ジャニーズとの関係を断つ動き、日本企業に広がる

大井真理子、ビジネス記者

Kitagawa

画像提供, Getty Images

性加害問題に揺れる日本最大のタレント事務所、ジャニーズ事務所との関係を、日本の有名企業が断とうとしている。

日産自動車、アサヒグループホールディングス(HD)、サントリーHDなどは、ジャニーズ事務所との契約を更新しないとしている。

過去にジャニーズ事務所のトップスターと契約していたトヨタ自動車は、今後は同事務所の所属タレントと契約する予定はないとBBCに話した。

企業のみならず農林水産省も、ジャニーズ事務所のタレントの起用を見合わせると発表した。

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ジャニーズ事務所をめぐっては、創業者で日本の芸能界で絶大な影響力をもっていた故ジャニーー喜多川氏が60年間にわたって何百人もの少年や若い男性を虐待していたとする、独立調査の報告書が先月、公表された

BBCは3月、喜多川氏に関するドキュメンタリーを放送。4月には事務所出身のオカモト・カウアン氏が記者会見し、性被害を主張。次第に国民的な議論となり、複数の事務所出身者が相次いで虐待の経験を語るようになった。

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これを受けて、ジャニーズ事務所に対する世論の圧力が増加。今月上旬にはついに、藤島ジュリー景子社長が辞任した。藤島氏は喜多川氏のめいで、2019年に喜多川氏が死去して以来、社長を務めていた。

藤島氏は辞任を発表した際、喜多川氏による性加害があったと初めて公に認めた。

その翌日、飲料大手のアサヒグループHDは、ジャニーズ事務所のスターを起用したテレビとネットの広告を取りやめると発表した。

アサヒグループHDの勝木敦志社長は、「人権を損なってまで必要な売り上げは1円たりともありません」と朝日新聞に話した

他の有名企業もこれに続いた。

日産自動車は、「当社の人権尊重に関する基本方針に反する行為がジャニーズ事務所であったため、今後の発表まで、同事務所を起用しての新たな販売促進活動は控える」とBBCに英語で説明した。

飲料大手のサントリーHDとキリンHDも、ジャニーズ事務所に対して被害者救済と再発防止の具体策を示すよう求めたと、BBCに述べた。

新社長にも批判の矛先

ジャニーズ事務所に対する批判の矛先は、新社長の東山紀之氏にも向けられている。同氏をめぐっては、少年らに対する性加害疑惑が浮上している。

また、報告書で性加害が認定された喜多川氏の名前を社名に残すことを問題視する声も出ている。

喜多川氏に関しては以前から、犯罪行為があったとの報道が一部であった。しかし、社会的に高い評価を受けたまま世を去った。

生前、「チャート1位を獲得した歌手を最も多くプロデュースした人物」、「最も多くのナンバーワン・シングルをプロデュースした人物」、「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」の世界記録を保持した。

しかし調査報告書の公表を受け、ギネスワールドレコーズは喜多川氏の業績を公式サイトから削除したと発表した。

国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会は日本で調査を実施。ダミロラ・オラウィ議長は先月、「明確なスケジュールによる透明で正当な調査」を行うよう政府に求めた。同時に、日本の主要メディアについて、何十年間も性加害疑惑について沈黙してきたと非難した。 

世論に大きな変化

男性タレントだけを扱うジャニーズ事務所は、最近まで芸能界で圧倒的な力をもっていた。テレビ局は同事務所のタレントに出てもらえなくなることを恐れていたと、業界に詳しい人々は話す。

しかし、ここ数カ月で世論は劇的に変わった。

テレビ局に対しては、ジャニーズのスターを番組から降ろすよう求める圧力が強まっている。多くの企業は、そうした番組のスポンサーとなることについて検討を続けている。

ジャニーズ事務所に所属していたアーティストの中には、他の事務所に移籍した人もいる。