英特殊部隊、アフガニスタンで「ベッドで寝ている9人を殺害」 独立調査

イギリス軍の特殊空挺部隊(SAS)が、アフガニスタンでの夜襲で「ベッドで寝ていた」9人を殺害したとの主張が、9日にあった独立調査の聴聞会でなされた。遺族によると、犠牲者は非武装の民間人だという。特殊部隊は先に、自衛のためだったと述べていた。
BBCの調査報道番組「パノラマ」は2022年7月、南部ヘルマンドに6カ月間派遣されていたSAS部隊が、54人を不法に殺害した疑いがあると報じた。イギリス政府はこの報道を受けて、独立調査を開始していた。
9日にロンドンの王立裁判所で開かれた聴聞会では、特殊部隊が「多数の」超法規的殺人を犯すために夜襲を「悪用」したと非難された。そうした殺人行為をめぐっては、隠蔽(いんぺい)疑惑も出ている。
特殊部隊は2010年から2013年にかけて、意図的な拘束作戦を何百回も行った。
独立調査を主導しているオリヴァー・グラスゴー法廷弁護士はこの日、7件の殺人・拘束作戦の詳細を明らかにした。この作戦では多くの子供を含む33人が殺害されたとされる。
このうち9人が不法に殺害されたとされる作戦は2011年2月7日、南部ヘルマンド州ナド・アリ地区で、複数の家族が集まっている時に行われた。
家族らは、一部屋の離れで寝ていたという。
SASはこの作戦について、発砲されたため、自衛のために発砲したと述べている。しかしグラスゴー弁護士は、住居内の弾痕と思われるものが壁の地面付近に密集していたと指摘。これは、BBCの報道によって初めて明らかになっていた。

特殊部隊の記録では、隊員が「武装勢力と対峙(たいじ)」し、発砲し返した結果、9人を殺害したとされる。
また、自動小銃「AK-47」3丁が発見されたとしている。しかし特殊部隊は、殺害を正当化するため、相手が武器を持っていたようにでっち上げたと批判されている。
SASが現場で撮影した写真や作戦に関与した兵士の供述などを盛り込んだ特殊部隊内部の「重大事故報告書」は、「これらの行動はまったく適切だった」と結論付け、「これ以上の調査は必要ない」と勧告していた。
現在行われている独立調査では、特殊部隊によって殺害された33人(うち18歳未満が8人)の遺族に代わって提出された意見書を聴取することになっている。
遺族らは、「真実を明らかにしてほしい」と調査チームに訴えた。
独立調査では併せて、違法行為の隠蔽や、王立憲兵隊(RMP)による不十分な捜査の疑いも検証される。
「遺族は真実を求めている」
ある遺族は2011年2月16日、SASの夜襲によって、父親ときょうだい2人、そしていとこを殺害された。この遺族は、イギリス軍に襲撃されて以来、「悪夢や困難にまみれた夢を見ている」と語った。
「調査チームには、私とその家族に真実を教えてほしい。そしてなぜ、何を根拠に、私たちがこのような残酷行為を経験しなければならなかったのかを説明してほしい」
マンスール・アジズさん一家は2012年8月にイギリス部隊の夜襲を受け、子供2人が重傷を負った。この機密扱いされていた作戦の存在も、BBCが昨年の調査で初めて明らかにした。
「家が外国人に夜襲を掛けられた。ベッドで寝ている間にきょうだいと義姉妹が殺され、子ども2人が重傷を負わされた」と、アジズさんは語った。
「真実と共に、なぜ私たちの家が襲われたのかも知りたい。裁判所には子供たちの話を聞いてほしいし、正義をもたらしてほしい」
英特殊部隊に撃たれて重傷を負った時、兄のイムランちゃんは3歳、弟のビラルちゃんは1歳半だった。
グラスゴー弁護士はまた、イギリス軍に協力していたアフガニスタン部隊が、「英特殊部隊のこうしたふるまいを受けて協力を拒否した」との証言があると述べた。

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グラスゴー氏は冒頭、「何か隠し事をしている人たちに誤解のないよう言っておく。調査チームは、不正行為に関する信頼できる情報があれば、あらゆる権限を行使して確認する。どんなに階級が高かろうが、関係当局に照会する」と述べた。
今回の調査では、RMPがアフガニスタンでの英軍による犯罪疑惑を幅広く調査した「セストロ作戦」および「ノースムーア作戦」にも目が向けられる。
「ノースムーア作戦」では2014年、1000万ポンドの予算が付けられ、100人以上の軍警官が関わった。この作戦では、SAS中隊の一つが非武装の人々や捕虜、民間人を何十人も殺害したという証拠を調査したが、告発には至らなかった。
一方の「セストロ作戦」は、2012年10月18日にヘルマンド州ロイ・バグ村で4人の若者が殺された事件を調査。SASに殺された当時、最も若かったのは14歳と12歳だった。RMPはこれに絡んで兵士3人の書類を軍務検察局に送った。銃を発射した兵士については4件の殺人罪に関してだったが、起訴はされなかった。

英国防省の報道官は、「国防省は調査に全面的に協力している」と述べた。
「法定調査の範囲内である可能性のある疑惑について、我々がコメントすることは適切ではなく、どの疑惑を調査するかも、チャールズ・ハッドン=ケイブ卿率いる法定調査チームにかかっている」









