フランス暴動、規模縮小も警戒続く 反暴力の集会を各市が呼びかけ

Rioters run as French police officers use tear gas in Paris on 2 July

画像提供, Getty Images

画像説明, パリで警官隊が放った催涙ガスの中を走る暴徒ら(2日)

フランス各地で発生していた暴動は3日、鎮まる様子を見せた。パリ郊外で少年が交通検問中の警官に射殺されたことをきっかけに起きた暴力的な抗議行動は、5日間にわたって続いていた。

2日夜には暴力行為は縮小し、放火された車は297台で3日前の1900台から減少。損壊や炎上した建物も34棟と、3日前の500棟以上から大きく減った。

逮捕者も、前夜の700人以上から150人超に減った。

しかし当局は3日、正常に戻ったと早合点してはならないと慎重な姿勢を示した。

エマニュエル・マクロン大統領は、「平穏への回帰」を確実にするため、各地の街頭で警官らの「大規模」配置を維持するよう、内務省に求めた。

ジェラルド・ダルマナン内相は、全国で過去3夜に警官約4万5000人が配置され、3日も再び街頭で警備にあたると述べた。

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各地の市長らは3日、暴力と略奪に抗議する集会を市庁舎前で開くよう呼びかけた。

警官に射殺されたナエルさん(17)の自宅があるパリ郊外のナンテールでは、パトリック・ジャリー市長が暴力の沈静化を歓迎した。同時に、「この事態を引き起こした出来事と、継続的な正義の必要性を、忘れてはならない」と付け加えた。

同日午後には、パリ南郊ライ=レ=ローズであったヴァンサン・ジャンブラン市長を支援する集会に数百人が参加した。市長の自宅は前日未明に暴徒に襲撃され、逃げようとした妻と子どもたちに向けてロケット花火が放たれた。妻は足を骨折し、子ども1人がけがをした。捜査当局は殺人未遂事件として調べている。

ジャンブラン市長は感情をあらわにしながら、「私たちは暴徒の本当の顔を見た。連中は人殺しだ。(中略)寝ていた妻と小さい子ども2人を、生きたまま焼き殺そうとした」と述べた。

拍手が起こる中、ジャンブラン市長は続けて、この1週間で「民主主義そのものが攻撃された」と主張。「これまで沈黙を守ってきた大多数の人々が、『もうたくさんだ!』と声を上げなくてはならない」と訴えた。

AFP通信は交通当局者の話として、6日間にわたった暴動で、パリ地方の公共交通機関に2000万ユーロ(約31億5000万円)相当の被害が生じたと伝えた。「燃えたバス、放火された路面電車、破損した2つの路面電車、破壊された都市インフラ」などによるものだという。

警官の家族に多額の募金

週末にはナエルさんの家族らが、暴力を終わらせるよう呼びかけた

親族の1人は、発砲した警官の家族のために募金サイト「GoFundMe」で募金が呼びかけられ、3日までに110万ユーロ(約1億7300万円)が集まったことについて、「胸が痛む」と話した。

この募金活動は、極右メディアのコメンテーターが始めた。一部の政治家らは、これを批判している。仏紙ル・パリジャンによるとGoFundMeは、募金が暴力犯罪の擁護ではなく警官の家族のためのものなので、同社の規約には違反していないと説明した。

別のサイトで呼びかけられているナエルさんの家族への募金は、3日午後の時点で21万5000ユーロ(約3400万円)が集まっている。

被害に対し当局が支援へ

暴動で略奪被害に遭った企業や接客施設に対しては、地方当局が財政支援策を打ち出し始めている。

南部マルセイユの事業主には、補助金が支給される予定。パリ地方では、公共施設の修復に資金が提供される。

しかし、夏の観光シーズンが始まった時期に暴力事件が相次いだことで、観光業への長期的な影響が心配されている。

仏誌ル・ポワンは、パリのホテル予約の最大25%がすでにキャンセルされたとする、観光当局者の見方を報じた。

マクロン大統領は4日、暴力行為の影響を受けた220の自治体の長と会談を予定している。