米最高裁長官、トランプ氏に異例の反論 判事弾劾の要求に対し

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アメリカで18日、ドナルド・トランプ大統領が連邦地裁判事の弾劾を求め、それに対し連邦最高裁判所の長官が異例の声明を出した。弾劾を求められた地裁判事は、トランプ政権によるヴェネズエラ人のエルサルバドルへの追放を差し止めるよう命じていた。
首都ワシントンの連邦地裁のジェイムズ・ボアズバーグ判事は15日、トランプ政権がギャングのメンバーだとするヴェネズエラ人200人超のエルサルバドルへの強制移送について、差し止めを命じた。
しかし、ヴェネズエラ人らを乗せた航空機はエルサルバドルに到着し、同国大統領府はそれらの人々が同国の巨大刑務所に収容される様子の動画を公開した。
トランプ氏は18日、ボアズバーグ判事を「トラブルメーカーであり扇動者」と、自身のソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルで批判。同判事を弾劾すべきだと主張した。
そして、「彼は何も勝ち取っていない」、「私は有権者が私に望んだことをやっているだけだ」と書き込んだ。
この動きに、連邦最高裁のジョン・ロバーツ長官が反応。「司法判断に関する意見の相違への対応として、弾劾が適切ではないことは2世紀以上にわたって確立されている」、「そのため、通常の上訴審査プロセスが存在する」との声明を出した。
ロバーツ長官が政治的な問題で声明を発表するのは非常にまれ。
ホワイトハウスは、コメントの求めにすぐには応じなかった。
ロバーツ長官は保守派とされる。トランプ氏が刑事責任に対する大統領免責特権を求めた訴訟では昨年、部分的に免責を認める多数派意見を書いた。以来、トランプ氏はロバーツ氏に好意的に振る舞ってきた。
今年1月の大統領就任式では、ロバーツ氏がトランプ氏の就任宣誓を執り行い、トランプ氏はロバーツ氏と握手し、同氏を指差した。3月4日の議会演説でも、トランプ氏はロバーツ氏に個人的に感謝の意を表したようだった。
トランプ氏は大統領復帰後、自らの施策に差し止めを命じるなどした連邦判事に対し、攻撃を強めている。
判事らが政治と距離を置くなか
弾劾手続きで連邦判事を罷免するには、連邦下院が弾劾訴追を正式に議決し、連邦上院の3分の2以上の議員が有罪の投票をする必要がある。
建国以来、上院は15人の連邦判事(うち1人は連邦最高裁判事)について弾劾を検討。そのうち8人を有罪とした。
現在の連邦最高裁の判事らは、リベラルから保守までさまざまだが、どの判事も党派政治からは距離を置くことに努めている。
そうしたなかでの今回のロバーツ氏の声明は、司法の役割に関する大統領の政治的発言に対する、異例の反論となった。
連邦最高裁はゆくゆくは、トランプ氏の2期目の大統領就任直後の行動に対して起こされた訴訟について、審理することが予想される。








