エリザベス英女王が笑った時や、女王のおかげで大勢が笑った時のこと

画像提供, Ranald Mackechnie/PA
8日に96歳で亡くなった英女王エリザベス2世は、立憲制の君主として格式や規範、法律に沿って行動を律することが求められる生涯を送った。それでも近年はしばしば、公の場でも自分が笑ったり、そのユーモア感覚で周囲を(場合によっては画面越しに大勢を)笑わせることもあった。
「くまのパディントン」とお茶をしたり、「ジェイムズ・ボンド」と五輪会場に向かったり、ホッケー選手の記念撮影に写り込んだりと、記憶に残るいくつかの楽しい場面を振り返る。

画像提供, Max Mumby/Indigo

「私はどうでもいいですから」
在位70年記念行事の一環で今年2月、エリザベス女王は滞在中のサンドリンガム邸に近隣の人たちを招いた。そこで用意された自分の在位記念のケーキにナイフを入れる際、文字の向きが報道陣のカメラ用になっており、女王から見ると逆さまだと説明されると、「私はどうでもいいですからね」と冗談を口にして、周りを笑わせた。

くまのパディントンとお茶

画像提供, Buckingham Palace/Studio Canal/BBC/Heyday Films
今年6月にバッキンガム宮殿で女王の在位70年「プラチナ・ジュビリー」を祝う祝賀コンサートが行われた際には、イギリスの児童文学が原作で映画でも人気の「くまのパディントン」と女王が一緒に登場する動画が披露された。
パディントンは、「お招きいただきありがとうございます。素敵なジュビリーをお過ごしかと思います」と丁寧にあいさつ。女王が「お茶は?」と語りかけると、パディントンはティーポットのお茶を一気に飲み干してしまったり、お菓子を手でつぶしてしまったりする。
それでも、女王は「気にしないで」と、にこにこと笑顔を絶やさず、パディントンが「いつも非常事態のために持っているんです」と帽子からお気に入りのマーマレードサンドイッチを取り出すと、「私もここに持ってるんですよ。後々のために」と、にこやかにハンドバッグからサンドイッチを取り出した。

「ジュビリーおめでとうございます。そして……何もかも、ありがとうございます」と、パディントンがしみじみと感謝すると、女王が「とても優しいですね」と礼を返すというやりとりもあった。パディントンの声は映画シリーズと同様、英俳優ベン・ウィショーさんが演じた。
G7で「楽しそうにするべき?」
その1年前の2021年6月には、英南西部コーンウォールで主要7カ国(G7)首脳会議が行われた。新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来、各国首脳が初めて対面で集まる機会となり、歓迎レセプションにはエリザベス女王も出席した。

7カ国および欧州連合(EU)の首脳との記念撮影で、女王は場の空気をほぐそうとするかのように、隣のボリス・ジョンソン英首相(当時)に「みんな楽しそうにするべきなんですか?」 とさりげなく声をかけ、周りを笑わせた。
これにジョンソン氏は、「ええ、もちろん……というか実は、みんな楽しんでいるんです」と答えていた。
儀礼用の刀でケーキカット
この翌日には同じコーンウォールでチャリティー・イベントに参加。それまで数々の記念ケーキにナイフを入れてきた女王は、ここでは長い儀礼用の刀でケーキカットに挑んだ。

普通のナイフがありますとスタッフに声をかけられても、女王は「わかってますよ」と長刀から手を放さず、「こっちの方が変わってるでしょ」と応じた。
女王陛下と007
これまで多くの俳優が舞台や映画、テレビドラマなどでエリザベス女王を演じてきたが、女王自身が映画スターと共演したのはパディントンとのお茶が初めてではなかった。

2012年7月27日のロンドン五輪開会式では、英俳優ダニエル・クレイグさん演じる「女王陛下の007」こと英情報部員ジェイムズ・ボンドが、女王と共にバッキンガム宮殿からオリンピック・スタジアムへと向かうという映像が流れた。
実際にバッキンガム宮殿で撮影された映像の後、女王と007はヘリコプターでスタジアムへ向かい、生中継中の開会式会場にパラシュートで降下するという演出だった。
オバマ夫妻の「挑戦」に悠然と苦笑

スポーツ大会のプロモーションに、女王は2016年にも登場した。女王の孫、ハリー王子が立ち上げた傷病兵の国際スポーツイベント「インヴィクタス・ゲームズ」がアメリカで開催されるにあたり、王室が同年4月に公表した動画は、宮殿でハリー王子が女王に大会について説明していると、そこにミシェル・オバマ米大統領夫人(当時)からビデオメッセージが届いたという設定だった。
「一緒に見ましょうか」とハリー王子が言うと、女王は「ええ」と答える。続く映像では、オバマ大統領夫妻が「ハリー王子、インヴィクタス・ゲームズで思い切りかかってこいって言ったよね。何をお願いするか、気を付けたほうがいいよ」と挑発してきた。
これを見て女王はまったく動じることなく、「まあ、本当にもう」とあきれた様子で悠然と苦笑。この動画は大いに評判になった。
セルフィーにフォトボム

画像提供, @_JaydeTaylor
エリザベス女王は英連邦のつながりを特に重視していた。その連邦諸国のスポーツ大会が2014年7月にスコットランド・グラスゴーで開かれた際には、オーストラリアのホッケー選手2人の記念撮影に、女王は満面の笑みで写り込んでいる。
ジェイド・テイラー選手が、「わあああ、女王が私たちのセルフィーにフォトボムした!」とツイッターに書き込むと、このツイートは瞬く間に拡散された。「フォトボム(photobomb)」とは、他人の記念撮影などにわざと写り込むこと。
儀式をハチの群れに邪魔されて

画像提供, Chris Young / PA Media
エリザベス女王は即位前の1947年11月にフィリップ殿下と結婚。2021年4月にフィリップ殿下が亡くなるまで、夫妻は70年以上連れ添った。その間、殿下は数限りない行事で女王のそばにいた。
2003年にはウィンザー城での閲兵式で、フィリップ殿下とエリザベス女王が並んで笑っている様子が撮影された。フィリップ殿下は、女王を警護するグレナディア・ガーズ連隊の近衛連隊長として、制服姿だった。

画像提供, Chris Young / PA Media
厳粛なはずの閲兵式の場に、ハチの群れが紛れ込んだせいで、式典が中断した。事態収拾のため、王家の養蜂担当が呼ばれる騒ぎだった。
ハチの群れによる儀式の混乱にむしろおかしみを覚えたのか、「女王は女の子のようにくすくす笑い出し、殿下も笑っていた」と、撮影したクリス・ヤング氏はBBCに話した。
「とても人間らしい瞬間だった」

画像提供, Getty Images

画像提供, PA Media
















