グリーンランドの将来、「決めるのはグリーンランドとデンマークだけ」と英首相

黒縁めがねをかけたスターマー英首相が口を閉じ、左の方を見ている

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イギリスのキア・スターマー首相は5日、デンマーク自治領グリーンランドについて、その将来を決めるのはグリーンランドとデンマークだけだとBBCに語った。この発言は、アメリカのドナルド・トランプ大統領がグリーンランド取得を望んでいることを受けてのもの。

トランプ氏は大統領1期目の2019年にグリーンランド購入の意向を示して以来、繰り返し関心を表明している。

昨年1月には、グリーンランドを取得したい意向をあらためて表明。最近も、この北極圏の島について、「(アメリカの)国家安全保障の観点から必要だ」と述べている。

グリーンランド自治政府首相とデンマークの首相は先週末、グリーンランドを併合するというトランプ氏の構想に強く反発した。

グリーンランドのイェンス=フレデリック・ニールセン自治政府首相は、トランプ氏の直近の発言を受け、「もう十分だ」とコメント。アメリカがグリーンランドを支配するという考えは「幻想」だと述べた。

スターマー英首相は、外交をめぐっては留保や微妙なニュアンスを伴う回答が多い中、「グリーンランドに手を出すな」とトランプ氏に伝えるつもりはあるかとの質問には「イエス」と明確に答えた。

「グリーンランドとデンマーク王国だけが、グリーンランドの将来を決めなければならない」と、スターマー氏は述べた。

「デンマークはヨーロッパの緊密な同盟国で、NATO(北大西洋条約機構)の同盟国でもある。非常に重要なのは、グリーンランドの将来は、デンマーク王国とグリーンランドのものだということだ。グリーンランドとデンマーク王国だけのものだ」

アメリカによるヴェネズエラ大統領夫妻拘束については

トランプ氏は、グリーンランド取得の意向を示す中、以前から退陣を迫ってきたヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拘束し、米ニューヨークへ移送した。

スターマー氏は、アメリカによるマドゥロ夫妻拘束の合法性については、はっきり答えなかった。

「アメリカは自らの行動を正当化する必要があるだろう」とスターマー氏は述べ、「我々は常に国際法の支配を擁護する」と付け加えた。

しかし、アメリカが国際法の範囲内で行動したかどうかについては、明確な回答を避け続けた。

「非合法な大統領が排除されたわけだが、そのことを本当に嘆いている人がいるとは思わない」とし、できるだけ早期に「平和的な民主主義への移行」を実現するよう求めた。

今回のアメリカの軍事行動を、英野党・労働党の一部議員や、自由民主党、緑の党、スコットランド国民党の各党党首らは批判している。また、スターマー氏に対し、この軍事行動は国際法違反だと非難すべきだと訴えている。

4日には、英下院外交委員会の委員長エミリー・ソーンベリー議員(労働党)が、これまでで最も高位の労働党議員としてアメリカの動きを非難した。

ソーンベリー議員はBBCラジオ4の番組「ウェストミンスター・アワー」で、アメリカのヴェネズエラ攻撃は「法的措置ではなく」、「正当化できる適切な理由が思い浮かばない」と語った。

また、「国際的な無政府状態」にあるとしたうえで、ロシアや中国を勢いづかせる恐れがあると警告した。

これまでに、アメリカの行動を国際法違反だと公に非難しているのは、労働党の主に左派の一部議員にとどまっている。

しかし、英下院で、外相がヴェネズエラ情勢に関する声明を発表する際には、イギリスの対応を批判する議員が増える可能性がある。

国連安全保障理事会は、アメリカの軍事作戦について協議する会合を開いている。安保理の常任理事国5カ国はイギリス、アメリカ、フランス、中国、ロシア。

英国連代表部のジェイムズ・カリウキ氏は会合で、イギリスは「合法な政府への安全かつ平和的な移行」を望んでいると述べ、「国際法への取り組み」を改めて表明した。

会合の冒頭では、ローズマリー・ディカルロ国連事務次長が、「国際法の規則が尊重されていないことに深い懸念を抱いている」と述べていた。

ヴェネズエラのマドゥロ大統領と妻シリア・フロレス氏は3日未明、首都カラカスの自宅で米軍に拘束され、ニューヨークに移送された

夫妻は麻薬テロの共謀、コカイン輸入の共謀、機関銃および破壊的装置の所持、アメリカに対して機関銃および破壊的装置を所持する共謀の罪で起訴された。2人はアメリカへのコカイン密輸に関連する暴力的犯罪組織から利益を得ていたとされる。

マドゥロ氏は長年、アメリカが主張するこれらの疑惑について、自分を権力の座から引きずり下ろすための口実だとして否定してきた。夫妻はすべての罪状について無罪を主張している。