インド不法移民に市民権 「イスラム教徒は対象外」に強い反発

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インドで10日、近隣3カ国からの不法移民に市民権を与える「インド市民権改正法(CAA)」が施行された。しかし、イスラム教徒は対象外で、差別的だとする抗議行動が各地で続いている。
インドで最も人口の多い北部ウッタル・プラデシュ州でも、市民権取得の資格がある人の認定が始った。
同州政府トップのシュリカント・シャルマ氏(インド人民党、BPJ)は記者団に対し、これまでに州内80地区中21地区の約3万2000人について、市民権取得の資格を認定したと述べた。
イスラム教徒は対象外
CAAは、インドに不法に入国したヒンドゥー教、シーク教、仏教、ジャイナ教、パールシー教、キリスト教の各教徒について、イスラム教徒が多数を占めるパキスタン、バングラデシュ、アフガニスタンのいずれかの出身だと証明できれば、インドの市民権を申請できるとしている。
さらに、これまでは市民権申請には、11年間のインド国内での居住あるいは労働が条件だったが、6年間に短縮された。
一方で、インド出身で外国の市民権を持つ人に無期限の居住や労働を認める、海外インド市民権(OCI)保持者は、重犯罪あるいは軽犯罪、または法律に違反した場合、OCI資格を失う可能性があるとしている。
CAAは差別的と
ヒンドゥー民族主義のBPJが過半数を占めるインド政権は、CAAは人々を迫害から守るだろうと主張している。
しかし、インド国内の2億人以上のイスラム教徒を追いやろうとする「ヒンドゥー民族主義」の一環だとの非難が上がっている。
さらに、政府が隣国からの「侵入者」を排除するための幅広い対策を講じるとしていることも、市民に不安を与えている。
この対策が、先祖がインドに住んでいたことを証明するための書類に基づいて実施されることから、多くのイスラム教徒市民が無国籍になるのではないかと恐れている。
デモで多数が死亡
CAAをめぐっては、差別的だと訴えるデモが複数起きている。
ウッタル・プラデシュ州には多数のイスラム教徒が暮らしており、その多くがデモに参加した。一部では暴力的な抗議へと発展し、同州だけで30人が死亡した。
BPJ率いる同州政府は、抗議者に対して不相応な武力行使をしたとして非難を受けている。犠牲者の多くは、警察による発砲で死亡したとされる。
市民の不安をよそに、シャルマ氏は、同州でCAAに則り、移民の市民権取得資格の認定が始まったと発表。
申請手続きは開始したばかりで、他の地区からのデータが増えることで、申請件数は増加するだろうと付け加えた。
インド各地でデモ
CAAに反対するデモは、ムンバイ、コルカタ、バンガロール、ハイデラバードなど、インド各地に拡大している。
デリーやウッタル・プラデシュ州では、デモに参加した学生に武力行使をした警察への批判が上がった。その後、学生との連帯を示す大規模な行進が行われた。

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北部カーンプルやムザファルナガルでは、複数の死者が出た。
抗議者は、CAAはインド憲法の世俗的な性質を侵害しており、宗教が市民権を得る基準にはならないと主張している。
インドの現状は「残念」
インド生まれで、マイクロソフト最高経営責任者(CEO)のサティア・ナデラ氏は、CAAについて、「あそこ(インド)で育ったといえる者として、(インド国内で)起きていることは残念だと思う。(中略)単純に悪い状況だと思う」と述べたと、バズフィードが13日に報じた。
ナデラ氏は、「インドにやってくるバングラデシュの移民が、インド国内で新たなユニコーン企業を設立したり、あるいはインフォシスの次期CEOに就任する姿を見てみたい」と述べたという。
この発言の後、マイクロソフト・インドはナデラ氏の声明とする文書を公表。そこには、「それぞれの国が、自国の国境を定め、国家安全保障を保護し、適宜移民政策を設定するだろうし、そうするべきだ」と書かれていた。







