ゼレンスキー氏、緩衝地帯の設置を拒否 戦争終結のため欧州が検討との報道受け

画像提供, Zelensky/Telegram
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は29日、ロシアとの和平のためにウクライナ軍とロシア軍の間に緩衝地帯を設けるという案を否定した。ゼレンスキー氏は記者団に対し、「緩衝地帯を提案するのは、今の戦争の技術的な状態を理解していない者だけだ」と述べた。
ウクライナでの戦争は、ドローン技術の進歩が突き動かす紛争へと変化している。ゼレンスキー氏は、ドローン攻撃の脅威によって、前線付近にはすでに事実上の緩衝地帯が存在しているという考えを示した。
ゼレンスキー氏のこの発言は、欧州首脳らが停戦または長期的な合意の一部として、長さ40キロに及ぶ緩衝地帯を検討しているとの報道を受けたもの。
米政治ニュースサイト「ポリティコ」は、欧州外交筋の話として、ウクライナとロシアの両軍を引き離すための緩衝地帯をウクライナ国内に設ける案が、欧州の軍と文民関係者の間で検討されていると伝えた。
しかしゼレンスキー大統領は記者団に、前線の両側にはすでに、ドローン攻撃を受ける懸念から重火器を展開できない地帯が存在していると指摘。「お互いの重火器は現在、10キロ以上離れて配置されている。何もかもドローンによって攻撃されるからだ」と話した。
「この緩衝地帯は、私は『死の地帯』と呼び、ある者は『灰色地帯』と呼ぶが、それはすでに存在している」と大統領は述べた。
さらに、緩衝地帯の設置はウクライナが領土の一部を放棄することを意味する可能性もあるため、ゼレンスキー氏はこれも拒否した。
「ロシアが我々との距離を広げたいなら、ウクライナで一時的に占領している地域の奥深くへ撤退すればいい」と大統領はくぎを刺した。
緩衝地帯は、敵対する勢力同士を引き離すため設けられる。韓国と北朝鮮の間の非武装地帯や、冷戦中に東西陣営の間に設けられたさまざまな障壁など、多様な形があり得る。
ゼレンスキー氏はさらに、ロシアは外交に応じる準備ができていない、それよりむしろ戦争終結を先延ばしにする方法を模索している状態だと批判した。
ロシアによるウクライナ侵攻開始から3年半以上になる中、アメリカ主導の外交攻勢は失速しつつある。
ドナルド・トランプ米大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が8月15日に米アラスカ州で会談した後、18日には米首都ワシントンのホワイトハウスにアメリカとウクライナの両大統領のほか、欧州の指導者が集まるという異例の事態が続き、ゼレンスキー氏とプーチン氏の首脳会談が実現するかもしれないとの期待が生じた。
しかし、現時点でその期待は薄れている。ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、ロシアとウクライナの首脳会談は「明らかにない」と発言。プーチン氏は参加したくないようだと述べた。
ロシアは28日未明、ウクライナの首都キーウに対してドローンとミサイル計629発を撃ち込み、23人を殺害した。これは、戦争開始から最大規模の空爆の一つで、欧州指導者らは強く反発した。キーウ中心部にある欧州連合(EU)代表部事務所の近くにも、ミサイルが着弾した。
メルツ独首相とエマニュエル・マクロン仏大統領は29日に仏トゥーロンで開かれた仏独防衛安全保障評議会の会合の後、プーチン氏が戦争終結にほとんど関心を示さないことを理由に、ロシアへの圧力を強めるつもりだと述べた。
マクロン氏は、プーチン氏が9月初めの和平交渉受け入れ期限を守らなければ、「またしてもトランプ大統領をいいように利用したことが明らかになる」と述べた。メルツ氏は、戦争が「あと何カ月も」続くかもしれないと話した。
EUのカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表は、「ロシアは民間人および民間インフラへの攻撃を続けている。これは、意図的なエスカレーションであり、和平への努力を損なうものだ」と非難した。
ウクライナのアンドリー・イェルマーク首席大統領補佐官は29日、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ大統領特使、マルコ・ルビオ国務長官、J・D・ヴァンス副大統領と共に、アメリカが仲介する和平交渉についてニューヨークで協議した。
イェルマーク補佐官は会談後、ウクライナはアメリカが提示するすべての和平案を歓迎するものの、「残念ながらそのすべてが、ロシアのせいで滞っている」と述べた。
欧州の指導者らは、ロシアとの和平合意が成立した場合にウクライナの安全を保証するための枠組みを検討している。
カラス氏は、「強固かつ信頼できる」保証の仕組みを提供する必要があると、EU加盟諸国の防衛相らが29日に一致したと述べた。ゼレンスキー氏は、「NATO型」の保証に関する協議が来週も続くだろうと話した。
一方、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、西側諸国の最新提案は「一方的」で、ロシア封じ込めを目的としていると批判した。
「安全の保証は、ロシアの安全保障上の利益を考慮した、共通理解に基づくべきだ」とザハロワ報道官は述べた。












