「軍が病床の患者を射殺」 シリア政府軍に民間人虐殺疑惑、BBCが病院を取材

画像提供, BBC / Jon Donnison
ジョン・ドニソン記者(BBCニュース、シリア・スワイダ市)
シリア南部スワイダ県で今月半ばに始まった宗派間の衝突で、シリア政府軍が病院で虐殺を行ったと非難されている。
シリアでは、イスラム教シーア派の分派のドゥルーズ派とベドウィン系住民の衝突が起こり、シーア派勢力主導の政府軍が秩序を回復するとして今月14日、同県スワイダ市に入った。
しかしその後、戦闘は激化し、ドゥルーズ派内部でも分断が起きた。ドゥルーズ派は独自の信仰体系とアイデンティティーを持っている。
BBCは、病棟内で患者が殺害されたと職員らが主張している、スワイダ国立病院を取材した。
警告:この記事には暴力の描写が含まれます。
まず最初に襲ってきたのは、悪臭だった。
スワイダ市の主要病院の駐車場には、白いビニール製の遺体袋に入れられた多数の腐敗した遺体が並べられている。
一部の袋は開いたままで、この病院で殺された人々の、膨れ上がり損傷した遺体が露出していた。
足元のアスファルトは血でぬるぬると滑りやすくなっている。
うだるような日差しの下、臭いは耐えがたいほど強烈だ。
「これは虐殺だった」と、同病院の脳神経外科のウィサム・マスード医師は語った。
「兵士たちは平和をもたらすと言ってここに来たが、実際には幼い子どもから高齢者まで、多くの患者を殺害した」
マスード医師は今週初め、政府軍による襲撃直後に撮影されたとする映像を記者に送付した。
その映像では、女性が病院内を案内している。病棟の床には、血まみれのシーツに包まれたままの多数の遺体が横たわっている。

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この場にいる医師、看護師、ボランティアの全員が、同じ証言をしている。
16日夜、スワイダの病院にやって来て殺害を行ったのは、ドゥルーズ派の宗教共同体を標的にしたシリア政府軍だったとされている。
病院でボランティアとして活動するキネス・アブ・モタブ氏は、犠牲者について「彼らの罪は何なのか。民主的な国で、少数派であるというだけで殺されるのか」と語った。
また、病院の門の外で取材に応じた英語教師のオサマ・マラク氏は、「彼ら(軍)は犯罪者だ。怪物だ。我々はまったく信用していない」と非難した。
また、兵士が「障害のある8歳の少年の頭を撃った」と述べた。
「国際法では、病院は保護されるべき場所とされている。それにもかかわらず、彼らは病院内でさえ我々を攻撃した」
「彼らは病院に侵入し、みんなを撃ち始めた。患者たちはベッドで眠っている間に撃たれた」
今回の衝突では、すべての当事者が、相手が残虐行為を行ったと非難し合っている。
ベドウィン系戦闘員、ドゥルーズ派戦闘員、そしてシリア政府軍のいずれもが、民間人の殺害や超法規的処刑を行ったと非難されている。
病院で何が起きたのかについては、依然として全容が明らかになっていない。現地では、16日に殺害された人数が300人を超えると推定する声もあるが、この数字は検証されていない。
シリア国防省は22日夜の声明で、ドゥルーズ派住民が多数を占めるスワイダ市で、軍服を着た人物による「衝撃的な違反行為」の報告を認識していると述べた。
また、ラエド・サレハ災害管理・緊急対応担当相は、すべての当事者による残虐行為の疑惑について、徹底的に調査を行う方針を示した。

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スワイダ市へのアクセスは厳しく制限されており、現地での直接的な証拠収集は困難な状況だ。
同市は事実上、包囲下にあり、シリア政府軍が出入りする人物を制限している。
私が市内に入るためには、複数の検問所を通過する必要があった。
市内に入ると、焼け焦げた商店や建物、戦車によって押しつぶされた車両が目に入った。
ここで、ドゥルーズ派とベドウィン系の戦闘員の間で激しい戦闘が行われたことは明らかだ。
スワイダ県では、政府軍によって多数のドゥルーズ派の村が再び制圧されたものの、7万人以上の人口を抱えるスワイダ市は、依然としてドゥルーズ派の支配下にある。
病院を離れる直前、私は8歳の少女ハラ・アル・ハティーブさんが、おばと共にベンチに座っているのを見つけた。
ハラさんの顔には血がにじみ、包帯が巻かれていた。片目を失ったとみられる。
ハラさんは、自宅の戸棚に隠れていたところを、武装した男たちに頭を撃たれたと語った。
ハラさんはまだ知らないが、彼女の両親はすでに亡くなっている。











