女性に性器露出、直後にBBCラジオ番組で笑いながら説明 強姦疑惑の英人気コメディアン

ノミア・イクバル、BBCニュース、ロサンゼルス

File photograph of Russell Brand in 2014

画像提供, Getty Images

画像説明, ラッセル・ブランドさん(2014年撮影)

BBCを含めイギリスのさまざまな放送局の人気番組を司会し、複数のハリウッド映画にも出演しているイギリスの人気コメディアン、ラッセル・ブランドさん(48)について、かつてBBCのラジオ番組に出演していた際に、同じ建物内にいた女性に性器を露出し、性行為を迫ったと、この女性がBBCに語った。ブランドさんはそのまま番組を収録したとされ、女性に性器を見せたと笑って話す内容が後日放送されていた。

ブランドさんをめぐっては、英紙サンデー・タイムズと英チャンネル4の報道を機に、複数の女性が強姦や性的暴行などの被害を主張しているが、ブランドさんは疑惑を否定している。

(注意: この記事には、性加害の内容や露骨な表現が一部含まれます)

BBCの取材に応じた女性によると、ブランドさんに性器を見せられ性行為を迫られたのは2008年6月。BBCが入っていた米ロサンゼルスの同じ建物内で、働いていた時のことだったという。

「ぼうぜんとしてしまった」と女性は言う。

そのすぐ後、ブランドさんはラジオ番組の収録に戻り、笑いながらあれこれと語っていた。共演者はブランドさんが、「ご婦人に自分のちんちんを見せたんだって」と話している。

この件について、ブランドさんはコメントしていない。

当時の番組共演者で上述の発言をしていたマット・モーガンさんはBBCに対して、「今になるまで、あの時のことがどういう性質のものだったか知らなかった」と話している。

2008年のこのやりとりは、ブランドさんが告発されている性的加害行動について自ら公言した、最も早い事例と考えられる。

加えてBBCにとっても、事前収録したその内容をなぜそのまま数日後に放送したのか、深刻な疑問を突き付けるものとなっている。

女性は、BBCに対して正式に苦情を届け出ていなかった。BBC幹部は2019年になってこの件について知らされたが、正式な対応はなかった。

BBCは今回あらためて、女性の話す内容を知り、遺憾に思うとコメント。ブランドさんがBBCに出演していた期間のことを現在調査中で、この女性の経験も対象に含めると話した。

英タイムズとチャンネル4に対してはほかの4人の女性が、2006年から2013年にかけてブランドさんから強姦や性的暴行の被害を受けたと発言している。これに対してブランドさんは、報道内容を否定し、自分の女性関係は「常に同意に基づくものだった」と反論している。

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今回体験を語った「オリヴィアさん」(仮名)は当時、BBCのロサンゼルス支局と同じ建物内にある、メディア会社で働いていた。

2008年6月16日にオリヴィアさんは、建物に到着したブランドさんとスタッフの応対に出た。ブランドさんはBBCラジオ2の番組「ラッセル・ブランド・ショー」の事前収録のために、現場入りしたところだった。

オリヴィアさんはその後、ラジオの収録スタジオの前を通って、トイレへ向かった。自分の鼻の薬を取りに行くためで、しゃがみ込んで薬棚を探していると、誰かが背後に立つのを感じたという。

振り向くと、目の前に男性の股間があった。

「びっくりして立ち上がると、私が入り口玄関で応対して中に入れた男だと気が付いた。つまり、ラッセルだと」

続くやりとりで、ブランドさんが「けっこういけてるね。けっこういけてると思うよ」と繰り返したのを、オリヴィアさんは覚えているという。

「君のことはベティと呼ぶね」と言われ、それは自分の名前ではないとオリヴィアさんが答えると、ブランドさんは「まあ、じゃあ、あんたのことやっちゃうよ」と言ったのだという(訳注:「性交」を意味する単語を、ブランドさんはここで明確に使ったという)。

「『いいえ、だめです』と私は言った」と、オリヴィアさんは話した。

するとブランドさんは自分の性器を手にして、「誰かに食べ物を差し出すみたいにして、私に差し出してきた」とオリヴィアさんは言う。

トイレのドアは閉まっていて、閉じ込められているように感じていたとも、オリヴィアさんは話す。

「どうしていいかわからなかったから、言葉のやりとりが少し続いた」

やがてブランドさんは性器をしまい、誰かがトイレのドアをたたく音がした。スタッフに呼ばれて、ブランドさんはその場を離れたのだという。

「気持ち悪い」

信じられない気持ちで自分のデスクに戻ると、オリヴィアさんは同じ建物内のBBC職員にテキストメールを送り、何が起きたかを伝えたという。

その相手は、ブランドさんがスタジオでその話をしているので、知っていると答えたという。

今月15日からのサンデー・タイムズ、タイムズ、チャンネル4の一連の報道を受けて、オリヴィアさんは2008年当時の録音を探し出した。

同年6月21日に放送されたこの番組では、ブランドさんが女性に性器を露出した件について、共演者のモーガンさんと笑いながら話しているのが、録音から確認できる。

動画説明, 「オリヴィアさん」が語る出来事の直後に収録されたとされるこの番組で、ブランドさんと共演者は、ブランドさんが女性に性器を露出したことを話し合っている(英語)

モーガン:この人がご婦人にちんちんを見せたのは、25分前のこと

ブランド(笑いながら):上から目線で言うのは簡単だよね!

