ネタニヤフ首相への抗議拡大、人質家族や支援者ら数千人がエルサレムなどでデモ

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ワイア・デイヴィーズ記者(BBCニュース、エルサレム)
イスラエルで7日、パレスチナ・ガザ地区での戦争の終結を求めるデモに1万5000人以上が参加した。ベンヤミン・ネタニヤフ首相に対し、残る人質の解放に向けた合意に応じるよう訴えた。
ガザのイスラム組織ハマスによって拘束され続けている人質の家族や支援者らはこの日、エルサレムのパリ広場に集結した。テルアヴィヴでも同様の集会が行われた。
ガザで依然として拘束されている人質48人のうち、最大で20人が生存しているとみられている。
イスラエル政府は、一部の人質の解放を含む合意案に対して正式な回答をまだ示していないが、これまでのところ、人質全員を一度に返還することを、合意の条件として求めてきた。
ネタニヤフ首相は、「ハマスに対する完全勝利が人質の帰還につながる」との立場を崩していない。
2023年10月7日にハマスがイスラエル南部を攻撃した際には、251人が人質としてガザに連れ去られた。この攻撃では約1200人が殺された。
その後、イスラエルはハマスを壊滅させるとして大規模な報復作戦を開始。ハマスが運営するガザの保健省の発表によると、これまでに少なくとも6万4368人のパレスチナ人が殺されている。国連はこの数字を信頼できるものと見なしているが、イスラエルは異議を唱えている。
イスラエル国内では戦争継続に対する抗議の声が高まっている。イスラエルを支援する国の一部からも、ガザでの軍事攻撃の停止を求める声が強まっている。
しかしイスラエル国防軍(IDF)は、戦争をさらに激化させる準備を進めているとみられている。ネタニヤフ政権は、ガザ地区の完全掌握とハマスの最終的な打倒を目指す姿勢を変えていない。

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テルアヴィヴとエルサレムでは7日夜、ここ数カ月で最大規模となる抗議デモが行われ、残る人質の解放と戦争の終結を求める声が上がった。
エルサレム市内にあるネタニヤフ首相の公邸のすぐ近くでは、複数の登壇者が次々と演説し、人質拉致からまもなく2年が経過する中、愛する人々の安全な帰還を実現するため、ハマスとの合意に踏み切るよう首相に訴えた。
IDFの兵士でガザで拘束されているマタン・アングレスト氏の母親も、ネタニヤフ首相に対して強い言葉で訴えた。
現地紙タイムズ・オブ・イスラエルはアングレスト氏が、「これは脅しではない、首相。何かが起きたら、あなたが責任を取ることになる。これは母親の言葉だ」と叫んだと報じた。
多くの抗議者は、戦争の拡大が人質の命をさらに危険にさらすと主張している。
ネタニヤフ首相がその夜、エルサレムの公邸にいたとすれば、人質の親たちや支援者らの訴えは、聞き入れられていないように見える。
苦境に立たされながらも強硬姿勢を崩さないネタニヤフ首相は、戦争を終結させる構えを一切見せていない。これに対し、かつての軍幹部らは繰り返し、IDFはガザで軍事的に達成可能なことはすでに達成しており、これ以上の作戦は人質の命を危険にさらし、現地の深刻な人道危機をさらに悪化させると警告している。
この見解は、現役の軍司令官の間でも広く共有されているとされる。だが、政府は軍部に対し、ガザ市および戦争で荒廃したガザ全域を制圧するための大規模な地上侵攻の準備を命じている。
イスラエル・カッツ国防相は、ここ数日間にわたりソーシャルメディア上で繰り返し発信を行い、ガザ市の高層ビルが爆破される映像とともに、「これは始まりに過ぎない」とする強硬なメッセージを投稿している。
イスラエルは、ガザの著名な建物を破壊していることについて、ハマスが「指揮統制拠点」として使用していると正当化している。
こうした攻撃は7日も続き、IDFは破壊に先立ち避難命令を出したうえで、ガザ市で3日連続となる高層ビルの爆破を実施した。イスラエルは、この建物にハマスが「情報収集機器」を設置していたと非難している。
これまでにハマスは、高層ビルを使用しているとの主張を否定している。パレスチナ側は、こうした建物には避難民が身を寄せていたと訴えている。
こうしたほぼ連日の空爆にもかかわらず、イスラエル政府は、公共施設や住宅を体系的に破壊してガザを事実上、居住不能にする「焦土作戦」を実行しているとの非難を否定している。
カッツ国防相は以前、「地獄の門を開く」と警告しており、イスラエルはガザ市の住民に対し、ガザ南部に位置する「人道的避難区域」とされるアル・マワシへの退避を呼びかけていた。
しかし、ガザのどこも現実的には「安全」とは言い難い。アル・マワシ自体もイスラエルの空爆の標的となっており、過去1週間だけでも多数の死者が出ている。その中には複数の子どもも含まれている。
友好国の警告を無視
こうした状況の中、イスラエルに友好的な国の多くが、ガザでの戦闘の即時停止と停戦交渉の再開を繰り返し求めている。
エルサレムを訪問したデンマークのラース・ラスムセン外相は7日、「ガザの人道的惨事に深い懸念を抱いており、だからこそイスラエルに軍事攻撃の停止を改めて求める」と述べた。
しかし、このメッセージはイスラエルのギデオン・サール外相に丁寧に無視された。サール氏は一部の欧州諸国が近くパレスチナ国家を承認する意向を示していることは逆効果で、深刻な結果を招く可能性があると、遠回しに警告した。
また、占領下のパレスチナ・ヨルダン川西岸地区の併合という極めて物議を醸す提案について、記者からネタニヤフ政権の立場を問われたサール氏は、「この問題について首相と議論を重ねており、決定が下される予定だ。詳しく述べる必要はない」と語った。
サール氏はさらに、アメリカのマルコ・ルビオ国務長官とこの件について協議したと明かした。報道によると、アメリカのマイク・ハッカビー駐イスラエル大使を含む複数の政府関係者は、「イスラエルが西岸の大部分に主権を宣言することを選んだ場合、(トランプ政権は)干渉しない」との姿勢を示しているという。
仮にそうした事態が現実となれば、すでに分断された地域の緊張はさらに高まることが予想される。
イスラエルの姿勢が一層強硬になる中、ガザでの死者数は増え続けている。
地元当局によると、過去24時間の空爆で少なくとも87人が死亡した。
ガザの保健省はまた、この期間中に5人が飢餓と栄養不良により死亡したと発表。これには子ども3人が含まれているとした。
こうした状況でも、ネタニヤフ首相は強硬姿勢を崩していない。
ネタニヤフ氏は7日、「敵に対する勝利と、我々に向けられた悪意あるプロパガンダのどちらかを選ばなければならないなら、私は勝利を選ぶ」と述べ、イスラエル軍がガザ市周辺および市内で「機動作戦を深化させている」と明言した。











