イラン道徳警察、ヒジャブ着用めぐり少女を殴打か 「昏睡状態」と人権団体

画像提供, IRNA
少数民族クルド系の人権団体「Hengaw」は3日、イランの道徳警察がヒジャブを着用していない少女を殴打したとして非難し、昏睡状態に陥ったとする少女の画像を公開した。
アルミド・ゲラヴァンドさん(16)は1日、首都テヘランにある地下鉄のショハダ駅で列車に乗った後に倒れた。
当局はゲラヴァンドさんは気を失ったのだとし、列車から引きずり降ろされる様子を捉えた監視カメラ映像を公開した。
一方、Hengawは、少女は道徳警察から「激しい身体的暴行」を受けたと主張した。
Hengawは、少女は厳重な警備の下、テヘラン市内のファジル病院で治療を受けているとしている。3日夜にはソーシャルメディアに、「病院の特別治療部門に収容されているアルミド・ゲラヴァンドさん」だとする写真を投稿。「彼女の意識状態に変化がないことがわかる」とした。

その写真には、人工呼吸器のチューブのようなものが取り付けられたベッドに横たわる、頭に包帯を巻かれた短髪の少女が写っている。BBCはこの写真の真実性を確認できていない。
少女の家族は全員、携帯電話を没収されたという。
<関連記事>
当局は2日、この出来事を伝えるために病院を訪れた地元紙シャルクの女性ジャーナリストを一時拘束した。
Hengawは2日午後、少女はテヘラン在住だが、もともとはクルド人の多い西部ケルマンシャー州の出身だと伝えた。
「(少女は)『ヒジャブ』着用義務違反だとする(中略)当局から、ショハダ駅で身体的攻撃を受けた」、「その結果、彼女は重傷を負い、病院に搬送された」と、同団体は付け加えた。
著名な権利活動家2人も、厳しい服装規定を取り締まる役人との対立があったと、ロイター通信に語った。
一方、オランダ・アムステルダムを拠点とするラジオネットワーク「Zamaneh」は、この10代の少女がヘッドスカーフを着けずに列車に乗った後、「ヒジャブ着用を求める執行者に突き飛ばされた」、「少女が鉄柱に頭をぶつけた」とする匿名の人物の話を伝えた。
少女の両親、当局から圧力受けたか
Hengawは、少女の両親が国営通信社IRNAから、「ファジル病院で、高位の治安当局者の立ち合いのもと、相当な圧力をかけられた状況で」事情を聞かれたことを示す情報を得たとしている。
少女の母親は監視カメラ映像を見て、1日に起きたことは「事故」だったと認めたと、IRNAは伝えた。
「娘の血圧が低下したのだと思う。あまり確かではないけど、娘の血圧が低下したのだと言われたと思う」と、少女の母親はIRNAが大幅に編集した動画の中で述べている。
テヘラン・メトロのマネージング・ディレクター、マスード・ドロスティ氏も、少女と「乗客や地下鉄運営会社幹部」との間に「言葉による、あるいは身体的な衝突」はなかったとしている。
「地下鉄側の人物と対立したという一部のうわさは(中略)事実ではなく、監視カメラ映像はこの主張が誤りであることを証明するものだ」と、ドロスティ氏はIRNAに語った。
映像に何が
監視カメラ映像は、髪の毛を隠していないゲラヴァンドさんが、ほかの2人の少女とともに列車に乗り込む様子を捉えたものだとされる。
間もなく、少女の1人が列車から降りてしゃがみ込んだ。
そして、この少女とほかの乗客数人が、意識を失ったゲラヴァンドさんの両腕と両脚を抱えて運び出し、ホームに寝かせているように見える。

当局が公開した映像に映っているのは地下鉄駅のホームだけで、列車内が映っていないと指摘するイランのソーシャルメディア・ユーザーもいる。ヒジャブ着用をチェックしているとみられる駅の入り口の映像も公開されていない。
イランで昨年9月に髪の毛を覆うよう女性に義務づけた法律に違反したとして、クルド系女性のマサ・アミニさん(22)が道徳警察に逮捕され、その後、警察の勾留施設で死亡した事件に触れる人もいた。
その事件の目撃者の話によると、アミニさんは警官に殴られていたという。当局はアミニさんの死因は持病によるものだとしている。
アミニさんが勾留施設で倒れる様子を捉えた監視カメラ映像や、入院中の写真は、多くのイラン人を激怒させた。アミニさんが昏睡状態に陥って3日後に死亡すると、国内で反政府デモが起きた。
治安部隊による暴力的な弾圧で数百人が死亡し、拘束者は数千人に上った。
アミニさんの死から1年が経過した現在は、抗議行動はほぼ沈静化している。それでも散発的なデモはいまも行われており、多くの少女や女性は公共の場で髪の毛を隠すのをやめて服装規定に公然と反抗している。










