ロシアの凍結資産、ウクライナ再建に回すよう主張 ゼレンスキー大統領
ファイサル・イスラム経済編集長

画像提供, Reuters
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は16日、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダヴォス会議)で演説し、各国の銀行が凍結しているロシア資産の一部をウクライナ再建に回すよう訴えた。
主要7カ国(G7)は、2020年にロシア資産を凍結して以降の資産の値上がり分と利子のみについて、ウクライナに引き渡すことを検討している。
しかしゼレンスキー氏は、全資産が使われるべきだとBBCの取材で主張。「世界に3000億ドルあるなら、なぜそれを使わないのか」と訴えた。
一方、欧州各国の中央銀行は、金融機関にとっての安全な資金避難先としての地位を損なうことを懸念しているとみられる。
ロシア資産引き渡しについては、米英政府が熱心に支持しているのに対し、欧州各国の中央銀行は、国際金融の安定を損ないかねない微妙な法的前例をつくるとして、はるかに懐疑的だ。仮に認めれば、他の国々が安全に避難させたい資金を西側諸国に預けることをためらうことになりうる。
凍結したロシア資産の大部分を保有しているのが、欧州準備金の決済システムの役割を担っているベルギーだ。同国はすでに、いくつかのファンドに課金し、ウクライナに20億ユーロを調達している。積極派からは、凍結資産が3600億ドル近くに上ることや、現在の高金利を考慮すれば、数百億ドル規模の資金を調達できるとの声も出ている。
「再建のために使うべき」
ゼレンスキー氏は、スイス・ダヴォスで開かれているダヴォス会議の会場でBBCの取材に応じ、ウクライナでの戦争のコストを西側諸国の納税者に負担させるべきではないと話した。
「凍結されたロシア資産は3000億ドルある。ロシアはウクライナを破壊した。(中略)ロシア資産が3000億ドルあるなら、ロシアのミサイルによって破壊されたものの再建のために、それを直接使うべきだ。(中略)なぜ各国は支援の方法を考えなくてはならないのか。(中略)世界に3000億ドルあるなら、なぜそれを使わないのか」
ゼレンスキー氏はダヴォス会議で、米金融大手JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)や米投資会社ブラックストーンのスティーヴン・シュワルツマンCEOなど、米ウォール街の大物らと会談した。
英銀行スタンダード・チャータードのビル・ウィンターズCEOは、ロシアの凍結資産が生み出す利益を差し押さえることについて、中央銀行や通貨の「兵器化」が懸念されている状況では、世界の金融界は「複雑」な反応を示すだろうと、BBCに述べた。
「正しいことをするために価値があるという意見もあるかもしれない。私たちの多くは、人として、それが正しいことだと同意するだろう。だが、中央銀行には懸念を抱く権利があると思う」
「長期的には、米ドルが中心的な役割を担っていることから、米ドルの効果的な兵器化について私たちは気をつけなければならない。制裁措置を通して、すでにかなり兵器化されている。これ(凍結資産の利用)はそれをさらに拡大するだろう」
ゼレンスキー氏はダヴォス会議の演説で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が領土にしか関心がないことを、西側の一部は否定していると主張。また、ウクライナはヨーロッパを防衛しており、さらなる支援が必要だと訴えた。







