ハマスは「性暴力を戦争の武器にした」とイスラエル活動家 国連機関の対応の遅れも批判

マリタ・モロニ―、BBCニュース

キブツ(農業共同体)・レイム近郊のフェスティバル会場で、犠牲者の写真を見ながら抱き合うイスラエル兵

画像提供, EPA

画像説明, イスラエルのキブツ(農業共同体)・レイム近郊のフェスティバル会場で、犠牲者の写真を見ながら抱き合うイスラエル兵

パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスが、イスラエル襲撃に際し、性暴力を武器として使う計画を立てていたと、イスラエルで女性の権利活動を行っている弁護士が指摘した。

大学教授でもあるルース・ハルペリン=カッダリ氏は、複数の場所で撮影された映像で、女性たちがレイプされたと「確信できる」状態だったのを確認したと語った。

10月7日のハマスによる襲撃をめぐっては、一部の国連機関が性暴力があったとする主張を認めるのが遅れているとして、怒りの声があがっている。

イスラエルは、襲撃時の性犯罪の証拠を集めようとしている。

警告:この記事には、一部の読者がつらいと感じるような、生々しい詳細が含まれています。

イスラエルの警察は、目撃者や看護師などから1500件以上の証言を集めたとしている。一方、ハマスは襲撃での性暴力を否定している。

ハマスが襲撃した「スーパーノヴァ」音楽フェスティバルの会場から戦闘員らが配信した画像や映像からは、残酷な攻撃の様子が伝わってくる。

警察は、集団レイプから遺体の性器切除まで、さまざまな暴力を捜査している。

ハルペリン=カッダリ教授はBBCのラジオ番組に出演し、「目撃者の生の証言を数多く見た」と説明。「たとえばある生存者は、やぶの中に隠れていたところ、隣にいた女性が複数の男性にレイプされるのを見たと言っていた」と話した。

同教授はまた、命に関わる出血で運ばれてきた女性を手当てしたという救急隊員と話したと述べた。この女性は、4人の男性にレイプされたと報告されている。

「さまざまな場所で撮影された映像や写真で、遺体が同じパターンで切断されていた。この女性たちが処刑される前にレイプを受けたことは疑いようがなかった」

その上で、1日のうちに複数の場所でこうした事案が集中的に発生していることから、「戦争の武器として性暴力を使用する計画」があったことに「疑いの余地はない」と述べた。

ハマス側は、こうした虐待の報告を「否定し、強く非難する」と述べている。メッセージアプリ「テレグラム」への投稿では、こうした主張はイスラエルによる「うそ」であり、ハマスがイスラエルの人質を「人道的」に扱ってきたことをゆがめようとしているとした。ハマスは10月7日に約240人を人質に取ったが、一時的な戦闘休止の一環として先週、110人を解放した。

イスラエルの女性の権利活動家などは、主要な国際機関に対し、ハマスの襲撃における性暴力を含むジェンダーに基づく暴力の報告を公に認めるよう呼びかけている。

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4日には米ニューヨークの国連本部前に数十人のデモ参加者が集まり、イスラエルの女性に対するレイプや拉致、不当な扱いに対して何も行動がないことに抗議した。

ハルペリン=カッダリ教授は12年にわたり、国連の女性に対する差別撤廃に関する代表者会議のメンバーを務めてきた。同教授は、こうした「人道に対する罪」を認めるよう、国連機関に働きかけていると話した。

「残念なことに、1週間前まで、誰も『性暴力』という言葉を使わなかった。そこまでに7週間以上かかった」

国連はなお、対応の遅れを非難する声に回答していない。ハルペリン=カッダリ教授は性暴力への関心を高めるため、1週間前にジュネーヴを訪れた。

国連女性機関(UN Women)は、襲撃から8週間後に声明を発表。ジェンダーに基づいた残虐行為の証言があったと認めた。

「あまりに長い、長すぎる時間がかかっている」と、ハルペリン=カッダリ教授は指摘している。

男性も性暴力の被害に

イスラエルの性暴力に対抗するロビー団体に所属するヤエル・シェラー氏は、BBCのラジオ番組で、10月7日の襲撃では男性も性暴力の被害に遭ったと述べた。

現在、攻撃の生存者や目撃者、現場に最初に到着した警官や救急隊員などから証拠を収集しているという。

「ハマスのテロリストはさまざまな方法で、こうした人々の名誉を傷つけ、屈辱を味わわせようとした」

こうした行為には遺体に対する暴力も含まれると、シェラー氏は語った。

「血を流している人、服を着ていない状態で家具にくくり付けられた人を見た。さまざまな年齢の人がいた」

国連の調査委員会は現在、イスラエルとハマスの紛争において、双方の戦争犯罪疑惑を調査している。この調査では、10月7日の攻撃で行われた性的暴力にも焦点が当てられる見通し。ただ、イスラエルはこの委員会を偏ったものとみなし、今のところ協力していない。

調査委員長を務めるナヴィ・ピレー氏は、もしイスラエル政府が協力しないとしても、調査委はなおイスラエル国外にいる生存者や目撃者から証拠を集めると述べた。

ピレー氏はBBCに対し、「イスラエルがすべきは、我々を入国させることだけだ」と話し、襲撃の生存者は国連の聴取を受けられる状態にあるべきだと付け加えた。

一方で、国連がハマスの襲撃で行われた性暴力を認めるのを遅らせたという主張を否定。調査委の活動として「あらゆる努力」がされていると述べた。

ハマスは10月7日の襲撃で1200人を殺害したとされる。

イスラエルはそれ以来、ガザ地区に攻撃を続けており、ハマスが運営する同地区の保健省は、これまでに1万6200人以上が殺されたと発表している。