中国、秦剛外相を解任 6月末から動静不明
スティーヴン・マクドネル北京特派員、サイモン・フレイザー(ロンドン)、ケリー・アン(シンガポール)

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中国の秦剛外相(57)が解任された。国営・新華社通信が25日に報じた。就任から7カ月足らずだった。
秦氏は習近平国家主席の側近と見られていた。後任には中国共産党のベテランで外交トップの王毅氏(69)が就く。
秦氏は6月25日以来、動静が分かっていない。当局もそれについて見解を示していないため、さまざまな憶測が飛び交っていた。今回の解任の理由も明らかにされていない。
秦氏は昨年12月に習氏から外相に任命された。先月には、北京でアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官と会談し、同国とのハイレベルでの外交的接触を取り戻そうとしていた。
解任によって数週間にわたる混乱は終わったが、数々の疑問が残された。
新華社通信は、「中国の最高立法機関は王毅氏を外相に選んだ」、「秦剛氏は外相を解任された」と報じた。
報道によると、習氏がこの人事を承認した。全国人民代表大会常務委員会はまた、中国人民銀行(中央銀行)の行長(総裁)に、経済学者の潘功勝氏を任命した。現職の易綱氏は定年のため退任する。
中国共産党体制では、指導部が外交政策を立案し、外相に実行を命じる。
後任となった党中央外事工作委員会弁公室主任の王氏は、2013~2022年にも外相を務め、日本語を話す。秦氏の不在中、外相の代理となり、現在は南アフリカで開催されている新興5カ国(BRICS)安全保障会議に出席している。
王氏の任命は、中国外交の安定化に向けた動きだと指摘する声もある。
秦氏は中国政府で最も顔の知られた一人であり、長期間の動静不明には外交官や中国情勢ウォッチャーだけでなく、一般の中国国民も注目していた。
1カ月ほど前から通常業務に姿を見せなくなり、インドネシアで開かれた外相会議を欠席。外務省はこれについて、健康上の理由という短い説明のみ発表した。

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しかし外務省は詳しい情報を出さず、政治的理由か、不倫騒動によって罰を受けているのではないかとの憶測が流れた。
7月4日に予定されていた欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表との外相会談も、説明のないままに延期が決まり、さらにうわさが飛び交った。
外務省の報道官は25日、解任が報じられる前に秦氏の居場所を質問されると、情報がないというそれまでの回答を繰り返した。中国の秘密主義と不透明な政治体制が浮き彫りになった。
劇的な出世だったが
中国では、著名な人物が説明なしに長期間姿を消し、後になって犯罪捜査の対象として浮上することは珍しくない。消息を絶った後、一切の説明なしに再び姿を現すこともある。
習氏ですら、2012年に国家主席になる直前に2週間、公の場所に姿を現さなかった。この時には、健康上の理由や、中国共産党内での権力闘争の可能性がささやかれた。
秦氏の外相就任は、まさに劇的な出世だった。中国史上、最も若い外相の一人だった。
秦氏は2022年12月、駐米大使を2年ばかり務めた後、外相に就任した。
それ以前は外務省の報道官を務めたほか、習氏の外遊の手配を担当。ここで国家主席の近くで働く機会を得た。
秦氏に何が起きたのか、中国の人々は大きな関心を寄せている。中国最大の検索エンジン「百度(バイドゥ)」ではここ最近、秦氏の名前の検索件数が急増した。
一方で、このような高官に関するうわさが、完全な検閲なしに中国のインターネット上で語られていることも、極めて異例なこととされる。
シンガポール国立大学の荘嘉穎氏は先週、BBCの取材に対し、「検閲が働いていないからこそ、人々は権力闘争や汚職、権力や地位の乱用、恋愛関係などのうわさが真実なのかと疑問に思っている」と語った。








