フランス教師殺害、生徒4人を拘束 金銭と引き換えに容疑者に協力か

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フランス・パリ近郊で、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を教材として生徒たちに見せた教師が首を切断されて殺害された事件で、生徒4人が拘束されていることが19日、司法当局関係者の話で明らかになった。
司法当局筋は19日、容疑者が教師サミュエル・パティさんを特定するのを、金銭と引き換えに手伝った可能性がある生徒4人を拘束していると、AFP通信に述べた。
これで今回の事件の逮捕者は15人になった。捜査当局は事件後まもなく、容疑者の近親者4人を逮捕。翌17日には、同校の生徒1人の父親や、地元メディアでイスラム過激派とされる宗教指導者ら、6人を逮捕した。その後さらに1人を逮捕した。
生徒の父親は、オンライン上でパティさんに対する反対運動を立ち上げていたと報じられている。
ジェラルド・ダルマナン仏内相は19日、この父親らがパティさんに対して「ファトワ」(イスラム教の法学者が宗教的な立場から出す勧告や判断)を出していたとして非難した。
過激派とみられる人物を家宅捜索
警察は19日、過激派の疑いのある人物の家宅捜索を約40件行った。必ずしも今回の事件の捜査と関連しているわけではないというが、今後もさらに家宅捜索を行うとみられる。
ダルマナン内相は、パティさん殺害を支持するメッセージを投稿したとみられる約80人について、警察が事情聴取を行う方針だと述べた。
内務省関係者はAFP通信に対し、「断固とした態度でこうした動きを攻撃し、弱体化させたいと考えている」と述べた。
ムスリム系団体を調査
フランス政府はまた、フランスの51のムスリム(イスラム教徒)関連団体を調査している明かした。憎悪を助長していると判断した場合には、団体を閉鎖するという。
ムスリム人権団体「反イスラモフォビア共同体」(CCIF)については、ダルマナン内相が「国家の敵」に分類した。CCIFはフランス国内での反イスラムの憎悪犯罪(ヘイトクライム)を監視している。
ダルマナン氏がCCIFが「明らかに」今回の事件に関与していると発言したことを受け、同団体は名誉毀損(きそん)だと訴えた。
事件発生の知らせを受け、CCIFは声明で「教師のご家族に対し、痛みと悲しみの意」を表明していた。
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事件は16日午後5時ごろ、パリ近郊コンフラン=サントノリーヌの学校、コレージュ・デュ・ボワ・ドルヌの近くで起きた。男が教師、サミュエル・パティさん(47)を殺害し、その遺体の写真などをソーシャルメディアに投稿。かけつけた警官たちにエアガンで発砲し、警官たちに射殺された。
対テロ検察官のジャン=フランソワ・リカール氏は、容疑者の氏名を「アブドゥラフ・A」とのみ発表。モスクワで生まれたチェチェン系の18歳で、子供の頃に難民としてフランスに移住した。対テロ警察は、容疑者をこれまで把握していなかったという。
事件現場から約100キロ離れたノルマンディーのエヴルー在住で、殺害された教師や学校とは関係がなかったもよう。

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この残忍な殺人事件はフランスに衝撃を与えている。
18日にはフランス各地でパティさんを支持し、言論の自由を守るための大規模集会が開かれた。
政府主催の追悼式は21日にパリ市内のソルボンヌ大学で開かれる予定。
風刺画を教材に使い脅迫され
リカール検事によると、歴史と地理を教えるパティさんは言論の自由を教える教材として、週刊紙シャルリ・エブド襲撃事件のきっかけになった預言者ムハンマドの風刺画を授業で生徒たちに示した。以来、脅迫を受けるようになったという。
パティさんはイスラム教徒の生徒たちには、風刺画を見ると不愉快になりそうなら、顔を背けたほうがいいと勧めていた。
シャルリ・エブド事件については現在、共犯者に対する公判が行われている。
イスラム教では偶像崇拝が禁止されており、ムハンマドやアッラーの描写はムスリムにとって非常に侮辱的な行為にとらえられかねない。
フランスのムスリムの中には、自分たちの信仰を理由に人種差別などの標的にされることが多いと主張する人もいる。こうした問題は長年、フランス国内で緊張を生んでいる。
パティさんと面識なし
容疑者は事件当日の午後に学校へ向かい、生徒たちにどの人がパティ教師か教えるよう話しかけたという。
授業が終わり徒歩で帰宅するパティ教師を追いかけ、刃物で頭に複数のけがを負わせた後、首を切り落としたとされる。
複数の目撃者が、「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」という叫び声を聞いたという。
男は警官によって計9発、撃たれたという。男の遺体の近くでは、刃渡り30センチの刃物が発見されたという。
当局によると、容疑者の訴追歴は軽犯罪についてのみだった。









