スペイシー氏に「恥を知りなさい」 糾弾の声次々と

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米俳優ケビン・スペイシー氏に性的嫌がらせをされた、性器を触られた、さらには性的加害行動を目的にした捕食動物(プレデター)のような振る舞いをされたと、複数の人が糾弾の声を上げている。非難の内容は、1980年代半ばから2016年の間の行為について。ハリウッドでスター俳優や監督などとして数十年にわたり活躍し、ロンドンではオールド・ビック劇場の芸術監督を務めたスペイシー氏に対して、疑惑が高まっている。
BBCはスペイシー氏にコメントを求めている。
スペイシー氏への一連の非難のきっかけとなった内容を10月にツイートしたジャーナリストは8日、記者会見を開いた。
ヘザー・アンルー氏は10月13日、ツイッターに「ワインスティーンのスキャンダルで勇気づけられた。真実の時。愛する家族がケビン・スペイシーに暴力を振るわれたと知るまで、私はファンだった。ドミノが倒れる時がきた」と書いた。
元ニュースキャスターのアンルー氏はボストンで記者会見し、当時18歳だった息子が2016年7月、マサチューセッツ州ナンタケットのバーでスペイシー氏に性的暴力を振るわれたと語った。
アンルー氏によると、自分の息子はスペイシー氏に酒を飲ませられた。マサチューセッツ州で飲酒が認められるのは21歳から。息子を酔わせたスペイシー氏は、「息子のズボンに手を入れ、性器をつかんだ」とアンルー氏は明らかにした。
さらに、スペイシー氏は息子をパーティに誘ったが、息子はスペイシー氏がトイレに行っている隙にバーから逃げ出したという。
この件について、警察が捜査に着手しているとアンルー氏は話した。
「恥を知りなさい。うちの息子によくもあんなことを。あなたのしたことは犯罪だ」と、アンルー氏は涙ながらに非難した。
米俳優アンソニー・ラップ氏が10月30日、自分が14歳の時にスペイシー氏に性的に言い寄られたと明らかにして以来、米動画配信サービス「ネットフリックス」はスペイシー氏主演の連続ドラマ「ハウス・オブ・カード」の制作を中断し、スペイシー氏を降板させた。国際テレビ芸術科学アカデミーは、予定していた国際エミー賞功労賞の授与を撤回した。さらに代理人兼広報担当者は、スペイシー氏との顧客契約を解消した。
ラップ氏の主張を受けてスペイシー氏は、この出来事を覚えていないとした上で、謝罪した。
ロンドン警視庁は11月3日、2008年にスペイシー氏に暴行されたという男性の告訴を受け、捜査中だと認めた。
スペイシー氏は、一連の指摘を受け、治療を受けようとしているとコメントしている。ただし、どのような治療を受けるつもりかは明らかにしなかった。
その後、さらに複数の男性が被害に遭ったと名乗り出ている。

北アイルランドのベルファスト出身でバーテンダーのクリス・ニクソン氏は、2007年にロンドンのオールド・ビック劇場に近いバーで働いていた。ニクソン氏はその当時、パーティでスペイシー氏に痴漢行為をされたと話す。
「ケビン・スペイシー がソファで自分の隣に座り、その後、手を伸ばしてきて私のペニスを触った」とニクソン氏は話した。
ニクソン氏によるとスペイシー氏はその後、性的行為をしてやると持ちかけてきた。ニクソン氏はその後、パーティを後にしたが、2週間後に勤務先のバーの地下にいたニクソン氏は、自分の60センチ後ろにスペイシー氏がいることに気づいたという。
スペイシー氏にベルトをつかまれ、「埋め合わせをする」と言われたのだと、ニクソン氏は話した。
「大騒ぎしたくなかった。スペイシー氏は客だったので。クビにもなりたくなかった。アンソニー・ラップ氏が声を上げるまで、絶対誰にも話せないと思っていた」
そのほか、米カリフォルニア州在住の映画監督がBBCに対し、映画の撮影スタッフだった22歳当時、スペイシー氏に体をまさぐられ、性的嫌がらせ受けたと話した。
現在44歳のこの男性は、匿名を希望。1995年にスペイシー氏が監督を務めた「アルビノ・アリゲーター 」の撮影中に、「権力者」の同氏が性的関係を持とうとしてきたと言う。
「彼は誰に対してもとても気さくだった。僕たちは握手をして、無効は僕に興味を持ち始めた。僕の学生映画を見てくれると言うので、とても嬉しかった」
しかし、スペイシー氏はすぐに「気味が悪い」態度をとるようになり、自分の監督用の椅子に座るようこの男性に強く促したという。
「首や肩をマッサージされ始めて、とてつもなく気まずかった」
この映画監督は、当時の自分が若くて経験不足だったから、標的にされたのだと話した。
「撮影が終わりに近づいたある日、向こうは僕の横に座って自分の太ももを僕の太ももに擦り寄せてきた。僕の太ももに手を置き、太ももの内側の方に手を動かしてきた」
男性はBBCに対し、アンソニー・ラップ氏が明らかにした被害内容を知り、自分も公表することに決めたものの、スペイシー氏が業界でいまだに影響力のある地位にいるため、自分の素性を明かすのが非常に不安だったと話した。
1995年当時、スペイシー氏は影響力のある地位にいたため、男性は非常に困惑したという。
「僕は映画の撮影現場で一番の実力者にちやほやされていたわけで、ハリウッドで仕事がしたかったんだ」と男性は話した。
「でも目をかけられたけど、ひどく不安で居心地が悪くなり、混乱してしまった。どうすれば良いか分からず、追い詰められた気分になった。自分は嫌がらせされているんだと、感じていた。性的嫌がらせを」
男性は公表することで、他の人たちを勇気づけたいと話した。
「僕が22歳の時にそうだったように、公表する人たちが1人で混乱しているなら、あなたは1人じゃないと思ってほしい」
スペイシー氏と会った後、鬱(うつ)になったとBBCに話す女性もいる。
現在ロンドンで舞台芸術を教えるケイト・エドワーズ氏は1986年当時、ブロードウェイで上演された舞台「夜への長い旅路 」の製作助手だった。その際に、スペイシー氏に性的関係を迫られたと、エドワーズ氏は言う。
当時17歳だったエドワーズ氏は、当時27歳のスペイシー氏と同じエレベーターに2人で乗っていたところ、スペイシー氏のマンションで開かれる「ジェイムズ・ディーンの誕生日パーティー」に招待された。

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エドワーズさんが到着すると、他に誰もいなかったという。
エドワーズ氏は合意の上でスペイシー氏にキスしたが、居心地が悪くなり始め、他の人たちはいつ到着するのか尋ねた。
「家に帰って着替えたいと言った。プレッシャーをかけられていると思った。私とセックスするのが狙いなんだと、かなりはっきりした」
「態度が一気に冷たくなって、『勝手に帰って』と言われた」
エドワーズ氏は、「混乱して、完全に一人ぽっちで、自分が恥ずかしくなった」という。
スペイシー氏はその後、エドワーズ氏を「完全に無視」した。エドワーズ氏は鬱状態になり、体重が増え、最終的にこの作品で仕事を続けることができなくなったと語った。
エドワーズ氏は、スペイシー氏に今こう伝えたいという。「あなたがやったことで私は傷ついたと知って欲しい。あれから何年も、影響は続いた」。
「あなたが私にしたこと、他の人にしたことは、決して受け入れられない」
(取材 ジョージーナ・ラナード、アリス・ハットン)









