元FBI長官のコーミー氏、無罪を主張 米上院での偽証疑惑めぐり

スーツ姿の男性が法廷に座り前を向いている写真

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画像説明, ジェイムズ・コーミー元連邦捜査局(FBI)長官

マデリーン・ハルパート記者、クワシ・ギャムフィ・アシエドゥ記者およびブランドン・ドレノン記者(米ヴァージニア州)

元米連邦捜査局(FBI)長官のジェイムズ・コーミー氏は8日、議員に対する虚偽の陳述および議会手続きの妨害の罪について、無罪を主張した。コーミー氏の弁護士が、ヴァージニア州アレクサンドリアの連邦地裁で、罪状認否を行った。同氏は先月、起訴されている。

パトリック・フィッツジェラルド弁護士は、複数の理由により公訴棄却を求める方針を示した。理由の一つとして、コーミー氏がドナルド・トランプ米大統領を批判しているために標的にされていると述べた。

コーミー氏の弁護団は、迅速な裁判を要求。裁判所は来年1月5日に公判期日を設定した。

検察側と弁護側の双方は、裁判がわずか2日から3日間で終了すると予想している。

フィッツジェラルド弁護士はこの日、裁判前に複数の公訴棄却の申し立てを行う予定だと判事に伝えた。その理由として、検察が報復的であること、ならびに本件を引き継いだ連邦検事が違法に任命されたと主張した。

コーミー氏の事件は当初、ヴァージニア州のエリック・サイバート連邦検事が担当していた。同氏は、トランプ氏の政敵であるニューヨーク州のレティシア・ジェイムズ司法長官に対する捜査が刑事訴追に至らなかった後、トランプ氏からの圧力を受けて辞任した。トランプ氏はその後、自身の個人弁護士を務めていたリンジー・ハリガン氏を後任に任命した。

コーミー氏はこの日、法廷に入る際、弁護士らと談笑し冗談を言うなど、上機嫌な様子を見せた。同氏には、妻のパトリス・フェイラー氏と、最近トランプ政権によって連邦検察官を解任された、娘のモーリーン・コーミー氏が同行していた。

法廷では、判事が被告の権利および起訴内容の2件の罪状を読み上げた後、コーミー氏に、これらの容疑を理解しているかと尋ねた。

コーミー氏は、「理解しています、判事。ありがとうございます」と答えた。

連邦地裁のマイケル・ナクマノフ判事は、2件の罪状それぞれについて、最長5年の禁錮刑および最大20万ドルの罰金が科される可能性があると述べた。

政府側を代表して裁判に臨むハリガン氏は、9月にヴァージニア州東部地区の連邦主任検察官の職を引き継いだ。着任から1週間足らずで、証拠不十分を理由に前任の検察官らが扱うことを拒否していた、コーミー氏に対する大陪審の起訴を成立させた。

この日の法廷手続きには、こうした急速な展開が反映されていた。弁護側は、検察が証拠として提出する意向を示している機密文書にアクセスできないと不満を述べた。

「順序が逆になっていると感じている」と、フィッツジェラルド氏は述べた。

ナクマノフ判事は政府側に対し、「政府が情報を速やかに開示しないからといって、この裁判の進行を遅らせるつもりはない」と警告した。

コーミー氏と罪状

コーミー氏は2013年から2017年までFBI長官を務めた。

在任期間中には、民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン氏の電子メール問題に関する調べを、2016年の大統領選直前に主導した。同選挙ではクリントン氏がトランプ氏に敗れた。

クリントン氏に対する起訴は行われず、これにより共和党からも批判が寄せられた。

また、この選挙にロシアが干渉した疑惑の捜査の最中に、トランプ氏によって解任された

政府要職を離れて以降、コーミー氏はトランプ政権の熱心な批判者となっている。

コーミー氏は現在、虚偽の証言1件と司法妨害1件の罪で起訴されている。

虚偽の証言とされているのは、2020年9月の上院司法委員会で、クリントン氏に関する捜査およびロシアによる選挙介入の捜査について質問を受けていた際の発言。

政府は、コーミー氏はこの時、捜査内容について「FBI内の第三者に、報道において匿名の情報源になることを許可」したことはないと述べ、上院を誘導しようとしたと主張している。

司法妨害については、コーミー氏が「上院司法委員会における調査権限の適正な行使を妨げる目的で、虚偽かつ誤解を招く陳述を行い、調査を妨害しようとした」とされている。

起訴後、コーミー氏は自身のインスタグラムに投稿した動画の中で無罪を主張。トランプ氏を「暴君のように振る舞っている」と非難した。

また、「私は無実だ。だから、裁判をしよう」と語った。

コーミー氏に対する起訴は、トランプ氏が自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」上で、ボンディ司法長官にコーミー氏らを起訴するよう求める投稿を行った後に発表された。

トランプ大統領は最近、コーミー氏だけでなく、民主党のアダム・シフ上院議員、ニューヨーク州のジェイムズ司法長官など、自身の公然たる批判者に対する訴追が遅れていることに不満を示していた。