米俳優スペイシー容疑者、少年を性的暴行の容疑否認 

Spacey leaving court

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画像説明, 容疑を否認して法廷を出る俳優ケヴィン・スペイシー容疑者(7日、米マサチューセッツ州)

2016年に未成年少年に酒を飲ませ性的に暴行したとして訴追された米俳優ケヴィン・スペイシー容疑者(59)は7日、事件があったとされる米マサチューセッツ州の法廷に初出廷した。罪状認否では本人の代わりに、弁護士が容疑2件を否認した。

マサチューセッツ州ナンタケットは海辺のリゾート地で、通常は冬になると人が少なくなるが、この日は大物俳優の初出廷をマスコミが待ち構えた。

自家用機で現地入りしたスペイシー容疑者(本名ケヴィン・S・ファウラー)は、ナンタケット地区裁判所のトマス・バレット裁判長に、被害者との接触は認められないと告げられると、うなずいた。

弁護士が容疑2件について否認すると、容疑者は保釈金の支払いなしで裁判所を出ることを認められた。審理は約10分で終わった。

これに先立ち弁護士は法廷に、罪状認否は本人欠席のまま行うよう要請していたが、裁判長はこれを却下した。

灰色のスーツと水玉模様のネクタイ、花柄のシャツを着て出廷したスペイシー容疑者は審理中、担当のアラン・ジャクソン弁護士と短く冗談を交わしていたが、法廷での陳述はしなかった。ことさらに感情を顔に出さず、穏やかな表情で裁判長を見つめていた。

裁判長は、次回期日を3月4日と決定した。

動画説明, 米俳優スペイシー容疑者が初出廷、沈黙つらぬく

マサチューセッツ州ケープ・アンド・アイランズ地区検察は昨年12月、2016年7月にナンタケットのレンストラン「クラブ・カー」で起きたとされる事件について、性的脅迫と暴行の容疑でスペイシー容疑者を訴追した。被害者は元ニュースキャスター、ヘザー・アンルー氏の息子。

アンルー氏は昨年11月に記者会見し、当時18歳だった息子にスペイシー氏が酒を買い与えた上で、息子の体をまさぐったとして告発していた。マサチューセッツ州で飲酒が認められるのは21歳から。

有罪となれば、最長5年の実刑判決を受ける可能性がある。

動画説明, スペイシー氏は「性的プレデター」 母親が息子の被害を訴え

被害者はスペイシー容疑者を民事訴訟でも提訴しているが、刑事裁判では出廷しない。

検察によると、当時18歳だった被害者は、ピアノの前に並んで立っていた際に、容疑者に体をまさぐられたと告発している。現場の様子を撮影した動画もあり、その一部をガールフレンドに送って見せたと警察に話したという。

これについて、容疑者の弁護団はビデオは罪状を立証するものではないと主張。ジャクソン弁護士は、被害者が携帯電話からコンテンツを削除しないよう法廷に要請し、裁判長はこれに同意した。

The alleged incident occurred at The Club Car restaurant in Nantucket.

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画像説明, スペイシー容疑者が未成年者を性的に暴行したとされるマサチューセッツ州ナンタケットのレストラン
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画像説明, 初出廷したスペイシー容疑者を報道陣や通行人が取り囲んだ
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他の疑惑は

マサチューセッツ州の事件とは別に、米ロサンゼルス郡検察局は今年9月、1992年に起きたとされた性的暴力事件について、時効を理由に訴追を見送ると発表していた。

スペイシー容疑者は2003年から2015年にかけて、ロンドンのオールド・ヴィック劇場で芸術監督を務めた。この間に起きたとされる多数の問題行動疑惑について、英国の警察も捜査を進めている。

スペイシー容疑者については昨年10月末に、米俳優アンソニー・ラップ氏が30年以上前に性的関係を持ちかけられたと名乗り出た。それ以来、類似の告発が相次ぎ、米英の警察が捜査に着手した

スペイシー容疑者はラップ氏の告発については記憶にないとしながら謝罪したものの、その後の他の疑惑については「完全」否定していた。

しかし、映画の出演場面は別の俳優で撮り直しになった。主演ドラマ「ハウス・オブ・カード」は一時製作中断の後、スペイシー容疑者演じる「米政治家フランク・アンダーウッド」は姿を消したまま再開し、最終回を迎えた。

マサチューセッツ州の事件について訴追された昨年12月24日、スペイシー容疑者はこの「フランク・アンダーウッド」を演じているかのような様子で、身の潔白を訴えているようにとれるビデオをYouTubeなどに投稿した。ドラマの「フランク・アンダーウッド」は、権力のためなら殺人も辞さない策略家だった。

A still from a video in which Mr Spacey appears to deny any wrongdoing

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画像説明, スペイシー氏は昨年12月24日、主演していた連続ドラマ「ハウス・オブ・カード」の役柄になりきって謎めいたビデオを投稿した

容疑者は「フランク・アンダーウッド」の語り口で、ドラマでしばし繰り返したようにカメラ目線で、「やっていないことの代償など、もちろん払わない」と、見る側に語りかけた。

「証拠もないまま最悪の事態なんて信じないだろう? 事実の裏づけもないまま性急に判断などしないはずだ」、「もちろん中には、全て信じた人もいた」とスペイシー容疑者はビデオで続ける。「私が洗いざらい告白するのを聞こうと、そいつらは息を殺して待ちわびてきた」。

「やつらは私のことを、無礼だ、ルール違反だと言うだろう。私がこれまで他人のルールに従ったことがあるみたいに。そんなこと一度もしたことないのに。君はそういう私が大好きだった」

3分間の動画には「Let Me Be Frank」とタイトルがついていた。これは「正直に言おう」という意味と、「フランクになろう」という両方の意味がかけられている。性的暴力疑惑が昨年秋に最初に持ち上がって以来、同氏が世間の前に出るのはこれが初めてだった。