インドがパキスタン空爆、カシミール地方など9カ所 パキスタンは報復示唆

画像提供, Reuters
インド政府は7日早朝、パキスタン国内および同国と領有権を争うカシミール地方のパキスタン支配地域の計9カ所を攻撃したと発表した。両国をめぐっては先月末、カシミール地方のインド支配地域で観光客が武装集団に銃撃され殺害されたことを受け、パキスタンが貿易停止などの対インド報復措置を発表。対立激化への懸念が高まっている。
パキスタン軍は、パキスタン国内と、カシミール地方のパキスタン支配地域の計6カ所がインド軍のミサイル攻撃を受けたとしている。
パキスタン軍によると、これまでに31人が死亡、57人が負傷した。
死傷者には複数の女性と子供が含まれると、パキスタン外務省は声明で発表。インドの行動は「パキスタンの主権に対する明白な侵害」だとした。
パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は7日夜、国民に向けた演説を行い、「インドが昨夜犯した甚だしい過ちについて、(インドは)これから代償を払わなくてはならない」と強調した。
カシミール地方のパキスタン支配地域ムザファラバードの住民は、複数の大きな爆発音で目が覚めたと、BBCに語った。
ロイター通信は、カシミール地方のパキスタン支配地域で激しい砲撃や大きな爆発音が報告されていると伝えた。
パキスタン軍の報道官は、パキスタンが「時と場所を選んでこれ(攻撃)に対応する」とした。
「我が空軍のジェット機はすべて上空で待機している。これは、インド領空内から行われた恥ずべき卑劣な攻撃だ」と、報道官は付け加えた。
先月22日にカシミール地方のインド支配地域で観光客グループが武装集団に銃撃され、26人が殺害されて以降、両国の関係は急速に悪化している。
カシミール地方のインド支配地域では、数十年にわたる反乱で何千人もの命が奪われている。
1947年にインドとパキスタンが分離してイギリスから独立して以降、カシミール地方は分割支配されてきた。どちらも互いにカシミール全域の領有権を主張しており、2度の戦争と限定的な紛争を繰り返してきた。インドとパキスタンは共に核保有国。
「シンドール作戦」
インド政府は、「シンドール作戦」を開始したと発表した。パキスタン国内と、カシミール地方のパキスタン支配地域にある、「インドに対するテロ攻撃が計画・指示されている」「テロリストのインフラを攻撃」するものだとしている。
インド政府はまた、「9カ所が標的となった」と声明で発表。
「我々の行動は、焦点を絞り、計算された、事態をエスカレートさせない性質のものだ。パキスタンの軍事施設は標的にしていない。インドは標的の選択と実行方法において、かなりの自制を示している」とした。
インド国防省はこの作戦について、インド人25人とネパール人1人が殺害された先月22日の銃撃事件に関与した者に「責任を負わせる」ための「コミットメント」の一環だと説明している。
パキスタンは、この銃撃事件への関与を否定している。
パキスタンによると、攻撃されたのは、カシミール地方のパキスタン支配地域にあるムザファラバードとコトリ、パキスタン国内のバハワルプルなど。
パキスタンのカワジャ・アシフ国防相は、インドがインド領空内からミサイルを発射したと、Geo TVに語った。
さらに、インドが民間人が暮らす地域を攻撃したとし、「テロリストの拠点を標的にした」とするインド側の主張は虚偽だとも述べた。
BBCは攻撃された場所を独自に検証できていない。
パキスタン軍の報道官によると、カシミール地方のコトリで民間人2人が、バハワルプルで子供1人が、それぞれ殺害された。
報道官はパキスタン・メディアに、バハワルプルで民間人12人が負傷したと語った。また、倒壊した家屋のがれきの下に、子供1人を含む家族が取り残されているとした。
パキスタンのムハンマド・イスハーク・ダール外相は7日朝の時点で、最も多くの死傷者が出たのは、パキスタンの都市アフマドプル・イーストだとしていた。
パキスタン、インド軍機を撃墜 地上と上空から「報復」すると
