イスラエル、ガザ南部ラファ検問所を再開 病人と負傷者の通行始まる

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ヨランド・ネル中東特派員(エルサレム)、ハフサ・ハリル記者
パレスチナ・ガザ地区南部とエジプトを結ぶラファ検問所が2日、再開され、病人と負傷者の通行が始まった。
このガザの主要な検問所は、2024年5月にイスラエル軍が同検問所のガザ側を掌握して以来、ほぼ閉鎖された状態が続いていた。
同検問所の再開は、昨年10月にイスラエルとイスラム組織ハマスが合意した、和平合意の第1段階で実施される予定だった。しかし、イスラエルはガザに残る最後のイスラエル人人質の遺体が返還されるまで、検問所を閉鎖し続けた。1月26日に、最後の人質、ラン・グヴィリ氏(24)の遺体がイスラエルに戻ったことで、検問所が開かれることとなった。
ラファ検問所はガザと外界とをつなぐ生命線といえる。そのため、多くのパレスチナ人はこの日の再開に安堵しているだろう。ただ、今回の再開は限定的なものだ。ごくわずかな人数しか検問所の通過が認められず、物資は一切搬入できないことに、不満の声も上がっている。
ガザの複数病院と世界保健機関(WHO)によると、治療のためガザを出るのを待っている病人や負傷者は約2万人に上る。
ガザ地区外への移動が認められるのは、1日あたり患者50人(付き添いの親族は1~2人)に限定されると、イスラエルでは報じられている。戦争中にガザを離れた人については、50人の帰還が認められるという。
付き添いの介護者が患者と共にエジプトから戻れるよう、検問所を通過する割り当て人数に含めるかどうかをめぐり、意見の相違があり、検問所の再開にやや遅れが生じたとされる。
検問所の運営はEUの監視団とパレスチナ側のスタッフが担い、イスラエルは遠隔で厳格な安全確認を行う。
イスラエルの治安当局者は2日朝、EUの国境支援ミッション(EUBAM)が到着したことで、ラファ検問所が「住民の出入りのために開かれた」と述べた。
こうした中、エジプトの情報機関に近い国営アル・カヘラ・ニュースTVは、「エジプト側からガザへ戻るパレスチナ人の第一陣を受け入れた」と報じた。
日没後には、患者を乗せた救急車が境界を越えてエジプト側に入る様子とみられる映像を、同メディアは公開した。
ガザ境界で活動するエジプトの保健当局者はAFP通信に対し、「これまでに3台の救急車が到着し、多数の病人や負傷者が運ばれてきた。これらの人は到着後すぐに診察を受け、どの病院に搬送するかが決定された」と述べた。

ガザでの日常業務を引き継ぐ予定の、パレスチナ人テクノクラート(技術官僚)による「ガザ行政国家委員会(NCAG)」を率いる、パレスチナ自治政府(PA)元副大臣のアリ・シャース氏は、ラファ検問所の再開は「断ち切られていたものを再びつなぎ合わせ、ガザの人々に真の希望をもたらす、長いプロセスの始まり」だと述べた。
欧州連合(EU)のカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表(外相に相当)は、「ラファ検問所の再開は、和平計画における具体的かつ前向きな一歩だ」と評価した。
イギリスのイヴェット・クーパー外相も再開を歓迎しつつ、「やるべきことは、まだたくさんある」と強調。「援助物資が搬入され、必需品に対する制限が緩和され、援助従事者が活動できるようにしなくてはならない」と付け加えた。

ラファ検問所が再開する前日の1日には、イスラエル当局が検問所を試験的に再開させていた。この試験運用に詳しいパレスチナ当局者の1人はBBCに対し、2日の本格運用に先立ち、パレスチナ人スタッフ約30人が検問所のエジプト側に到着したと話した。
WHOは、ガザのハマス支配地域からの患者の移送を監督する。バスでイスラエル軍の撤退ライン「イエローライン」を越えて、イスラエル軍支配地域へと移送することになっている。
アル・カヘラ・ニュースTVによると、エジプト側では、約150の病院と300台の救急車が患者の受け入れ準備を整えている。
アメリカのドナルド・トランプ大統領が仲介した、20項目からなるガザ和平計画では、ラファ検問所の往来の再開は、昨年1月の停戦合意で用いられた仕組みに基づいて行われるとされている。
2024年にイスラエルがラファ検問所のガザ側を掌握する以前は、同検問所は戦時下にガザを出ることを認められたパレスチナ人にとって、地区外への主要な出口となっていた。また、人道援助物資を搬入する重要な入口でもあった。エジプトからの援助物資は現在、イスラエルとの間にあるケレム・シャローム検問所を通じて運ばれる。
イスラエル政府は昨年12月、パレスチナ人がガザを出られるようラファ検問所を開く方針を示した。しかしエジプト側は、双方向の通行が認められる場合にのみ、検問所を再開させるとしていた。
在カイロ・パレスチナ大使館には、ガザへの帰還を希望する3万人以上のガザ出身者が登録している。
ハマスは2023年10月7日、イスラエル南部への襲撃を主導し、約1200人を殺害、251人を人質として連れ去った。
これを受けてイスラエルはガザ地区での軍事作戦を開始した。ハマス運営のガザ保健省によると、これまでに7万1800人以上が殺されている。
イスラエルとハマスは昨年10月以降、停戦合意に違反したと互いを非難し合っている。
ガザ保健省は、昨年の停戦発効後もイスラエルがガザを空爆し、526人のパレスチナ人が殺害されたとしている。イスラエル軍は、 この間に、パレスチナ側の攻撃でイスラエル兵4人が殺害されたとしている。











