ロシアのトランプ氏情報入手の元MI6職員、自宅出て潜伏

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ドナルド・トランプ次期米大統領とロシアの関係について情報を入手し文書を作成したとされる英国情報機関MI6の元職員が、自宅を後にして潜伏していることが分かった。
ロンドンの情報コンサルタント会社「オービス」を経営するクリストファー・スティール氏は、ロシア当局がトランプ氏個人を失墜させられるような経済関係と私生活の情報をつかんでいるという報告を作成した人物と広く指摘されている。
BBCニュースのポール・ウッド記者によると、スティール氏は名前が公表される前の10日か11日に自宅を出て、今は潜伏しているとみられる。子供が4人いるスティール氏は、3匹の猫の面倒を隣人に頼んだという。
ウッド記者は昨年10月に問題の文書を入手。その際に、トランプ氏の選挙活動にロシアが関与した可能性を指摘したスティール氏が、「命が危ないと恐れている」と知らされたという。
複数の情報機関関係者はウッド記者に対して、スティール氏は「非常に高く評価され」、「有能」とみなされていると話した。
トランプ氏とロシア政府との関係について、BBCはスティール氏にコメントを求めているが、返事を得られていない。
複数の米メディアが文書の存在について報道し、オンラインメディア「バズフィード」が10日、文書の全容をオンラインに掲載した。
報道によると、スティール氏が作成したとされる文書には、ロシア情報当局がトランプ氏に対する恐喝材料となるような事業関係の情報と、モスクワのホテルで複数の売春婦といる様子の映像を所有していると書かれていた。


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問題の文書と、その存在と内容を伝えた報道について、トランプ氏はツイッターや11日の会見などで「偽ニュースだ」などと繰り返し否定。文書が作成されたことや、米情報機関が「漏洩を許した」ことを「みっともない」と非難した。
これに対してジェイムズ・クラッパー国家情報長官は、情報機関としては文書内容の真偽について「判断を留保している」とトランプ氏には伝えてあると明らかにした。また、情報をマスコミにリークしたのは情報機関関係者ではないと考えていると、これもトランプ氏に伝えたという。

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元MI6
米メディアなどが最初に名指ししたスティール氏はMI6の元職員で、長年にわたり外交官の肩書でロシアやフランスをはじめ、ロンドンの外務省などでMI6のために働いていたとされる。
現在は企業情報コンサルタントを自認する「オービス・ビジネス・インテリジェンス」の代表。
国際サッカー連盟(FIFA)内部の腐敗疑惑について、米連邦捜査局(FBI)に情報を提供したのも、スティール氏だと言われている。
複数の英情報機関出身者が2009年に設立した同社は、公式サイトによると、ロンドン中心部のグローブナー・ガーデンズを本拠に、専門家と「ビジネス界の著名人」の「世界的ネットワーク」を通じて、「戦略的助言」を提供するほか、「情報収集活動」を実施したり、国境を越えた調査の請負が業務という。
スティール氏と共にオービスの共同代表としてサイトに名前のあるクリストファー・バロウズ氏は、同社がトランプ氏に関する報告を作成したかどうか、確認も否定もすることを避けた。
BBCのフランク・ガードナー安全保障担当論説委員によると、スティール氏はかつてMI6のエージェントではなく情報担当官で、現場で活動するエージェントのチームを指揮して情報収集に当たっていたはずだという。
しかし、スティール氏が今ではMI6を離れて民間にいる以上、報告書作成の依頼には「おそらくかなりの金額が関係しているだろう」とガードナー記者は話す。
報告文書の内容については、裏付ける証拠がなく、「色々な人が」トランプ氏について「証拠がないまま言った」内容をもとにしている可能性も残っていると、記者は指摘した。
テリーザ・メイ英首相の報道官は、トランプ氏に関する疑惑についてはコメントしないと回答。ただし、問題の文書を作成したと言われている人物たちは、かつて政府に「雇用されていた」と認めた。
現役の英情報職員が文書作成に関わっていたかどうかについて、英首相報道官は、そのようなことを示唆する内容はいずれの報告書でも見ていないと答えた。
労働党のメアリー・クレイ下院議員は、ボリス・ジョンソン外相に、文書について英政府が把握している内容を議会に報告するよう求めた。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に批判的で、2006年にロンドンで殺害された元ロシア連邦保安庁(FSB)中佐のアレクサンドル・リトビネンコ氏の妻マリナさんは、スティールさんは危険にさらされていると話す。
マリナさんはBBCに対して、「とても危険だと思う。特に私の夫が死んだ後となっては。きわめて限定的な情報、特にとても権力のある人たちにとても近いこの情報に接近すると、狙われやすく、簡単に殺されてしまいかねない」と話した。

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オバマ氏にも提示
トランプ氏に関する35ページにおよぶ文書は、そもそもはトランプ氏に敵対する共和党関係者が発注したものと言われ、ワシントンではかなり前から出回っていた。
内容の信ぴょう性について確信のもてなかった報道機関は当初、公表を控えた。しかし今では、報告書がすべてオンラインに掲載され、筆者はスティール氏だと名指しされた。
米国の情報機関は内容について、1月初めにオバマ大統領とトランプ次期大統領に報告するだけの価値があると判断した。
しかし内容について客観的な裏付けはとれていない。また文中に登場する中には、細かい事実関係が不正確だと指摘する人もいる。
トランプ氏も、文書の内容について情報機関幹部から説明を受けているが、10日の報道以降は、偽ニュースだと反論し、情報機関が内容をリークしたと非難している。











