バイデン氏の米大統領選勝利、祝っていない首脳は誰か

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米大統領選でジョー・バイデン氏が勝利を確実にした7日以降、世界各国の首脳が同氏を祝福するメッセージを発表した。
しかし、全員が乗り気なわけではない。沈黙が明らかに目立っている人もいる。
バイデン次期大統領の勝利を支持するメッセージを送っていない、あるいは煮え切らない態度を取っている首脳を以下に紹介する。
中にはドナルド・トランプ大統領の勝利を祝福したり、立証されていない不正選挙の主張を支持する人もいる。少なくとも1人は、そのせいで職を失っている。
ロシア、ウラジーミル・プーチン大統領
4年前、プーチン大統領は真っ先にトランプ氏の勝利を祝った首脳の1人だった。しかしバイデン氏についてはツイートも、祝電も、電話もしていない。
ロシア政府のディミトリイ・ペスコフ報道官は、トランプ政権が行っている法的措置によって遅れていると説明した。
ペスコフ氏は記者団に、「公式な選挙結果が出るまで待つのが正しいことだと信じている」と語った。
しかしBBCのスティーヴ・ローゼンバーグ特派員は、祝辞が遅れているのは、ロシア政府が今回の大統領選の結果を喜んでいないことの表れではないかとの疑念が出ていると述べた。
バイデン氏はロシア政府を公に批判しているほか、最近ではアメリカ最大の敵だと発言している。
一方のトランプ氏はロシア政府やプーチン氏を批判したことはほとんどない。ロシアは、2016年にトランプ氏が勝利した大統領選に介入したと非難を浴びている。
スロヴェニア、ヤネス・ヤンシャ首相

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ヤンシャ首相はトランプ氏支持であることを隠そうとしていない。
4日には、米大統領選の開票作業がほとんど終わっていない中、トランプ氏の勝利を祝うツイートを投稿。それ以降も、米民主党が選挙で不正を行ったという疑惑を繰り返している。
しかし7日には懐柔的になり、アメリカはスロヴェニアの戦略的パートナーであり、誰が大統領になっても友好的な関係は続くと述べた。
それでも、バイデン氏の勝利を祝う言葉は発していない。
ヤンシャ首相の所属するスロヴェニア民主党は、極右で反移民を掲げている。同じく過去にトランプ氏支持を表明しているハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相とも友好関係にある。
ファースト・レディーのメラニア氏はスロヴェニア出身だ。
一方、スロヴェニアのボルト・パホル大統領やオルバン氏は、バイデン氏の勝利を祝っている。
エストニア、マルト・ヘルメ内相
ヘルメ内相は9日、辞任を発表した。前日にラジオ番組で、息子で財務相のマルティン・ヘルメ氏と共に、米大統領選で広範な不正があったと主張したことを受けたものだった。
ヘルメ内相は、バイデン氏と息子のハンター氏に対する立証されていない汚職疑惑についても、繰り返し話していたという。
一方で息子のヘルメ財務相は、不正の疑惑について「普通の人はみな声をあげるべきだ」として、こう述べていた。
「選挙でこのようにぞんざいに、露骨に、大規模に不正が行われるのなら、民主主義や法の統治について話すことなど何もない」
ヘルメ財務相は極右の保守人民党の党首で、内相も所属している。保守人民党は中央党および別の右翼党と連立政権を組んでいる。
エストニアのユリ・ラタス首相は2人を批判し、バイデン氏の勝利を祝った。
一方で、政権を維持するには保守人民党の協力が必要なため、罷免にはいたらなかった。
ヘルメ内相は、エストニアのメディアによる「中傷」にさらされたため、職務を辞したと語っている。
ブラジル、ジャイル・ボルソナロ大統領
ボルソナロ氏はトランプ氏の支持者として知られるほか、「熱帯のトランプ(Trump of the Tropics)」とも呼ばれている。
そのボルソナロ氏がバイデン氏の勝利を祝っていないのは驚くことではない。
バイデン氏がブラジル政府にアマゾンの熱帯雨林保護を訴えた際には、その発言を「大惨事で不必要なこと」と一蹴した。
政府筋によると、ボルソナロ氏はトランプ大統領の選挙訴訟が終わるまで、大統領選に関する発言を控えるつもりだという。
メキシコ、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領
トランプ氏はメキシコからの移民に厳しい姿勢を見せ、国境に壁を建設すると約束している。しかしロペス・オブラドール大統領はブラジルと同様、トランプ氏と友好関係を築こうとしてきた。
そのため、大統領選に関する発言も慎重だ。8日には、「すべての司法問題」が解決するまで待つと述べた。
記者会見でロペス・オブラドール氏は、「思慮分別の欠けた軽率な行動はしたくない」と話した一方、メキシコはトランプ氏ともバイデン氏とも「良い関係」にあると強調した。
同氏のあいまいな態度は、米民主党幹部の一部から批判を浴びている。テキサス州のホアキン・カストロ下院議員は、「目を見張るほどの外交的失策だ」と述べた。
中国、13日まで様子見
習近平国家主席は2016年、トランプ氏の勝利見通しが決まった次の日には祝辞を述べていた。
しかし中国政府は今回、13日まで選挙結果についてコメントを控えていた。
外務省の汪文斌報道官は13日になり、「アメリカの人々の選択を尊重する」、「バイデン氏とハリス氏におめでとうと申し上げる」とコメントした。
外務省報道官はこれまで、9日の記者会見でバイデン氏の勝利宣言に触れたものの、中国政府は「アメリカの司法手続き」が続くのを見守ると述べていた。
バイデン氏は中国への厳しいスタンスを保ちつつ、注意深く慎重な態度を示していくとみられている。
トランプ氏は新型ウイルスについて中国を激しく非難したほか、中国製品に多額の関税をかけて貿易戦争を発展させた。
北朝鮮、金正恩朝鮮労働党委員長
金委員長からは今のところ、米大統領選への反応がない。北朝鮮の国営メディアも、週明け9日には大統領選に触れなかった。
2016年の大統領選では、トランプ氏の勝利から2日間、音沙汰がなかった。

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トランプ氏と金氏の関係は紆余(うよ)曲折があるが、3度にわたる歴史的な会談を通じて接触を保っている。
一方のバイデン氏は金氏を「悪党」と呼び、個人的な外交関係を築くつもりはないとしている。金氏も、バイデン氏を「知能指数の低いばか」と呼んでいる。