モーガン:受付の人が……

ブランド(笑いながら):見ろよ

モーガン:これをくらえって!

ブランド(笑)

オリヴィアさんは受付で働いたことはないうえ、この音声を聞いたときにはものすごく気持ちが悪くなったと話す。

「すごく恥ずかしいし、何より、この時点で何か対応がとられていたら、いま新聞で読んでいるようなひどいことを彼にされる女性が、減っていたかもしれないと思う」

モーガンさんは弁護士を通じてコメントをBBCに寄せ、「今になるまで、あの時のことがどういう性質のものだったか知りませんでした」と述べた。

「番組による影響を振り返り、自分が後悔していることは、すでに表明した通りです。これもまた、そうした事例の一つです」

「最近の報道は読んでいて非常に苦しいものです。どのような形でも女性を不当に扱うことを、私は全面的に非難すると、繰り返し申し上げます」

オリヴィアさんはBBCに苦情を届け出なかった。収録内容をBBC関係者が聞けば、誰かが連絡してくるだろうと期待していたが、そうはならなかった。

「彼の行動について誰も私に謝ってこないのは、ちょっと妙だと思った。なので、あの部分は編集でカットされたのかもしれないと思っていた。あまりに生々しいので。私がそれ以上、何もしなかったのも、そのせいだと思う」

加えてオリヴィアさんは、自分が何か言っても真剣に受け止めてもらえないだろうと考えていたという。「私は金髪だし。なまりがあるし」。

さらに、正式に苦情を申し立てた場合に、自分や家族にどのような影響があるかも心配だったと言う。

「録音が存在すると知っていたら、私の発言の裏付けになるので、何かしら対応していたと思う」

笑って受け流され

オリヴィアさんはその後も、BBC関係者に何度かこの話をしてきたが、そのたびに笑って受け流されたという。

「みんなそうだった。びっくりして、『え、ほんとにそんなことがあったの?』という反応だった」

オリヴィアさんから話を聞いたBBC職員の一人が、幹部に報告したのは2019年になってのことだった。

しかし、BBC幹部が直接オリヴィアさんに接触することはなく、正式な対応もなかった。

オリヴィアさんは、BBCにがっかりしていると話す。

「あの収録内容があのまま放送されるなんて、どうしてそんなことが許されたのでしょう? あれを放送するのが適切だなんて、いったいBBCはどうしてそんな判断をしたのでしょう? このことをどうしてもっと早くに調べたなかったのか、まったく理解できない」

「あの番組の、ほかのエピソードの内容はもっとひどいのだろうなと思うと、とても聞く気になれない」

モーガンさんはBBCへのコメントで、「数年前」にブランドさんと組んで仕事をするのはやめており、「彼が深刻な性的問題行動を行っているという訴えは、今まで全く知らなかった」と説明している。

「BBCラジオで仕事をしていた当時を振り返り、自分が参加した番組が、時に同僚たちを不愉快にさせていたと知って、残念に思う」とも述べている。

BBCのティム・デイヴィー会長は、問題のラジオ番組が放送された数日後に、BBCのオーディオ・音楽責任者になった。会長はすでに、ブランドさんがBBCとかかわっていた時期について、点検すると発表している。

オリヴィアさんの話す内容についてBBC広報は、本人をはじめ、情報を持つかもしれないすべての人から話を聞きたいとしている。

BBCはさらに、「私たちはもちろん、2008年当時に支局で働いていた、支局員をはじめ全員から話を聞くつもりでいる」とも述べた。

「加えて、当時の放送内容の一部は、釈明の余地がなく完全に容認できないもので、現時点で放送されることは決してあり得ないと、会長は明確に発言している」とも、BBC広報は述べた。

ブランドさんは、ラジオ番組で共演者と共に、番組を欠席した俳優の留守番電話に、その俳優の孫娘との性的関係をひけらかす内容の録音を残したと、放送中に話したことを機に、2008年10月にBBCの全番組から降板した。

オリヴィアさんは、自分の経験について先週になってようやく家族に話したという。

「きょうだいに言われた。『どうしてその場で、あいつの金玉を蹴り上げて、エルボードロップを決めなかったのよ』って」

「そんなこと、あの場でできたはずがない。ともかくあのトイレから脱出することが何より大事だったし、それはできたので」

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この記事の内容に影響を受けた方に、BBCはイギリス内での相談先を紹介しています(英語)。また、日本の内閣府が、性犯罪・性暴力相談の相談先をこちらで紹介しています。

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