パキスタン軍報道官のアフメド・シャリフ・チョードリー中将は、自軍がインドの戦闘機5機と、ドローン(無人機)1機を撃墜したと主張した。
「これまでに、ラファール戦闘機3機、SU-30戦闘機1機、MiG-29戦闘機1機、計5機のインド軍機とヘロン無人機1機を撃墜した」と、チョードリー中将はロイター通信が公開した動画の中で述べた。
中将は先に、パキスタン軍は地上に部隊を配備しているとしていた。具体的な場所は明かしていなかった。
また、パキスタンには自衛権があり、防衛活動が現在進行中だと述べていた。
ロイター通信もパキスタン国防相の話として、インド軍機が撃墜されたと報じている。
こうした主張についてインド側からコメントはなく、その真偽についてBBCは独自に検証できていない。
パキスタンのアタウラ・タラール情報相も、インドは「我々の許容範囲を超えた」とBBCに述べ、軍報道官が先に述べていた報復攻撃の可能性について改めて言及した。
「これは不当な攻撃で、完全にやみくもな侵略行為だ」と、タラール情報相は述べた。「我々は当然報復する。(中略)地上と上空から対応する」。
パキスタンのシャリフ首相は7日夜の演説で、「卑劣な敵は、パキスタン国内の5カ所に対して卑怯な攻撃を実施した。この極悪な侵略行為は、必ず罰を受ける」と表明。「パキスタンは昨夜、反撃できる力を示した」と述べた。
演説によると、攻撃から1時間以内に実効支配線(LoC)で「継続的な戦闘」が発生。パキスタン軍が勇敢に戦ったと首相は述べた。
また、パキスタン空軍が防衛行動を行い、「我々から相手に返答した」と述べ、パキスタン軍が「我々を攻撃する敵の戦闘機を撃墜した」とも述べ、インド機撃墜の主張を繰り返した。インド政府は自軍機の撃墜を認めていない。
シャリフ首相は、先月パハルガムで発生した銃撃については、「パキスタンとは無関係だった」と主張し、「不当な理由で非難された」と述べた。パキスタンは調査を求めたが、インドはこれを拒否し、無視したと非難した。
こうした中、インド軍当局は、カシミール地方のインド支配地域がパキスタン軍に攻撃され、インドの民間人が少なくとも15人死亡したとBBCに述べた。負傷者は32人に上るという。
死者は全て、カシミール地方のインド支配地域プーンチ地区で報告されたという。

画像提供, Getty Images
国際社会の反応
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ホワイトハウスで記者団に、インドの空爆について「大統領執務室に入る時に聞いたばかり」だとし、「残念だ」と述べた。
そして、「すぐに終わることを願うばかりだ」と付け加えた。
その後の大統領執務室での記者会見でも、トランプ氏はパキスタンとインドの緊張激化について短くコメント。「私はどちらもよく知っている。解決策を見つけてほしい」、「両方にやめてほしい」と述べた。
また、「私に何かできることがあるなら、協力する」と付け加えた。
その後、マルコ・ルビオ米国務長官は、インドとパキスタンの状況を注視していると、ソーシャルメディアに投稿。
「平和的解決に向けて」インド、パキスタン両国の指導者と関わり続けていくとした。
在米インド大使館は先に、同国のアジット・ドバル国家安全保障顧問がルビオ氏と協議し、インドが「取った行動について説明した」と明かしていた。
アントニオ・グテーレス国連事務総長の報道官は、グテーレス氏が「インド軍が管理ラインと国際的な国境線を越えて活動していることを非常に懸念している」と述べた。
「事務総長は両国に最大限の軍事的自制を求めている。世界にはインドとパキスタンの軍事的対立を許す余裕はない」
欧州連合(EU)のカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表は、インドとパキスタンの緊張の高まりを懸念していると述べた。
カラス氏は、ワルシャワで開催される欧州外相らの非公式会合を前に、EU圏が「仲介し、緊張を和らげようとしている」と話した。












