となる。

「暴力行為が全国的に大幅に増加した」と、コンサルティング会社AH Datalyticsの共同設立者で、米中央情報局(CIA)と国防総省の元アナリスト、ジェフ・アッシャー氏はBBCに述べた。

一部のアナリストは殺人事件の増加を新型ウイルスの感染拡大が原因だとしているが、調査結果によると、感染対策のロックダウンが敷かれる中で人との交流が減少したことから、アメリカを除いた世界の犯罪率は低下あるいは変化がみられなかった。

また、昨年ミネソタ州ミネアポリスで起きた黒人男性ジョージ・フロイドさん殺害事件と、それをきっかけに米国内の都市を襲った市民の暴動を受け、警官の士気が低下したことが原因だと分析する人もいる。

ユタ大学の研究では、アメリカで殺人事件が急増したのは、フロイドさんが警官に殺害された昨年5月下旬とされている。

ただ、こうした急増があったものの、殺人発生率は現在の約2倍だった1990年代初頭に比べればはるかに低い水準にある。

また、レイプや強盗、そのほかの窃盗など、犯罪全体の発生率は、昨年に約6%減り、過去最大の減少幅となった。

昨年は銃の販売数が増加し、家庭内暴力の報告も増加した。アッシャー氏によると、昨年にはアメリカ人がより頻繁に銃器を携帯するようになったことを示す証拠もあるという。

昨年の殺人事件の原因に関するデータはまだ広く公開されていないが、2019年に起きた殺人事件の74%は銃関連だったと、アッシャー氏は指摘した。

バイデン氏の発表の前夜、司法省はニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、ワシントン、サンフランシスコで銃の密売に取り組むことを目的とした新チームを発表した。

ニューヨーク市では次期市長の座を狙う民主党の政治家たちが、共和党のドナルド・トランプ前大統領が選挙キャンペーンのテーマとして掲げ広く非難された「法と秩序」の問題を大きく取り上げている。