トランプ氏のガザ「平和評議会」が初会合、70億ドル拠出と 治安部隊の設立めぐり懸念も

ガザの爆撃で破壊された建物に囲まれた道を、数人の人々が歩いている

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画像説明, イスラエルの爆撃で荒れ果てたパレスチナ・ガザ地区
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エイミー・ウォーカー記者、トム・ベイトマン米国務省担当編集委員(米首都ワシントン)

アメリカのトランプ大統領は19日、自らが主導する、パレスチナ・ガザ地区での和平計画を遂行する「平和評議会」に複数の国が参加し、ガザ向けの「救済パッケージ」に70億ドル(約1兆1000億円)超を拠出したと発表した。「平和評議会」はこの日、米首都ワシントンで初会合を行った。

イスラエルとガザ地区の武装組織ハマスの戦争終結を目的として設立された同評議会は、国連安全保障理事会の承認を受けている。アメリカが仲介したガザ停戦案の第2段階には、ハマスの武装解除とガザ再建が含まれている。

一方、イギリス、カナダ、フランス、ドイツなどのアメリカの同盟国は、国連に代わる組織となる可能性があるとして、同評議会への参加を拒んでいる。

トランプ氏は会合の参加者に対し、ハマスが武装解除に応じる「見通しがある」と述べた。しかし実際には、ハマスが武装解除する兆候は乏しい。ガザの住民からは、ハマスが同地域での支配を強めているとの声もあがっている。

会合に出席したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「ガザの非武装化が実現するまで、ガザ再建は行わないと、同盟国であるアメリカと合意した」と述べた。

ハマスが主導する武装勢力は2023年10月7日にイスラエル南部を攻撃。約1200人を殺害し、251人を人質としてガザに連れ去った。

これを受けてイスラエルはガザへの軍事作戦を開始。ガザ保健省によると、これまでに7万2000人超が殺された。

ガザの経済は崩壊し、建物やインフラの大半が破壊されている。国連は、被害額を700億ドル(約11兆円)と推計している。

トランプ氏は、「平和評議会」が国連を脇に追いやるとの懸念に対し、「アメリカは国連と非常に緊密に連携していくつもりだ。国連を戻すつもりだ」と述べた。

また、ガザは「もはや急進主義とテロの温床ではない」とも、トランプ氏は述べた。

「そしてそれを終わらせるために、カザフスタン、アゼルバイジャン、UAE(アラブ首長国連邦)、モロッコ、バーレーン、カタール、サウジアラビア、ウズベキスタン、クウェートが、救済パッケージに70億ドル超を拠出したと発表できることをうれしく思う」

トランプ氏はさらに、「費やされたすべてのドルが安定への投資だ」と主張。国連が人道支援として20億ドルを拠出するほか、国際サッカー連盟(FIFA)がガザでのサッカー関連事業のために7500万ドルを調達することも明らかにした。

治安部隊の設立に懸念

ブルガリアの政治家で、「平和評議会」の現地代表に選出されたニコライ・ムラデノフ氏は、新たな暫定パレスチナ警察部隊の募集プロセスが始まっており、「最初の数時間だけで2000人が応募した」と述べた。

しかしイスラエルとアメリカは、この部隊のメンバーを、ハマス支配下にある既存のガザ警察組織から、厳しい審査なしに採用することを認めていない。また、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治政府の治安部隊員だけで構成することも望んでいない。

これは組織をゼロから立ち上げることを意味しており、非常に困難だ。

ムラデノフ氏は以前、パレスチナ警察部隊がガザの主要な治安機関となり、派遣される国際安定化部隊(ISF)はそれを補助する立場であるべきだと発言。その逆であってはならないとしている。

アメリカの計画によると、ISFはイスラエルとエジプト、そして新たに審査と訓練を受けたパレスチナ警察部隊と協力し、ガザ境界の安全確保と、ハマスを含む非国家武装勢力の恒久的な武装解除プロセスを支援する。

しかしムラデノフ氏は、このような部隊がハマスや他のパレスチナ勢力の武装解除を監督できるという証拠は乏しいと述べた。

19日の会合では、トランプ氏がこの点について楽観と警告を併せて示したが、ハマスが武器を引き渡す用意があるという示唆はなかった。

ハマスはこれまでのところ、最低でもイスラエル軍がガザを撤退することを条件に、武器引き渡しを行う姿勢を公に示してきた。

この問題の進展は極めて重要だ。ガザで実効的な治安権限を担い、パレスチナ住民の幅広い支持を得る治安部隊なくしては、トランプ氏が提示する再建や統治の提案はいずれも実施できないからだ。

ワシントンでの会合も、トランプ氏が大統領2期にまたいで行ってきたイスラエル・パレスチナ和平への取り組みの特徴を示すもので、不動産開発や裕福な投資家からの資金提供という観点から、パレスチナの将来を捉える姿勢が反映されていた。

一方イスラエルの指導部は、トルコやカタールが同評議会に招かれている点に警戒感を抱いており、とりわけガザの将来をめぐる決定にこれらの国が大きな役割を果たすことを望んでいない。

トランプ氏とその側近は、こうした独自のアプローチについて、紛争解決を試みるための「新しい考え方」だと擁護している。

しかしムラデノフ氏は、迅速な進展がなければ、ガザは二つの領域、すなわちイスラエルの占領下に置かれ続ける地域とハマスの支配下にある地域に分断されたままとなると警告。ヨルダン川西岸地区とも切り離された状態では、将来のパレスチナ国家設立が実現不可能となる上、パレスチナとイスラエル、いずれの安全保障も確保できないと警告している。