アメリカのロックダウン、1週間早ければ「3・6万人の命救えた」=研究

画像提供, Reuters
米コロンビア大学の研究チームはこのほど、アメリカで1週間早くロックダウン(都市封鎖)を始めていれば、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)が原因の死者数を3万6000人少なく抑えられていたはずだという推計を発表した。
この研究ではさらに、ロックダウンが2週間早い3月1日に始まっていれば、5万4000人の命が助かっていたと試算。これは研究対象となった5月3日までの死者6万5300人の83%に当たる。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカでは日本時間24日午前現在、9万7000人以上が亡くなっている。
ドナルド・トランプ米大統領は、この研究は「政治的な暗殺が目的だ」と一蹴している。
アメリカのロックダウンの経緯
研究では、実際より厳しい制限をより早く導入することで、その効果は劇的に変わったかもしれないことを示唆している。
それによると、研究によって「早期介入と積極的なウイルス対策の重要性が示された」という。

トランプ大統領は3月16日に、国民に対し移動を制限するよう指示した。これは世界保健機関(WHO)が、新型ウイルスがパンデミック(世界的流行)になったと発表してから5日後に当たる。
アメリカでは各州が異なる時期にロックダウンに入った。カリフォルニアとニューヨークはそれぞれ19日と23日にロックダウンを開始した。一方、最も遅かった州のひとつ。ジョージアでは4月3日にロックダウンを始めた。
トランプ政権が欠陥のある検査を導入し、その実施が遅れたことで、各州が2月から3月末にかけてアウトブレイクの情報を十分に持っていなかったこ可能性もあると批判する声もある。
トランプ大統領自身もこの期間は、感染リスクを軽視していた。
「私の決断はとても早かった」
ミシガン州を訪問中にこの研究について質問されたトランプ氏は、「私の決断はすごく早かった。だれが考えるよりも早かった」と話した。
その上でトランプ氏は、コロンビア大学の研究については、自分への政治的攻撃が目的だと一周した。
しかし研究は、他の政治家が市民に自宅待機を命じた時期についても疑問を投げかけている。
たとえばアメリカの感染の中心となったニューヨーク市では、ニューヨーク州全体がロックダウンされる1週間前に学校の閉鎖を決めている。
この研究について聞かれたニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、「この国がもし情報をより多く、より早く得ていたら、もっとたくさんの人を救えたかもしれない」と認めた。
フォード工場を視察、マスクは「一部で着用」
トランプ大統領はこの日、ミシガン州の自動車大手フォードの工場を視察した。
アメリカでは全50州で一部の経済活動が再開されており、トランプ氏はアメリカ経済の再開を強調したい狙いがある。
ミシガン州では新型コロナウイルスで5000人以上が亡くなり、州別では4番目に多い。
ミシガン州のグレッチェン・ウィトマー知事(民主党)は厳しいロックダウン施策を導入していたが、共和党のトランプ大統領は「厳しすぎる」としてウィトマー知事を非難。4月半ばには、「ミシガンを解放しろ」とツイートするなどしていた。
ミシガン州では公共の場でのマスク着用を義務付けており、フォード工場も同様。一方でトランプ氏は報道陣の前ではマスクを着用しなかったが、工場の一部の場所では着けたと話した。
トランプ氏は、メディアのいる場所はマスクの着用が「不要」だと説明。一方で、別の場所ではゴーグルとマスクを着けたと話した。
「選んでいいと言われたので、フォードが着けてほしいという場所では着けた。マスクをした自分の姿をマスコミに見せて喜ばせたくない」
フォードの広報担当者は先に、工場の訪問者は全員、個人向け防護具(PPE)の着用が義務付けられるが、トランプ氏に関してはホワイトハウスが決めることだと話していた。
ミシガン州のダナ・ネッセル州司法長官はCNNの取材に対し、トランプ大統領がマスクをつけなかったことについて、「私たちはただトランプ大統領に、州法に従うよう求めているだけだ」と苦言した。
ネッセル長官はその後、公開書簡を発表し、トランプ氏には「分別のある予防策を取る法的責任だけでなく、社会的・道義的責任がある」と指摘した。












