ノーベル文学賞にクラスナホルカイ・ラースローさん、ハンガリー人作家では2人目

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エマ・ソーンダース文化記者
スウェーデン・アカデミーは9日、2025年のノーベル文学賞をハンガリーのクラスナホルカイ・ラースローさん(71)に授与すると発表した。授賞理由として、「終末的な恐怖のただ中にあって、芸術の力を再確認させる、説得力と先見性のある作品群」が評価された。
クラスナホルカイさんは受賞の知らせを受けた後、スウェーデンの放送局スヴェリゲス・ラジオに、「とてもうれしい。落ち着いているが、同時に非常に緊張している」と語った。
クラスナホルカイさんはこれまでに5編の長編小説を発表し、多数の文学賞を受賞している。2015年には英マン・ブッカー国際賞を受賞。2013年には、1985年に発表した初の長編小説で、世界の終焉を描いたポストモダン作品「サタンタンゴ」が、翻訳書に与えられる米ベスト・トランスレイテッド・ブック・アワードを受賞した。
クラスナホルカイさんは、独フランクフルトを訪問中に、スウェーデン・アカデミーから電話で受賞を知らされた。授賞式は12月にストックホルムで行われる予定だ。
クラスナホルカイさんは、2002年に受賞した故ケルテース・イムレさんに続き、ノーベル文学賞を受賞した2人目のハンガリー人作家となった。
1954年生まれのクラスナホルカイさんは、1985年に「サタンタンゴ」を出版したことで評価を得た。
スウェーデン・アカデミーは、このデビュー作を「文学的センセーション」と呼んだ。
1994年には、ハンガリー映画界のタル・ベーラ監督が同作品を映画化したが、このモノクロ映画は、上映時間7時間という長さでも知られている。
クラスナホルカイさんにはこのほか、やはりベーラ監督が映画化した「抵抗の憂鬱(ゆううつ)」や、京都を舞台にした「北は山、南は湖、西は道、東は川」などの作品がある。
ノーベル委員会は文学賞の発表で、クラスナホルカイさんを「(フランツ・)カフカからトーマス・ベルンハルトに至る、中欧の伝統に連なる偉大な叙事的大作の作家であり、不条理とグロテスクな過剰が作品の特徴だ」と評した。
クラスナホルカイさんはかつて、自分の作品を「狂気に至るほど、現実を検証するもの」だと表現した。
クラスナホルカイさんは中流階級のユダヤ人家庭に育った。共産主義下での生活経験や、初の外国旅行として1986年に当時の西ベルリンを訪れた以降のさまざま旅から、作品の着想を得た。
2021年に発表した「Herscht 07769」は、パンデミック直前のドイツにおける社会的不安を正確に描写していることから、現代ドイツ文学の傑作と評されている。
この作品は、社会的無秩序や殺人、放火に悩まされる現代の独テューリンゲン州の小都市が舞台となっている。
イギリスの出版社ザ・サーペンツ・テイルは、この小説のあらすじを「心優しい巨人フロリアン・ヘルシュトは孤児で、ネオナチに養子として迎えられ、落書き清掃員に弟子入りさせられている」、「その『師匠』はバッハの熱狂的な愛好家で、東ドイツの町にあるバッハの記念碑に、オオカミの紋章がスプレーされたことに激怒している」と書いている。
英紙ガーディアンのタンジル・ラシッドさんは、この作品を「最初から最後まで、描く内容にふさわしく陰鬱だ」と評した。
クラスナホルカイさんの最新の風刺小説「Zsömle Odavan(直訳:ジェムレはそこにいる)」は、ハンガリーを舞台にしている。主人公ジョージ・カダおじさんは91歳で、実は王位継承権を持つものの、それを隠し、必死になって世間から姿を消そうとしている。
ノーベル文学賞は、1901年の創設以来、118回授与されているが、女性の受賞者は18人のみ。
昨年の賞は、韓国の作家ハン・ガンさんが受賞した。
授賞発表式では、ハンさんの「過去のトラウマに立ち向かい、人間の命のもろさをあらわにする強烈な詩的散文」が称賛された。











