7月は史上最も暑い月に 国連総長は「沸騰化の時代」と警告

マット・マクグラス、マーク・ポインティング、BBCニュース気候・科学

A person pouring water on themselves

画像提供, Reuters

猛烈な熱波が続く中、今年7月が世界で史上最も暑い月になることは「事実上、確実」だと、科学者たちが指摘している。

7月はここまでとても暑い日が続いているため、あと数日を残しているものの、2019年の記録が破られるのは確実だという。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「地球は沸騰化の時代」に入ったと述べた。

科学者らは、こうした過剰な暑さは主に化石燃料の使用と関連しているという意見で一致している。

アメリカのジョー・バイデン大統領は、気候変動は「存続に関わる脅威」であり、「気候変動の影響を否定できる人はもはやいない」と述べた。

専門家の中には、今年7月が過去12万年で最も暑い月になるかもしれないと指摘する人もいる。

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Presentational white space

研究者たちは、7月が最も暑い月の記録を更新することに驚いていない。ここ数週間、世界がはるかに高いレベルの温暖化を経験していることを示す兆候がたくさんあったからだ。

欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービスによると、地球の平均気温は7月6日に史上最高を更新した。また、平均気温が過去最高レベルだった23の日々が今月に集中している。

世界の平均気温の推移
Presentational white space

コペルニクスの推計では、7月1~25日の平均気温は16.95度と、これまで最高だった2019年7月の16.63度を大きく超えている。

他の分析でも同じ結論が出ている。

独ライプツィヒ大学のカーシュテン・ハウシュタイン博士の計測では、今年7月の気温は化石燃料が広く使われるようになる前の7月の平均気温より1.3~1.7度高い。恐らく1.5度前後だという。ハウシュタイン氏は、たとえここ数日が涼しかったとしても、その誤差は7月がこれまでで最も暑くなるのに十分だと確信している。

「最も暑い7月になるだけでなく、絶対的な世界平均気温としても最も暑い月になるだろう」と、ハウシュタイン氏は声明で指摘した。

「この惑星で同じような温暖な状況を見つけるには、何千年どころか何万年もさかのぼらなければならないかもしれない」

July
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研究者らは、世界中に散らばっている気象観測所の記録から、世界の気温を割り出している。

しかし、完全に正確な地球の全体像を把握できるほど十分な観測地点があるわけではないので、これらの測定値と、大気自体からの測定値をすべてコンピューターモデルに入力している。

これによって得られる「隙間のない地図」によって、地球の気温を確実に推定できる。

こうしたデータセットと、向こう数日間の世界の気象予報を組み合わせることで、月末を迎える前に今月の世界の気温について信頼できる数値を推測できる。

この7月が過去150年前後で最も暑い月になる可能性は高いが、最終的な気温が過去数万年で最も高いものになるとみている科学者もいる。

古気候の数値を割り出すには、極点の氷床コアに含まれる空気や、深海の堆積物などから取られた記録を使う。こうした採取物には、当時の気候を示すものが含まれている。

これらの証拠からは、遠い過去の特定の月を標的にすることはできないものの、科学者らは、地球が最後に現在と同じような暖かさだったのは約12万年前だとみている。現在よりも海面が8メートルほど高く、イギリスにカバが生息していた時代だ。

なぜ記録的な暑さになっているのか?

研究者たちは、人間による化石燃料使用からの排出が、現在の温暖化の原因であると確信している。

世界気象機関(WMO)のペッテリ・ターラス事務局長は、「7月に数百万もの人々に影響を与えた異常気象は、残念ながら気候変動の厳しい現実であり、未来を予期させるものだ」と語った。

「温室効果ガスの排出を減らす必要が、今まで以上に高まった」

「気候変動への取り組みはぜいたくではなく、必須だ」

専門家らは、今年は7月以降も最高気温の記録が更新されるとみている。

温暖化には、温室効果ガスだけでなく、エルニーニョ現象も影響している。エルニーニョ現象では、南太平洋で温かい海水が海面まで上昇し、大気中に暖かい空気を押し出す。科学者らは、エルニーニョ現象による影響はまだ全てわかったわけではないと警告している。そのため、気温がさらに高まり、2023年と2024年は史上最も暑い年になる可能性もある。

他にも地球温暖化の原因となっている要素がある。

新しい航海ルールによって、汚染物質の放出量が低減された。また最近まで、大気中のサハラ砂漠のちりの量が低くなっていた。

「エアロゾル」と呼ばれるこうした大気中の粒子には、太陽のエネルギーの一部を宇宙に跳ね返す働きがある。しかし、科学は非常に複雑だ。エアロゾルが減ることと北大西洋の記録的な暑さの関係は小さいとみられている。

昨年1月に南太平洋の島国トンガで起きた海底火山の噴火では、大気中に多くの水蒸気が放出された。水蒸気は二酸化炭素(CO2)と同様、地球を暖める作用がある。

Cargo container ship on the ocean
画像説明, 新しい航海ルールでは、汚染物質の放出量が低減された。これが海水の温暖化に一部関係しているとの指摘もある

パリ協定はどうなるのか?

気候変動への国際的な取り組みを決めた2015年の「パリ協定」には、200近い国々が参加した。同協定は、地球の気温上昇を工業発達以前(1850~1900年)と比較して1.5度未満に抑えるための取り組みを推進するものだ。

科学者らは、7月の気温は問題ではあるものの、異常な気温が1カ月続いただけでは、国際的な気候変動への取り組みが破られたことにはならないと指摘している。

インペリアル・コレッジ・ロンドンの気象学者、フリーデリケ・オットー博士は、「これは、パリ協定や1.5度という目標に到達したり、それを突破したりするということではない。なぜなら、地球温暖化の長期的な増加として理解されているからだ」と語った。

気温上昇を1.5度以下に抑えることは、気候変動の最も危険な影響を避けるための鍵だとされている。

しかし最近の熱波が示すように、気候変動の影響は、温暖化がほんの少し進むごとに大きくなっている。