アメリカ、ロシア外交官10人を国外追放 サイバー攻撃や選挙介入めぐり制裁

US President Joe Biden speaks from the Treaty Room in the White House, in Washington, DC, USA, on 14 April 2021, about the withdrawal of the remainder of US troops from Afghanistan.

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画像説明, ジョー・バイデン大統領(14日)

アメリカは15日、ロシアがサイバー攻撃などの敵対行為を行ったとして、ロシア政府関係者や企業などを対象とした制裁措置を発表した。

ジョー・バイデン大統領はこの日、対ロシア制裁に関する大統領令に署名した。

制裁対象となるのは、数十のロシア企業や政府関係者。ホワイトハウスは「ロシアによる有害な対外活動」を抑止する狙いがあるとしている。

ホワイトハウスの声明は、昨年起きた、米テキサス州のソーラーウィンズ社が開発したネットワーク管理ソフトへの大規模攻撃にロシアが関与していたほか、2020年米大統領選にも介入していたと非難している。

ロシア側はこうした疑惑をすべて否定しており、制裁への対抗措置を取るとしている。

Vladimir Putin - 14 April

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画像説明, ロシアのプーチン大統領は、バイデン米大統領からの首脳会談の提案を受け入れるか検討しているとされる(14日撮影)

今回の制裁は、アメリカとロシアの関係が緊迫する中で発動された。

アメリカは先月2日、ロシア野党勢力の指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の毒殺未遂事件をめぐり、ロシア政府高官7人と十数の政府系団体に対する制裁措置を発表した。ロシアはナワリヌイ氏の事件への関与を否定している。

バイデン氏は13日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との電話会談で、アメリカの国益を「断固として」守ると誓うとともに、両国が連携できる分野を見つけるために首脳会談の実施を提案した。

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バイデン政権の主張

ホワイトハウスは15日に発表した声明で、今回の新たな制裁措置は、ロシアが「不安定な国際行動」を続ける場合、アメリカが「戦略的かつ経済的に影響力のある方法で、ロシアに代償を払わせる」つもりであることを示すものだとしている。

同声明は、ロシア政府がサイバー攻撃に関与し、アメリカや同盟国における「自由で公正な民主的選挙の実施を損なおう」としているという米政権の見解を改めて主張している。

ソーラーウィンズ社のソフトに対するサイバー攻撃への関与をめぐっては、ロシアの対外情報庁(SVR)を特に非難している。この攻撃では、ハッカーが約1万8000の政府機関および民間のコンピューターネットワークにアクセスした。

今回の制裁では、2020年の米大統領選に影響を与えようとしたり、「その他の偽情報行為」を行ったりしたとされる32の団体や政府関係者が対象となる。

ロシア外交官10人を国外追放とするほか、米金融機関に対し、6月14日以降に発行するルーブル建ての新規債券の購入を禁止する。

バイデン氏は制裁の発表後、「相応」の対応を選択したと語った。「プーチン大統領には、アメリカはもっと踏み込めると明確に伝えていたが、そうしないことを決めた」と記者団に述べた。

ロシア政府の反応

制裁が発表されてから間もなく、ロシア外務省は「対立の温度を危険なまでに上昇させる敵対的な措置」だと反発。「このような攻撃的な行為には当然、断固とした対応を取ることになる」と付け加えた。

ロシア外務省は制裁をめぐり、モスクワ駐在のジョン・サリヴァン米大使を呼び出した。

欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)、イギリスはいずれもアメリカの措置を支持する声明を発表している。

米ロ関係悪化の背景

バイデン氏は2月4日の外交演説で、「ロシアの攻撃的な行動の前にアメリカが屈服する時代は終わった」と述べ、ロシアに立ち向かう方針を明らかにした。

この発言は、プーチン氏をほとんど批判しなかったドナルド・トランプ前大統領の姿勢とは対照的なものだった。

ロシアはウクライナの国境地帯での軍事的プレゼンスを強化しており、アメリカはウクライナでのこうした攻撃的な行動についてもけん制している。

Ukrainian military exercises near Kyiv - 10 April

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画像説明, ウクライナ軍は同国東部へのロシアの侵攻を恐れている。写真は首都キーウ(キエフ)でのウクライナ軍の演習の様子(10日撮影)