スペースX、新型宇宙船「スターシップ」打ち上げ成功 失敗の連鎖を断ち切る

画像提供, Reuters
米宇宙企業スペースXは26日午後6時30分、テキサス州スターベースで、大型宇宙船「スターシップ」の10回目の無人飛行実験を行った。打ち上げは成功し、約1時間の飛行の後、地球に再突入してインド洋に着水。今年に入ってから続いていた失敗の連鎖を断ち切った。
大気圏降下中にはエンジンの一部が爆発したように見える場面もあった。機体側面のフラップが燃え、激しく揺れているようだった。
米航空宇宙局(NASA)は、2027年に野心的な月探査計画を実行しようとしている。月に宇宙飛行士を再び送ることを目指す「アルテミス計画」では、スターシップを用いるとしている。
スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、「スペースXチームの素晴らしい仕事だ!!」とソーシャルメディアに投稿した。
スターシップの飛行実験は、今年に入り3度失敗していた。6月には、発射台で爆発する事故も起きていた。
スターシップは、これまでに製造された中で最大かつ最も強力なロケットで、「スーパーヘビー」と呼ばれるブースターと宇宙船部分「スターシップ」で構成されている。
最新型は失敗が連続
26日の飛行実験は、開始直後から順調な様子を見せていた。ブースターの33基のエンジンすべてが点火し、約7分後に宇宙船と分離してメキシコ湾に落下した。
スターシップはその後も上昇を続けた。宇宙空間を高度約200キロメートルまで上昇した後、地球を周回した。
スペースXは、ロケットの限界を試すために意図的に負荷をかけたと説明している。大気圏降下中にはフラップの一部が燃え、激しく揺れているように見えた。
同社はスターシップを、将来的に月や火星へ人を運ぶ完全再利用型の輸送システムとして設計している。
スターシップの初代モデルは、5回の打ち上げに成功している。しかし、最新型の打ち上げはすべて、大規模な爆発を起こし失敗に終わってきた。
3月には、爆発したスターシップの破片がバハマ諸島やカリブ海の英領タークス・カイコス諸島に落下し、航空機の運航が停止された。
6月にはテキサス州で、発射台で飛行実験の準備を進めていたところ、スターシップが爆発する事故が起きた。
一方でスペースXは、ロケットのブースターを、上空で宇宙船から分離させたうえで発射台に戻し、「箸」のようなアームでつかむ技術を実証している。

NASAにとっても、スターシップは大きな賭けといえる。NASAは、2027年に実施予定のアルテミス計画で人類を再び月に送るため、スターシップの改良型を使用する契約をスペースXと結んでいる。しかし、大半の専門家は、このスケジュールに遅れが生じるのはほぼ間違いないと見ている。
マスク氏は、早ければ来年にも、スターシップの有人飛行認証を受けたいと考えている。また、今後12カ月以内に、火星への無人飛行を開始する可能性も示唆している。
スペースXの信条は「早く失敗して、早く学ぶ」で、慎重なアプローチではなく、常に迅速な行動を取ることを目指している。同社は、ロケットが爆発しても、性能データを収集する機会になるとしている。
しかし、今年に入って飛行実験が3回連続で失敗したことで、スペースXの今後を疑問視する人や、マスク氏がアメリカの政治に時間を割きすぎているのではないかとの見方が出ていた。
世界一の富豪であるマスク氏は、2024年米大統領選でドナルド・トランプ氏の主要な支援者として活動し、今年6月に関係が悪化するまで2人は親密な間柄だった。
スターシップは26日、損傷を受けながらも地球に帰還した。安全かつ確実な月への有人飛行が可能であることを証明する必要があるスペースXにとって、大きな前進となった。











