奪還・解放されたイジュームの今、戦車はあっても水や電気はなく……
オーラ・ゲリン、BBCニュース(イジューム、ウクライナ)

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は12日、ロシア軍から解放されて間もない東部イジュームにウクライナ国旗を掲げた。その直後にBBCが取材した街は、電気と水が停まってしまっていたものの、ウクライナ軍の到着に安心している様子だった。
イジュームに接近すればするほど、ロシアが急いで撤退した証拠が次々と見えてくる。
ウクライナ兵たちは街の近くの道路脇に集まり、戦いの残骸を、大きな笑みを浮かべながら調査している。
ロシア軍の戦車が2台打ち捨てられている。そのうちの1台にはすでにウクライナ国旗が差してあった。1台を使ってもう1台をくぼみから引っ張り出そうとしながら、ウクライナ兵たちは互いに抱き合って喜びを分かち合っている。
街の中に入るとさらにもう1台、道路の真ん中に戦車が放置されていた。まるでロシアの敗北を記念するかのようだ。地元の住民がその前で、親指を下に向けたポーズでセルフィーを撮っていた。
ミニバンに乗った2人の女性と会った。車には、日用品などを詰めた小さなかばんがたくさん積まれていた。ラリッサさん(61)と友人のウィクトリアさんは、イジュームに初めて戻ってきたという。
ラリッサさんは、戦争が始まってすぐにこの街を離れたので、戻れてうれしいと話した。しかし、市街地にあったラリッサさんの家は壊されており、状況は複雑だ。私と話した後、2人は友人の家に泊まると言い、歩いて去っていった。
市内には、爆撃を受けて真っ黒になった建物がたくさんあった。破壊された市庁舎前の道路を渡ると、午後の雨の中で数十人が静かに列を作っていた。ピクルスや乾物、ミネラルウォーターといった支援物資を待っているのだ。
この街には現在、水道や電気、暖房が通っていない。
死者数はまだ確定していないが、市職員によると、3月に5階建てのアパートを狙った爆撃で、子供を含む47人が亡くなったという。この攻撃では、建物の中心に大きな穴が開いた。
今その建物を訪ねると、外からいくつかの部屋がはっきりと見て取れる。一番上の階の部屋では、テーブルの上にテレビが置かれている。数階下では、ワードローブの中にまだ服が整然とかけられていて、持ち主がまた着るのではないかと思うほどだ。がれきのなかに落ちていた小さなアルバムの中では、3人の女性が笑顔を浮かべていた。

このアパートに22年住んでいたというタチアナさん(69)は、2階の焼け焦げたバルコニーを指さした。
攻撃は朝に起きたという。自分は職場のシェルターにいて、アパートにはいなかったとタチアナさんは話した。
この建物の中にあるシェルターに逃げ込んだ住民は、暖を取るために建物の中心に集まっていた。爆撃は、建物の中心に当たった。
ロシア軍が司令部として使っていた市庁舎の建物には、今なお扉にロシアの表示が付いている。しかし、ごみ箱の中には焼かれたロシアの旗があった。
建物内にはファイルの箱が散らかっていた。近くにはロシア軍が人々を拘束していた警察署があり、そこで私たちは、ウクライナのパスポートを大量に見つけた。地元の警察によると、ロシア軍は数カ月にわたる占領期間中に、住民のパスポートを押収していたのだという。











