XのヤッカリーノCEOが退任表明 AIチャットボットの反ユダヤ投稿が物議醸す中

画像提供, Getty Images
米富豪イーロン・マスク氏が所有するソーシャルメディア「X」のリンダ・ヤッカリーノ最高経営責任者(CEO)が9日、退任すると発表した。就任から2年で同社を去ることになる。
ヤッカリーノ氏の退任は、Xが混乱する中で発表された。Xは今年3月、マスク氏の人工知能(AI)企業「xAI」に買収されたが、同社のAIチャットボット「グロック(Grok)」が今週、反ユダヤ主義的な投稿を繰り返しているとして注目を集めていた。
ヤッカリーノ氏はXへの投稿で、「言論の自由を守り、企業を立て直し、Xを『すべてのアプリ』へと変革するという責任を託してくれた」マスク氏に、「心から感謝している」と述べた。
これに対し、マスク氏は「貢献に感謝する」と短い投稿を返した。
BBCはXにコメントを求めている。ヤッカリーノ氏の辞任の背景や、マスク氏との関係に何らかの亀裂が生じたのかについては明らかになっていない。
ヤッカリーノ氏は以前、米NBCユニヴァーサルで広告部門の責任者を務めており、テクノロジー企業による業界の混乱の中で同社を導いた手腕が評価されていた。
2023年にマスク氏が当時のツイッターを率いる人材としてヤッカリーノ氏を起用した際、アナリストらは、広告主との関係修復が主な任務になると予想していた。広告主の多くは当時、物議を醸す投稿の隣に自社の広告が表示されることへの懸念から、同プラットフォームから広告を引き上げていた。
しかし、ヤッカリーノ氏の社内での権限は当初から限定的で、多くの観測筋は同氏を名ばかりのCEOと評していた。
調査会社フォレスターのリサーチディレクターを務めるマイク・プルー副社長は、「ヤッカリーノ氏の経歴と実際の権限を考えれば、実質的にはCEOというより広告部門の責任者だった。実際、Xのかじを握っていたのは常にイーロン・マスク氏だった」と指摘した。
また、「ヤッカリーノ氏の辞任で唯一驚くべきことがあるとすれば、それがもっと早く起きなかったことだ」とも述べた。
広告は回復?
ヤッカリーノ氏の在任中、Xは大手広告業界団体およびその加盟企業を相手取り、Xに対するボイコットを共謀したとして訴訟を起こした。この提訴後、同団体は活動を停止した。
また、その任期の間に、Xの雰囲気は大きく変化した。旧ツイッターは左寄りとの批判があったが、現在のXでは、最も可視性の高いコンテンツに明らかに右寄りの傾向がみられる。
マスク氏はCEOを退いたものの、お気に入りのSNSであるXから本当に距離を置いたことはなく、以前にも増して発言を強め、物議を醸している。
マスク氏と直接仕事をした経験のある人物らは、同氏を先見の明のあるワーカホリックと評し、そのペースについていける人は限られているとする。
調査会社Eマケーターのジャスミン・エンバーグ副社長は、「完全に指揮権を手放さず、自らのプラットフォームを個人的なメガホンとして使い続ける気まぐれなオーナーの下で、ヤッカリーノ氏は事業運営と火消しの両方を担わなければならなかった」と指摘した。
エンバーグ氏によれば、Xの広告事業は今年、マスク氏の買収後に半減した水準から回復に転じると予測されている。
ただし、「Xの広告収益の回復には複雑な要因が絡んでおり、ヤッカリーノ氏は広告主の間で失われた同プラットフォームの評判を回復することはできなかった」とも述べた。
AIチャットボット「グロック」が反ユダヤ主義的な投稿を生成
ヤッカリーノ氏は、退任を発表した投稿の中で、「素晴らしい2年間」の末に、辞任を決断したと説明した。
また、「イーロン・マスク氏と初めてXのビジョンについて話したとき、この会社の並外れたミッションを担うことは、人生最大のチャンスだと確信した」と振り返った。
ヤッカリーノ氏の退任は、マスク氏にとって困難な時期と重なっている。マスク氏が率いる電気自動車(EV)大手「テスラ」では販売不振が続いており、複数の幹部が退職している。
一方で、Xも引き続き物議を醸している。
今週には、Xに組み込まれているAIチャットボット「グロック」が、ヒトラーに好意的な発言を含む反ユダヤ主義的な投稿を行ったことが新たな波紋を呼んだ。
マスク氏はこれに先立つ4日、「グロックの全面的な見直しに取り組んでいる」と述べ、「ユーザーは質問時に違いを実感できるはずだ」と語っていた。
Xが公開した運用指針によると、グロックには「メディア由来の主観的な視点は偏っていると仮定すること」や、「政治的に不適切とされる主張を避けないこと」といった指示が与えられていた。
グロックを運営するxAIは声明で、「不適切」とされる投稿の削除に取り組んでいると発表した。











