シリア南部での少数派衝突、600人近く死亡と人権団体

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イギリス拠点の「シリア人権監視団(SOHR)」は17日、シリア南部スワイダ県で13日に始まった宗派間の対立のため、これまでに594人が暴力行為によって殺害されたと発表した。SOHRによると、宗派間の残酷な殺傷行為が激しさを増しているという。
SOHRによると、ドゥルーズ派の死者は300人に上る。うち146人が戦闘員、154人が民間人だった。このうち83人は、政府軍によって「即時に処刑」されたという。
また、シリア政府軍の兵士が少なくとも257人、ベドウィン系戦闘員18人も殺害された。ベドウィン系の民間人3人はドゥルーズの戦闘員によって即時に処刑されたと、SOHRは付け加えた。
この戦闘は、ベドウィンとドゥルーズの宗派間の対立がきっかけで始まった。
こうした中、イスラエルの空爆によってシリア政府軍の兵士15人が死亡したとも報じられている。イスラエルは、ドゥルーズを救い、政府軍をスワイダ県から撤退させるために行動していると主張した。
SOHRが発表した死者数については、直ちに検証できていない。
一方、シリアの治安当局筋は、衝突による死者数を300人と推定。別の監視団体「シリア人権ネットワーク」は、少なくとも169人の民間人の死亡を記録したと発表している。
17日には政府軍がドゥルーズ派が多数を占めるスワイダ市から撤退し、不安定な平穏が訪れた。住民は、街中での破壊や略奪、路上に遺体が横たわっている様子を報告している。
イスラム主義勢力が主導するシリア政府軍の兵士は14日、ドゥルーズとベドウィンの衝突後に秩序を回復する名目でスワイダ市に入った。
しかしその後、戦闘は激化し、ドゥルーズ派内部でも分断が起きた。ドゥルーズ派はイスラム教シーア派の分派にあたり、独自の信仰体系とアイデンティティーを持っている。
シリア政府は16日夜に停戦を発表し、軍は街から撤退した。
しかし、著名なドゥルーズ派指導者ヒクマト・アル・ハジリ氏は、停戦を拒否。政府軍を「ギャング」と呼び、「我々の県をギャングから完全に解放するまで」戦い続けるよう呼びかけた。
ハジリ氏の支持者が、政府軍との戦闘を率いている。同氏はイスラエルとの緊密な関係構築を模索している。他方、スワイダ県のドゥルーズ派の別の派閥は、イスラム主義勢力が主導するシリア新政権との協力を目指している。

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イスラエル国内と、イスラエル占領下のゴラン高原にも、かなりの規模のドゥルーズ派コミュニティが存在する。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は17日、イスラエルは今後も自国利益実現のため、シリアに対して武力を行使する方針だと述べた。
ネタニヤフ氏は、今回の介入の目的にはドゥルーズ派の保護が含まれるとしたうえで、シリア軍がシリア南部で活動するのを阻止するためでもあると説明した。
「今後も我々の方針は変わらない。シリア軍がダマスカス以南へ進入することも、ドゥルーズ派に危害が加えられることも、我々は許さない」とネタニヤフ氏は付け加えた。
イスラエル軍による16日の空爆では、シリアの首都ダマスカスにある国防省が甚大な被害を受け、大統領府周辺も攻撃を受けた。これは、イスラエルの対シリア攻撃における、反体制勢力がバッシャール・アル・アサド前大統領を打倒した2024年12以降で最も劇的なエスカレーションといえる。
シリアのアフメド・アル・シャラア暫定大統領は16日夜のテレビ演説で、イスラエルの攻撃はシリアの不安定化を狙ったものだと述べた。
「我々は、国土の統一、国民の尊厳、そして国のたくましさを守る戦いの真っただ中にいる」とアル・シャラア氏は述べた。「イスラエルという存在は、旧政権の崩壊以来、我々の安定を標的にし、分断をあおってきた。今また、我々の聖なる土地を終わりなき混乱の舞台にしようとしている」。
アル・シャラア氏は、シリアのドゥルーズ派に向けて、「皆さんの権利と自由を守ることは我々の最優先事項だ。国内外を問わず、分断をあおろうとするあらゆる動きを、我々は拒否する」と語った。











