イスラエル、ガザ難民キャンプを空爆 住民ら多数死傷

動画説明, イスラエルの空爆を受けたガザ北部ジャバリア難民キャンプには大きなクレーターができた

イスラエル軍は10月31日、パレスチナ自治区ガザ地区北部の難民キャンプを空爆し、イスラム組織ハマスの司令官を殺害したと発表した。多数の民間人の死傷者も出ているもよう。イスラエル軍は地上作戦も進めている。

イスラエル軍が攻撃したのは、ガザ市の北にあるジャバリア難民キャンプ。国連などによると、ガザ地区の八つの難民キャンプの中で最大で、広さ1.4平方キロメートルに11万6000人超のパレスチナ難民が生活している(今年7月時点の国連の登録人数)。

大部分は住宅で、学校が26校、保健センターが2カ所ある。

イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は31日の記者会見で、同軍の戦闘機がジャバリア難民キャンプを攻撃し、イブラヒム・ビアリ司令官を殺害したと発表した。

ハガリ報道官によると、ビアリ司令官と同じ建物や地下にいたハマスのメンバー数人も殺害した。イスラエルに対する「テロ活動」を実行するための地下インフラも破壊したという。

イスラエル軍のジョナサン・コンリカス報道官によると、ビアリ司令官はハマスの重要な大隊長で、「10月7日の攻撃の計画と実行における中心人物」だったという。

また、攻撃ではビアリ司令官が作戦指揮所にしていた「広大な地下トンネル群」で、ハマス戦闘員「数十人」を殺害したという。

コンリカス報道官は、難民キャンプでの攻撃では地下トンネルを狙ったが、周囲の建物の崩壊は「避けられない」と説明。イスラエル軍は「巻き添え被害」と「非戦闘員の死傷者」の報告を確認中だとした。

現地で撮影された写真には、大きなクレーターと崩壊した建物が写っている。死体や重傷を負った子どもとみられる写真もあった。

ハマスが運営する保健当局は、少なくとも50人が殺害されたとしている。パレスチナ赤新月社は死者数を25人とし、ガザ地区の医師は死者120人が病院に運ばれてきたとBBCに話した。

ジャバリア難民キャンプの所在地

ガザ市に向け進軍

地上作戦を進めるイスラエル軍は、ガザ市に向かって戦車や装甲車を移動させている。同市にはハマスの指揮統制センターになっているトンネル網があると、同軍は説明している。

同軍はまた、「ガザ地区全域で攻撃している」と説明。空爆と地上攻撃で合わせて300カ所の標的を1日で攻撃したとし、民間人を殺害しないようできる限りのことをしていると強調した。

一方、イスラエルでも被害が出ているもようだ。救急当局などによると、南部アシュドドにロケット弾2発が撃ち込まれ、4人が負傷した。50歳の男性が破片で重傷を負い、別の3人はガラスの破片で軽傷を負ったという。

ハマスが運営するガザ地区の保健当局によると、イスラエルが報復爆撃を開始してからガザ地区で8500人以上が殺害されている。イスラエル側は、ハマスの10月7日の攻撃で1400人が殺害され、少なくとも239人が人質に取られたとしている。

こうしたなか、他国が「参戦」する動きもみられる。

イスラエルから南東に遠く離れたイエメンの反政府武装組織フーシが31日、イスラエルに向けて「大量の」弾道ミサイルとドローン(無人機)を発射したと発表した。

フーシの広報担当はテレビ放送された声明で、イスラエルを標的にした作戦実施はこれが3回目だと主張。「イスラエルの侵略が終わるまで特別作戦を継続する」と述べた。

イスラエル南部エイラト市では同日、「敵機の侵入」を受けて空襲警報のサイレンが鳴り響いた。イスラエルは紅海の上空でこれを撃墜したとされる。

イスラエルは先週、フーシのドローンがエジプトの二つの町で爆発したとし、それらはイスラエルに向けた攻撃だったと非難した。

脱水で死亡する恐れ

ガザ地区の生活環境はさらに悪化している。

世界保健機関(WHO)は、「公衆衛生上の大惨事」が差し迫っているとしている。

国連児童基金(ユニセフ)も、ガザ地区では水の供給が通常の5%ほどしかなく、乳幼児が脱水によって死亡する「脅威が膨らんでいる」と警告した。塩分の多い未処理の水を飲むことで、子どもたちが病気になっているという。

米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は、支援物資を積んだトラック66台が過去24時間でガザ地区に入ったと述べた。

現地では食料、水、医薬品の搬入が許可されており、アメリカは燃料についても搬入が再開されるよう求めていると、カービー氏は述べた。

一方、エジプト当局は、ガザ地区で重傷を負ったパレスチナ人81人が、治療のためエジプトの病院に搬送される予定だと明らかにした。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、ガザ地区の紛争の激化に「深く憂慮している」とする声明を発表。「イスラエル軍による地上作戦の拡大と激しい空爆」と、「ガザ地区からイスラエルへのロケット弾の発射」の両方が問題だとした。

グテーレス氏はさらに、停戦の必要性を繰り返し強調。「人道的アクセスが妨げられずに許可される」ことを求めた。