【検証】 ポーランドにミサイル着弾、公開情報から手がかりを探す

リアリティー・チェック・チーム、BBCニュース

View of the farm close to the village of Przewodow

画像提供, Getty Images

画像説明, ミサイルが着弾したポーランドの農場は、東部プシェヴォドフ村に近い。写真は16日撮影

ウクライナ国境に近いポーランド東部で15日午後、ミサイルが着弾し、2人が死亡した。ポーランド政府は緊急会合を開き、軍の一部部隊の警戒態勢を強化した。ポーランドは、集団安全保障体制をとる軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国。

ロシアはこの日、ウクライナ国内の標的に多数のミサイル攻撃を繰り広げており、ウクライナは防空システムの一環として、自分たちのミサイルでロシアのミサイルを迎撃しようとしていた。

ポーランド政府と、NATOの同盟諸国が事実関係の確認を急ぐ中、BBCの取材チームも、公開情報やソーシャルメディアに投稿される画像などを分析し、事態をより詳しく把握しようと情報収集を重ねた。

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爆発はどこで?

爆発の第一報を伝えたのはポーランドのメディアだった。現地時間の15日夜、ウクライナ国境から約6キロにあるプシェヴォドフ村の近くで、爆発があったという内容だった。

当初の情報は、農場の従業員が穀物を運んで量る場所の近くに、ミサイルが落ち、近くの建物を破壊したと伝えていた。

BBCは場所の特定のため、人工衛星画像を確認し(この村に確認できる農場は1軒だけだった)、16日朝に地上から撮影された写真(ポーランド当局が確認したもの)と相互参照した。

Poland
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私たちはさらに、15日深夜にソーシャルメディアに投稿された動画も点検した。動画には、ミサイルが「ポーランド領に落下」して爆発した直後の様子だという説明がついていた。煙が立ち上る様子が見えた(下の画像の左側はそのスクリーンショット)。

この動画には、プシェヴォドフ村の現場と合致すると思える、目で見える手がかりが複数ある。

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動画で見える道路(上の画像の赤線)は、現場の空撮映像で見えるのとよく似た形状をしている。まず左に曲がり、続いて右に曲がる。続いて道路は、明るい色の建物(画像のオレンジで囲った部分)の前で二手に分かれる。

16日朝に地上で撮影された写真(1枚目の画像)では、畑の近くに明るい色の住居棟が見える。

植生や木立の様子も、よく似ている。

この動画の内容をさらに検証するため、動画をオンラインに投稿した人に、私たちは連絡をとろうとしているものの、まだ返事が得られていない。

15日夜には、爆発現場で撮影された画像もソーシャルメディアに相次ぎ投稿され始めた。地面に陥没した穴と、破壊されたトラクターやトレーラーが写っている。

Missile crater

画像提供, Reuters

画像説明, ミサイルによってできた着弾痕。15日撮影
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この時点の画像から、穴の場所を特定するのは難しい。現場が暗く、周囲で目印になるものがないからだ。

しかし、ポーランド警察は16日朝、警官たちが現場を調べている写真をソーシャルメディアに投稿した。前の晩の写真と同じトレーラーや、周りに飛び散った穀物、残骸などが写っている。

Polish police photo from the site, Wednesday 16 November

画像提供, Getty Images / Polish police

画像説明, ポーランド警察は16日朝、現場を調べる警官たちの写真を公開した

15日夜にソーシャルメディアで広く拡散した写真は、現場で見つかったとされるミサイルの破片のもの。

Missile fragment

画像提供, Twitter

画像説明, ミサイルの破片。15日夜にソーシャルメディアで広まった

この写真だけでは、周辺の様子が分からないため、爆発現場と同じ場所か、BBCは検証できていない。

BBC記者が16日に現地を取材したものの、警察の規制線にさえぎられて、実際の爆発現場に近づくことはできなかった。

BBCはこの写真を複数の防衛専門家に見せて、ミサイルの種類や、誰が発射したのか分かるか尋ねてみた。

米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のマーク・カンシアン氏は、S-300システムの一部かもしれないと話す。この種類のミサイルは通常、地対空攻撃に使用され、今回の戦争を通じてロシアとウクライナの双方が使用している。

米シンクタンク外交問題評議会の安全保障専門家、J・アンドレス・ギャノン氏も、S-300システムかもしれないと同意するが、「だれが発射したのかは、はっきりしない」と答えた。

「これは防空システムだが、それでもロシアが地上攻撃に使っていることは把握している。ウクライナは巡航ミサイルに対する防空手段としても使っている」

英シンクタンク「ルシ」の上級研究員、ジャスティン・ブロンク博士は、S-300の一部かもしれないが、特定にはまだ証拠不十分だとしている。

ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は16日午後、ウクライナの防空システムが原因となった可能性が「かなり高い」と記者会見で述べた。15日にはロシアがウクライナ各地で大量のミサイル攻撃を重ねており、ウクライナは防空システムで迎撃し続けていた。

ドゥダ氏はこのほか、ポシェヴォドフ村での爆発に意図的な攻撃の様子はなく、「不幸な事故」だったのだろうと述べた。

ドゥダ大統領は16日未明の時点では、「誰がこのミサイルを発射したのか、現時点では決定的な証拠は何も得ていない(中略)おそらくロシア製のミサイルだが、すべては現在調査中だ」と話していた。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長も同日午後に記者会見し、ポーランドでのミサイル爆発が「意図的な攻撃」だった「様子はない」と言明。「ロシアがNATOに対して軍事攻撃行動を準備しているという兆候もない」と述べた。

事務総長も、ポーランドでの爆発は「おそらく」ウクライナの防空ミサイルが原因だとした上で、「しかし究極的な責任はロシアにある。ウクライナに対して違法な戦争を続けているのはロシアなので」と非難した。

ジョー・バイデン米大統領は同日午前、ミサイルがロシアによって発射された可能性について記者団に質問されると、慎重に言葉を選びながら「今得ている初期情報からは、それはありえなさそうだと思う。ロシアから発射された軌道ではなさそうだ」と答えた。

爆発現場からロシアまでの距離は最短で、約530キロ。他方、S-300システムの射程距離は約90キロだと専門家たちは言う。

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S-300はどう使われる?

ロシアもウクライナもS-300ミサイルを保有しており、最近はこれで相手を攻撃していると、お互いを非難し合っている。

S-300
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ウクライナは、ロシアのミサイルの迎撃にS-300を使い、ロシアはそれが落下して民間人を死傷させているのだと主張する。

兵器の専門家によると、ミサイルの破片から、そのミサイルの由来を判別するのは、非常に難しいという。

ポーランド国境のこの一帯に近いウクライナ領内にある標的を、ロシア軍が狙っていたかもしれないという推測も出ている。

プシェヴォドフ村から約10キロ、国境をウクライナ側に越えたすぐのところには、ドブロトヴィルスカ火力発電所がある。

ポーランドとウクライナを結ぶ送電線も、近くを走っている。

ロシアはこれまで、こうしたインフラ施設を次々と攻撃している。ウクライナはミサイル防衛システムを使い、ロシアによるインフラ攻撃に対抗している。