スペースXの大型宇宙船「スターシップ」、試験打ち上げで爆発

ジョナサン・エイモスBBC科学担当編集委員

Explosion

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画像説明, 打ち上げから4分ほどして機体は制御不能になり、飛行停止指令によって爆発した

起業家イーロン・マスク氏が創業した宇宙開発企業「スペースX(エックス)」の巨大新型ロケット「スターシップ」が20日朝、初めて打ち上げられたが、爆発した。

打ち上げは米テキサス州の東海岸で行われた。無人の試験で、負傷者はいなかった。

打ち上げから2~3分後、史上最大のロケットが制御不能になり、まもなく搭載された装置で破壊された。

マスク氏は、数カ月後に再挑戦すると表明した。

スペースXのエンジニアたちは、それでもこの日のミッションは成功だったとしている。「早期に頻繁に試験する」ことを好む人たちなので、破壊を恐れていない。次のフライトに向け、大量のデータを収集したはずだ。2機目のスターシップは、ほぼ飛行準備が整っている。

マスク氏は、「SpaceXチームの皆さん、スターシップのエキサイティングな試験打ち上げ、おめでとう! 数カ月後に行われる次の試験打ち上げに向けて、多くを学んだ」とツイートした。

アメリカでのロケット打ち上げを認可する米連邦航空局(NASA)は、事故調査を監督するとした。広報担当者は、飛行中に機体が失われた場合の通常の対応だと述べた。

動画説明, 爆発でも拍手と歓声 史上最大のロケットと宇宙船「スターシップ」の打ち上げで
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マスク氏は打ち上げ前、期待値を下げようとしていた。発射台の設備を破壊せずに機体を打ち上げるだけでも「成功」だとしていた。

その願いはかなった。スターシップは打ち上げ施設からどんどん上昇し、メキシコ湾の上空へと向かっていった。しかし1分もしないうち、すべてが計画通りに進んでいるのではないことが明らかになった。

Control room

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画像説明, イーロン・マスク氏(中央手前)はテキサス州の管制室で打ち上げを見守った
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ロケットが上昇するにつれ、ロケットのエンジン33基のうち6基が停止または炎上していることが認められた。

打ち上げから3分後には、終わりが近いのは明らかだった。機体の半分が切り離されるはずだったがつながったままで、予定のコースからも外れていた。

打ち上げ4分後、スターシップが高度を下げ出すと、青空に大きな爆発が起きた。コンピューターが飛行停止システム(FTS)を作動させたのだった。

スペースXは声明で、「こうした試験では、学んだことが成功へとつながる。私たちは今日、機体と地上システムについて非常に多くのことを学んだ。今後のスターシップの飛行に役立つだろう」と述べた。

Starship

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画像説明, スターシップは最高高度が39キロメートルに達した
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スターシップの最上部(「シップ」とも呼ばれる)は、これまで短い飛行はしていたが、ロケット下段と一緒に打ち上げられたのは今回が初めてだった。

「スーパーヘビー」と呼ばれるこの巨大ブースターは今年2月、発射台に固定された状態で点火試験が実施された。ただ、当時はエンジンの推力が最大の半分に落とされていた。

もし20日の試験で予定通り、推力の90%が出ていたら、70メガニュートン近くに達していたはずだ。

これは、1960~70年代に人類を月に送ったことで有名な「サターンV」ロケットの2倍の推力に当たる。

スターシップは発射台を破壊はしなかったかもしれない。だが、のちに明らかになった写真からは、強力な打ち上げでコンクリートの表面がかなりのダメージを受けたことがうかがえる。

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今回の計画では、スターシップは地球をほぼ1周し、ハワイの北数百キロメートルの太平洋上に落下することになっていた。

船体やスーパーヘビーを回収する見込みはなかった。しかし長期構想では、どちらも着陸させ、燃料を補給して再び打ち上げることを繰り返すとしている。

もし実現できれば、大変革をもたらす。

スターシップは1回のフライトで100トン以上の機器などを軌道上に運べるとされる。このことと、低い運用コスト(主に燃料費だけで済む)が結びつけば、期待に満ちた未来への扉が開かれるはずだ。

宇宙コンサルタントのカリサ・ブライス・クリステンセン氏は、「宇宙業界では、この機体がもたらす破壊力にとても大きな期待が寄せられている」とBBCニュースに話した。

「ものすごい容量なので、商業的な観点から重要な意味をもちうる。人間を運べる大型船ということで、宇宙ツーリズムの出現に大きな意味をもつだろう。さらに、この宇宙船は安価だということもある。つまり、大容量ながら非常に安価という二つの革新的な側面をもつ機体なのだ」

Artwork: Human Landing System

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画像説明, NASAはスペースXに30億ドルを拠出し、スターシップを基にした有人着陸船の開発を計画している(想像図)
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マスク氏はスターシップをまず、空に浮かぶブロードバンド・インターネットの「スターリンク」衛星をさらに数千個打ち上げるのに利用する予定だ。

そして、この機体の信頼性をエンジニアらが確信して、初めて人が乗れるようにする。

最初のミッションはすでに決定している。指揮するのは、億万長者の米実業家で高速ジェット機のパイロットでもあるジャレッド・アイザックマン氏だ。同氏はすでに、スペースXの宇宙船「クルードラゴン」で宇宙へ飛び立った経験がある

最初の月周回飛行は、日本の小売ファッション界の大富豪、前澤友作氏が指揮を執る。同氏は「ディアムーン(DearMoon )」プロジェクトで、8人のアーティストを同行させる予定だ。

米航空宇宙局(NASA)は、スターシップの何らかの型式のものを、宇宙飛行士の月面着陸に使いたい考えだ。

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