【解説】 ロシアのインフラ攻撃戦略、なぜうまくいっていないのか
ポール・アダムス外交担当編集委員

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ウクライナ各地の電力インフラが9日、ロシアの組織的な攻撃を受けた。こうした攻撃はほぼ1カ月ぶりだ。
ここ数週間、電力施設が散発的に狙われることはあった。だが、昨年10月上旬にインフラへの攻撃が始まって以降で、組織的なインフラ攻撃がない期間としては、最長となっていた。
ロシアの本格侵攻から1年となる先月24日には、ロシアの大規模攻撃が予想されたが、実際には実施されなかった。ただこれは、ロシアの戦略ではなく、メディアの観測に問題があったとみられる。
ロシアのインフラに対する攻撃はますます散発的になっており、その傾向が顕著になっている。
西側政府の関係者らは、インフラへの効果的な攻撃に必要な精密誘導兵器(特にミサイル)が、ロシア軍で不足していることがうかがえるとしている。
ある政府関係者は今週初め、「ロシアはまとまった攻撃のために多数の精密兵器をそろえるのに時間がかかっている」と述べた。
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一方でウクライナ軍は、飛来するミサイルやドローンの迎撃技術を上達させている。
9日にロシアが使った兵器のうち、かなりの割合を撃墜したことが初期データからうかがえる。巡航ミサイルは70%以上、ドローンは半数近くを撃ち落としたとされる。
ウクライナ軍のヴァレリー・ザルジニー総司令官によると、それらとは別に8発のミサイルを「組織的な対抗措置」によって阻止したという。
しかし、ウクライナ各地の報告から判断すれば、他のミサイルが目標に着弾したのは明らかだ。

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長距離対艦ミサイル「Kh-22」のように、極めて高い高度から目標に急降下する兵器などは、迎撃が困難だ。
「S-300」対空ミサイルも同様だ。このミサイルは地上の標的を攻撃するようには設計されていなかったが、この半年間でそうした役割を果たすことが増えている。
軍事アナリストらは最新のデータを詳しく調べ、ロシアの兵器の選び方から、同国の戦術や在庫について分かることを探るだろう。
9日の攻撃の前には、うまくいっていないように見える戦略にロシアが固執し続けるのかどうか、アナリストらは疑問に思い始めていた。
この半年間、ウクライナの電力網は甚大な被害を受けた。だが、ウクライナは屈服せず、多くの国民は停電や不便、危険にも慣れてきた。
インフラは変圧器やスイッチなどの重要な部品を多数失っている。それでもウクライナの技術者たちは、国内各地に電力を送り続けることに成功している。
首都キーウやその他の都市では、最近、街灯が復旧した。暗い歩道を携帯電話だけを頼りに歩いていた歩行者たちに安心感が広がっている。
しかし、状況は依然として不安定であり、ロシアがまだ甚大な被害をもたらすことができるのを当局者は知っている。問題は、「それがいつまでか」だ。










