社主逮捕の香港紙、当局との対決姿勢鮮明に 1面に連行写真

画像提供, Reuters
香港の新聞・蘋果日報(アップルデイリー)は11日付の紙面で、社主の黎智英(ジミー・ライ)氏(71)が前日に逮捕された場面の写真を1面に掲載。当局と闘う姿勢を鮮明にした。
香港メディア界の大物で民主化活動家の黎氏は10日、中国政府によって制定された香港国家安全維持法(国安法)に基づき、香港警察に逮捕された。外国勢力と結託した疑いがかけられている。
逮捕時には、警官約200人が新聞社の建物を家宅捜索。黎氏を後ろ手に手錠をかけて連行した。
11日付の蘋果日報は1面に、このときの黎氏の写真を大きく掲載。「蘋果日報は必ず闘い続ける」との見出しを掲げた。

画像提供, EPA

香港の一部では、同日午前2時半ごろからこの新聞を買い求める市民が列をつくった。
同紙は、香港と中国の指導部を歯に衣着せずに批判することで知られる。通常は10万部を発行するが、この日は50万部以上を刷ったという。
<関連記事>
多くの香港市民が英雄視する黎氏は、これまで国安法違反容疑で拘束された人の中で、最も著名な人物。
ただ、中国本土では以前から、売国奴と呼ばれてきた。
黎氏の逮捕の数時間後には、著名若手活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏や、フリーランス記者のウィルソン・リ氏ら9人も、国安法違反の疑いで逮捕された。

画像提供, Reuters

米英などが強く非難
香港警察による一連の逮捕を受け、アメリカやイギリス、国連は、香港の自由が脅かされているとして、中国側への批判を強めた。
アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、「ジミー・ライ氏の逮捕を深く憂慮している」、「中国共産党が香港から自由を奪い去り、人々の権利を侵していることのさらなる証拠だ」とツイート。
イギリスのボリス・ジョンソン首相の報道官はロイター通信に、「国安法が反対派を黙らせる口実に使われていることを示す新たな証拠だ」、「香港当局は市民の権利と自由を支持しなければならない」と述べた。

ロンドンに避難している民主化活動家の羅冠聡(ネイサン・ロー)氏はBBCに、今回の逮捕は「香港当局者を対象としたアメリカの制裁に対する報復であるのは疑いない」と述べた。
また、「香港の自由を奪い去り」、香港市民を黙らせ、広範な「恐怖政治」を作り出そうとするものだとした。
アメリカは7日、香港の中国政府職員ら11人に、政治的自由を奪っているとして制裁を科した。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官も対象に含まれている。
これに対し中国は10日、アメリカの上院議員ら11人を制裁の対象とすると発表した。
外国人記者クラブに「中傷やめよ」
香港の外国人記者クラブ(FCC)は、新聞社への家宅捜索や逮捕を非難する声明を出した。
これを受け、香港の中国外務省の出先機関はFCCに対し、「報道の自由を口実として」国安法の「施行を中傷するのはやめよ」と警告したと、中国の新華社通信が伝えた。
出先機関の広報担当は、「FCCは黎氏を無罪と決めつけ、香港を混乱させようとする反中国勢力に協力しようとしている」と述べたという。
一方、国連のミチェル・バチェレ人権高等弁務官は、国安法の執行状況を監視し、人権を制限するようなことがあれば改正するよう香港の当局に要求した。
人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、蘋果日報への攻撃について、同紙の部数を減らすことを狙った可能性があると指摘した。










