「ワシントン大行進2020」でフロイドさん遺族、警察暴力に抗議 「変化の声に」

Some 250,000 supporters gathered in DC for the 2020 March on Washington

画像提供, Getty Images

画像説明, 歴史的な「ワシントン大行進」から57年の28日、人種差別に抗議する人たちがワシントンに集まった

アメリカ公民権運動の一環で人種差別撤廃を訴えた1963年の「ワシントン大行進」と同じ8月28日、数万人が同じようにワシントンのリンカーン記念堂の前に集まった。警官の暴行でジョージ・フロイドさんを亡くした遺族は、フロイドさんの代わりに声を上げ続けるよう参加者に呼びかけた。

フロイドさんの妹、ブリジット・フロイドさんはこの日の集会で、「私の兄は今日、声を上げられません。代わりに私たちがその声になり、変化を推進しなくてはなりません」と呼びかけた。ジョージ・フロイドさんが5月下旬に白人警官に暴行され死亡したことを機に、人種差別や警察暴力に抗議する動きが全米に広がり、欧州などにも飛び火した。

1963年のワシントン大行進では、アメリカの黒人に参政権など平等な市民権を求める公民権運動のさなか、故マーティン・ルーサー・キング牧師を筆頭に、約20万人がワシントンを行進した。この時にキング牧師が有名な「私には夢がある」演説を、リンカーン記念堂から行った。翌年にはアメリカで人種差別を禁止する歴史的な1964年公民権法が成立し、1965年には投票における人種差別を禁止した1965年投票権法が成立した。

George Floyd's sister Bridgett Floyd speaks as Rev Al Sharpton and Philonise Floyd listen during the March on Washington at the Lincoln Memorial on August 28, 2020 in Washington, DC

画像提供, Getty Images

画像説明, 兄の代わりに声を上げてほしいと呼びかけるブリジット・フロイドさん。後ろに兄フィロニース・フロイドさんとアル・シャープトン師
Rev Al Sharpton gathers with protesters in the Lincoln Memorial

画像提供, Getty Images

画像説明, 抗議参加者のマスクに書かれた「8:46」は、警官が膝でフロイドさんの首を圧迫し続けたとされる8分46秒を意味する
Black Lives Matter protesters stand near the Lincoln Memorial on 28 August, 2020

その大行進を記念する今回の行進は、「決意の行進:我々の首からその膝を外せ」と名づけられた。警官がフロイドさんの首を自分の膝で8分46秒間抑え続け、死亡させたことに言及したもの。

行進にはフロイドさんの家族のほか、警察によって死亡もしくは負傷した黒人の家族が複数参加。キング牧師が演説したのと同じ場所から口々に人種平等の実現を求め、そのために11月の大統領選・連邦議会選で投票するよう呼びかけた。

Jacob Blake Sr

画像提供, Getty Images

画像説明, 警察に至近距離から背中を7回撃たれた、ジェイコブ・ブレイクさんの父親、ジェイコブ・ブレイク・シニアクさん

ウィスコンシン州ケノーシャで23日に、警察に至近距離から背中を7回撃たれた黒人男性、ジェイコブ・ブレイクさん(29)の父親、ジェイコブ・ブレイク・シニアさんは、この集会はアメリカの人種差別を裁いているのだと演説。アメリカの人種差別への評決は「有罪、有罪、有罪!」だと繰り返した。

「良心の連立」復活

この日の行進は、黒人活動家アル・シャープトン師と、キング牧師の長男、マーティン・ルーサー・キング3世さんが主催した。

キング3世さんは、「私の父が『良心の連立』と呼んだものが現代によみがえった」と述べ、「目的と情熱をもって前進すれば、1960年代にあれだけ勇敢に始まった運動を、我々が完成させられる」と訴えた。

Protesters hold signs from inside the Lincoln Memorial Reflecting pool during the 2020 March on Washington

画像提供, Getty Images

画像説明, 「人種差別こそパンデミック、革命が治療」とプラカードを掲げる参加者

野党・民主党のアヤナ・プレスリー下院議員(マサチューセッツ州選出)は、黒人アメリカ人のこれまでの「犠牲と自己決定が歴史を形作り、私たちをこの瞬間へと導いてくれた」と先人を称え、「私たちは、大文字Bで始まるBlackだ」と表明。「私たちはこの運動を体現する存在。私たちは、社会的、政治的、文化的前進のシンボルです」と強調した。

Social distancing measures are in place

画像提供, Getty Images

画像説明, 感染対策をとりながら抗議に参加した人たち
Protesters stand in the Lincoln Memorial Reflecting Pool during the 2020 March on Washington

画像提供, Getty Images

民主党の副大統領候補、カマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州選出)はバーチャルに出席。両親が公民権運動に参加し、人権運動に熱心な母親に育てられたハリス議員は、過去の公民権運動の指導者たちをたたえ、「先祖たちのために行進し、自分の子供たちや孫たちのために行進しましょう」と呼びかけた。

抗議行進の主催者はほかに、警察予算を削減しその分を黒人コミュニティーの医療や住宅改善に振り分けることや、奴隷使役に対する補償などを要求した。

Participants listen to speakers at the Lincoln Memorial
画像説明, リンカーン記念堂前で演説を聞く人たち

「危機の最中だ」

リンカーン記念堂へと続く大通りには、午前7時から参加者が列を作った。

フィラデルフィアからワシントンまで来たというロイド・マイナーさんは、「変化を求めるとこの政権に要求するため、自分の役割を果たすために来た」と話した。

レックス・イクエメさんは、「今は危機の最中にあって、本当に何とかしなくてはならない。こんな生き方を続けるわけにはいかない。自分の同胞が毎週のように死ぬのを映像で見せられるわけにはいかない。そんなのは普通のことじゃない」と危機感を示した。

ヴァージニア州から参加したというアーテリア・ブライアントさんは、黒人の置かれている状況は1963年からそれほど変わっていないと言い、警察に拘束された黒人が死亡する事件について、政治家や法執行機関が責任をとるよう求めた。その第一弾としてブライアントさんは、ケンタッキー州の自宅にいた26歳の医療技師ブリオナ・テイラーさんが、家宅捜索に来た警官たちに射殺された事件に触れ、「まずはブリオナ・テイラーを殺した警官たちを逮捕してほしい」と述べた。

参加者の多くは、「警察活動に正義を求めるジョージ・フロイド法」と呼ばれている連邦法案を急ぎ成立させるよう求めた。また、公民権運動の闘士で今年7月にがんのため亡くなったジョン・ルイス下院議員の名前を冠した、「ジョン・ルイス投票権推進法案」の早期成立も要求している。

ニューヨークから行進に参加したというパトリック・レイエスさんは、57年前のワシントン大行進は1965年投票権法など画期的な立法や政策の実現につながったものの、それ以降の立法は内実に欠けたものが多く、「有権者の投票抑圧は今も続いている」と指摘。

「我々はただお願いしているんじゃない。正義を要求しているんだ」と、レイエスさんは述べた。