【解説】 スターマー首相、終わりの始まりなのか マンデルソン卿の問題で与党でも圧力高まる

ダークスーツに青いシャツを着たスターマー英首相が、室内に並べられた椅子の一つに座っている

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ヘンリー・ゼフマン政治担当主任編集委員

イギリスのキア・スターマー首相にとって、これは極めて深刻な局面だ。

スターマー氏が5日に述べ、実行したすべては、首相とその側近たちが、自らの置かれた状況の重大さを理解していることを示していた。

スターマー氏はこの日、政府の地域再生プログラムについて演説することになっていた。しかし、予定していた演説だけを行っていたら、きっと不自然で違和感があっただろう。

なので、スターマー氏はそうしなかった。

代わりに、ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)の被害者に対し、マンデルソン卿の「うそを信じ」、イギリスの外交トップとも言える駐米大使に任命したことを謝罪した

何より示唆的だったのは、記者団から厳しい追及を受ける中で、スターマー氏が「労働党議員の怒りといらだち」を理解していると認めた瞬間だった。

首相としてのスターマー氏の運命を決めるのは与党・労働党の議員だ。その議員たちは今、スターマー政権の下でこれまでになく激しい憤りを示している。

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レイチェル・マスケル下院議員は、現在のスターマー氏の立場は「維持不可能」なもので、「辞任する以外の選択肢はない」と述べた。

BBCラジオ・ヨークに出演したマスケル氏は、「他に選択肢はないと思う」と語った。

「任命時点でピーター・マンデルソンとジェフリー・エプスティーンの関係を知っていたという事実を、彼は数カ月もの間、下院に伏せていた」

このことは、議員だけでなく、元被告の被害者に対しても「不名誉な行為だった」と、マスケル氏は付け加えた。

匿名を条件にBBCラジオ5ライブの取材に応じた別の労働党議員は、「正直に言って、首相を続けられる見通しが立たない」と述べた。

さらに別の議員は、「この件は、数カ月前から致命的だった」と付け加えた。「今はただただ、患者が治療に反応しなくなったというだけだ」。

閣僚の一人は、「確かなのは、政府がこの状況を掌握していないという点だけだ。どこに向かうか分からない」と語った。

一方、首相を支持する議員もいる。ジョン・スリンガー議員はBBCラジオ5ライブに対し、「冷静な判断が必要だ。首相は適切な対応を取った」と述べた。

スティーヴ・ウィザーデン議員はBBCウェールズに対し、「少なくとも首相の首席補佐官であるモーガン・マクスウィーニーは、マンデルソンとエプスティーンの関係の詳細が公に知られているなかで、任命を後押ししたのか説明するべきだ」と語った。

マンデルソン卿はトニー・ブレア元首相とゴードン・ブラウン元首相の労働党内閣で複数の閣僚ポストを務めた。2008年に叙勲されて一代貴族の「マンデルソン卿」となり、上院議員となった。

2024年12月にスターマー政権の駐米大使に任命されたが、昨年9月、エプスティーン元被告との関係の詳細が判明したことで解任された。今月1日には労働党からも離党している。

マンデルソン卿が、性犯罪で有罪となった後のエプスティーン元被告と交友関係を維持していたことは、任命以前から知られていた。

さらに、米司法省が追加公開した資料からは、マンデルソン卿がブラウン政権時代、市場に影響を与える政府情報をエプスティーン元被告に送った疑惑が持ち上がり、ロンドン警視庁が公職在任中の不正行為を捜査している。

マンデルソン卿はコメント取材に応じていないが、BBCが得た情報では、犯罪行為や金銭的利益を目的とした行為を否定しているとみられる。

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しかし、匿名での怒りがこれだけ噴出しているにもかかわらず、公に辞任を求めている議員はほとんどいないことは注目に値する。

これまでに公然と辞任を求めたごく少数の議員は、もともとスターマー氏をあまり支持していなかった人物だ。

実際、スターマー氏が解任を拒んでいるマクスウィーニー氏の更迭を公に求める議員でさえ、そう多くはない。

つまり、スターマー氏はこれまでで最も弱い立場にある一方で、その指導力への挑戦が差し迫っているとは到底言えないのが現状だ。

「実際問題として、(今月26日に予定されている)ゴートンでの補選が終わるまでは何も起きないと思う」と、議員の一人は述べた。

「そうなると、5月に近づきすぎるかもしれない」と、この議員は続けた。5月にはスコットランド、ウェールズ、そしてイングランドの一部で地方選挙が予定されている。

閣僚経験者の一人は、「5月より前に誰かが動く可能性は非常に低いと思う。ただ、状況は非常に速く動いている」と述べた。

一方で、「マンデルソンを任命した際の完全な判断ミスから、首相がどうやって立ち直るのか見当がつかない」とも話した。

現職の閣僚の一人はこう述べた。

「彼は終わりだ。あとはタイミングの問題だ」