【米政権交代】トランプ氏が娘婿を上級顧問に 民主党反発

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ドナルド・トランプ次期米大統領がホワイトハウスの上級顧問に、娘婿のジャレッド・クシュナー氏(36)を起用すると9日に発表したことを受けて、民主党はクシュナー氏の起用が「反縁故者法」に抵触しないか、利益相反に当たらないかの審査が必要だと反発している。
クシュナー氏はトランプ氏の娘イバンカさんの夫で実業家。不動産ビジネスや週刊紙ニューヨーク・オブザーバーの経営など、自分の父から受け継いだ事業を成功させている。選挙戦中は支持拡大の戦略策定に重要な役割を果たし、選挙後の政権移行期にはイバンカさん同様、トランプ氏の外国要人との会談にたびたび同席してきた。
クシュナー氏を担当するジェイミー・ゴアリック弁護士は、クシュナー氏が上級顧問のポストに無給で就くほか、事業経営からは身を引くため、各種の倫理規定には抵触しないと説明している。弁護士によると、クシュナー氏はさらに「相当の資産」を売却する方針という。
しかし、民主党議員の一部は、クシュナー氏の政権入りについて、法的な問題がないか司法省や倫理局の審査を要求している。下院司法委員会の民主党議員たちは公開書簡で、1967年施行の「反縁故者法」はホワイトハウス職員にも適用されると強く主張。また、たとえクシュナー氏が資産をかなり売却したとしても、大統領上級顧問として完全に利益相反を回避するのは無理ではないかと疑念を示している。
閣僚ポストと異なり、顧問はホワイトハウス職員という位置づけで、議会承認は不要。
トランプ氏がこれまで指名してきた閣僚候補について、上院公聴会が今週から始まる。最初に承認手続きに入るのは、司法長官に指名したジェフ・セッションズ上院議員(アラバマ州選出)。同議員は1986年、人種差別発言を繰り返したと批判され、連邦判事に承認されなかった経緯がある。
ジャレッド・クシュナー氏とは?
穏やかな物腰でふだんはマスコミのカメラを好まないクシュナー氏は、ニュージャージー州リビングストンで生まれ育ち、ハーバード大学で社会学を学んだ。
正統派ユダヤ教徒で、祖父母はホロコースト生存者。

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マンション開発で大成功した会社「クシュナー・カンパニーズ」(本社ニュージャージー州)の創立者で父親のチャールズ・クシュナー氏は2005年、当時ニュージャージー州の連邦検事だったクリス・クリスティー現州知事によって、脱税や違法政治献金などの罪で起訴され、有罪となって服役した。
トランプ氏の大統領選で一時目立つ存在だったクリスティー氏を、トランプ陣営から追い出した中心人物がジャレッド・クシュナー氏だったと言われている。
クシュナー氏は8日、トランプ氏がホワイトハウス首席戦略官に指名した超右派メディア「ブライトバート」元経営者のスティーブ・バノン氏と共に、ボリス・ジョンソン英外相と会談している。
政権移行チームの関係者によると、クシュナー氏は新政権の上級顧問として、まずは貿易政策や中東政策を主に担当することになるという。
「反縁故者法」とは?
1967年にリンドン・ジョンソン大統領が署名して成立させた。公職者が「自ら勤務する、もしくは管轄あるいは統括する政府省庁の文民ポスト」に、親類を推挙してはならないと定めている。
ジョン・F・ケネディ大統領が1960年に弟のロバート氏を司法長官に就任させたことが、同法制定のきっかけになったと言われる。
同法は、大統領が親類を閣僚ポストに選ぶことを禁止しているが、顧問のような閣外ポストにも適用されるかどうかは、前例がない。

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イバンカさんは?
イバンカさんは、トランプ家の事業を束ねる「トランプ・オーガナイゼーション」や、自分の名前を掲げるファッションブランドの役員を退く方針という。
ただし、トランプ政権で公職に就く予定はなく、子育てに専念するとも言われている。

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一部報道によると、イバンカさんとジャレッドさんと子供たちは、ワシントンの裕福なカロラマ地区にある550万ドル(約6億3000万円)相当の新居に当面は引っ越す見通しという。オバマ一家も、大統領退任後は同じ地区に引っ越す予定。
一方で、トランプ氏は昨年11月、メラニア夫人と10歳の息子バロン君は、学年末になるまでニューヨークに留まるつもりだと発表した。









