米軍の船舶攻撃は「国際法違反」と国連人権トップ トランプ政権は麻薬密輸船だと主張

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レイチェル・ヘイガン記者、イモージェン・フォルクス・ジュネーヴ特派員
国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は10月31日、アメリカ軍がカリブ海および太平洋で麻薬を運搬しているとする船舶を攻撃しているのは、「超法規的殺害」にあたると非難し、国際法に違反していると述べた。トゥルク氏によると、9月初旬以降、アメリカによる攻撃で60人以上が死亡したと報告されている。
トゥルク氏は、一連の攻撃を「容認できない」とした上で、アメリカ政府に対し、直ちに攻撃を停止し、迅速かつ独立した透明性のある調査を実施するよう求めた。
ドナルド・トランプ米大統領は、これらの攻撃はアメリカへの麻薬の流入を食い止めるために必要であり、国際水域で船舶を爆撃し続ける法的権限があると主張している。
トゥルク人権高等弁務官は声明の中で、麻薬密売への対処が困難であることを認めつつも、死者を出しているアメリカの攻撃の状況には「国際法上、いかなる正当性も見いだせない」と述べた。
「国境を越えた違法な麻薬取引という深刻な問題への対処は、国家間で長らく合意されてきたように、法執行の問題であり、国際人権法で定められた殺傷能力の慎重な制限の下で運用されるべきものだ」と、トゥルク氏は述べた。
同氏はまた、法の下では、殺傷能力の意図的な使用は、「生命に差し迫った脅威をもたらす個人に対してのみ、最後の手段として許容される」と説明。
「アメリカ当局が公に提供した情報は極めて乏しく、標的となった小型船に乗っていた人物のいずれも、他者の生命に差し迫った脅威を与えていたようには見えない」とした。
そのうえでトゥルク氏はアメリカに対し、船舶の拿捕(だほ)や容疑者の拘束といった法執行手段を用いるよう求め、必要に応じて個々人を訴追すべきだと訴えた。
米軍による攻撃について、ピート・ヘグセス米国防長官は、アメリカがテロ組織に指定した麻薬密売組織が運航する船舶に対して実施していると説明している。今週には、「西半球はもはや、アメリカ人を毒する麻薬を我が国の海岸に運ぶ麻薬テロリストの安全な避難場所ではない」と述べた。
ヘグセス国防長官によると、これまでの攻撃の大半はカリブ海の南アメリカ沖で実施されてきた。しかし、今週は太平洋でも攻撃を行い、少なくとも18人が死亡したという。
アメリカは現在、カリブ海に部隊、航空機、艦船を展開している。先週には、世界最大の軍艦である空母「ジェラルド・R・フォード」を派遣した。

アメリカの攻撃は中南米で非難を招いており、専門家らはその合法性に疑問を呈している。米連邦議会でも、民主党と共和党双方の議員から、懸念の声や、大統領が攻撃を命じる権限について疑問の声が上がっている。
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、同国政府は「これらの攻撃に同意しない」と述べ、駐メキシコ米大使に面会を求めている。シェインバウム大統領はまた、「すべての国際条約が尊重されるべきだ」と強調した。
一連の攻撃は特に、アメリカとコロンビア、そしてヴェネズエラとの間の緊張をさらに高めている。
アメリカは、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領に対し、麻薬密売を抑制できず、カルテルの「繁栄」を許しているとして制裁を科している。ペトロ大統領は、自身は「数十年にわたり」麻薬密売と闘ってきたと反論している。
トランプ大統領はまた、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が麻薬密売組織を率いていると非難している。マドゥロ氏はこれを否定している。
ヴェネズエラの検察トップはBBCに対し、「トランプ氏がヴェネズエラ政府の打倒を企てていることに疑いの余地はない」と述べ、アメリカが金、石油、銅などの天然資源を奪おうとしていると非難した。
アメリカは、2024年の選挙が自由でも公正でもなかったとして、マドゥロ氏をヴェネズエラの正統な指導者として認めていない国々のひとつ。野党が投票所で集計した結果では、野党候補が圧勝していたことが示されている。











