ヒズボラ司令官、レバノン南部で殺害される イスラエルが空爆か

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レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは8日、レバノン南部で司令官1人が殺害されたと発表した。イスラエルによる空爆を受けたとみられる。
レバノンの国営通信によると、同国南部キルベット・セリムのアル・ダブシャ地区で8日午前10時15分ごろ、車を狙ったイスラエル軍の空爆があり、2人が殺害された。氏名は明らかにされていない。
攻撃された車は道路を外れ、炎上したという。現場の写真には、黒焦げになった車の残骸が道路脇に写っている。
レバノンの複数の治安関係者は、殺害されたのはヒズボラのウィサム・タウィル司令官と戦闘員だとしている。
ヒズボラもタウィル司令官が死去したとする声明を発表。ただ、空爆で殺害されたとは明言せず、「エルサレムへの道で、殉教者として立ち上がった」とだけ説明した。
ロイター通信は情報筋3人の話として、タウィル司令官はヒズボラの精鋭部隊「ラドワン部隊」の副官だと報じた。現在のイスラエルとの紛争で殺害されたヒズボラ関係者の中で、最も高位の1人とされる。
AFP通信は別の情報筋の説明として、タウィル司令官が「(レバノン)南部でのヒズボラの活動を管理する指導的役割を担っていた」と伝えた。
イスラエル国防軍(IDF)は、タウィル司令官の死に関する外国メディアの報道についてはコメントしないとした。
一方で、イスラエル北部の町キリヤット・シュモナに向けて対戦車ミサイルが発射されたのを受け、「レバノン領内の多くの地域を攻撃した」と発表した。
また、「ヒズボラのテロリストが活動する軍事施設を含む、レバノン各地にある一連のヒズボラのテロ標的を(イスラエル空軍の)戦闘機が攻撃した」と付け加えた。
こうした衝突によって、紛争が広い地域へ拡大することへの懸念が高まっている。
昨年10月7日にイスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスの戦争が始まって以来、ヒズボラの戦闘員はほぼ毎日、イスラエルとの国境沿いでイスラエル軍と銃撃戦を繰り広げている。
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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は8日、レバノン国境に駐留する兵士らに対し、「北部の治安回復のため必要なことはすべて行う」と決意を語った。
ヒズボラはイランの支援を受けており、レバノンで強い軍事力と政治力をもっている。イスラエル、イギリスなどの西側諸国からテロ組織に指定されている。
ヒズボラがイスラエル軍に発砲と
ヒズボラは声明で、タウィル司令官の役割についての詳しくは明らかにしなかった。ただ、同司令官がヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師と握手している写真や、2020年にイラクで米軍に暗殺されたイラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官の隣に座っている写真を公表した。
ヒズボラはまた、イスラエル北部シュトゥーラ地区と、イスラエルが占領しているゴラン高原の係争地のシェバア農場・ドヴ山地区で、戦闘員がイスラエル軍に発砲したと発表した。

ここ3カ月間の国境を挟んだ紛争で、ヒズボラ戦闘員数十人とイスラエル軍兵士数人、イスラエルとレバノンの民間人らが殺害されている。だがこれまでのところヒズボラは、イスラエルとの全面戦争は避けるよう、行動を制御している。
レバノンの首都ベイルートで2日にハマスの高官サレフ・アル・アロウリ氏ら7人がイスラエルによるとみられる攻撃で殺害された際には、ヒズボラ最高指導者のナスララ師はイスラエル当局に対し、衝突を起こさないよう警告。「私たちとの戦争を考える者は誰だろうと(中略)後悔することになる」とした。
しかし、行動をエスカレートさせると脅すことはしなかった。
レバノンでは多くの国民が、2006年にイスラエルとヒズボラの間で1カ月にわたって起きた紛争による破壊を今も覚えている。レバノンは現在、大規模な経済危機に見舞われており、世論は軍事対決を支持していない。

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一方、イスラエルでは一部の高官が、ヒズボラに対してより大規模な攻撃を行う可能性があると公言している。ヒズボラの脅威を減らし、絶え間ない攻撃のために避難している何千人ものイスラエル住民を帰還させるためだとしている。
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